「ブラジルW杯で負けて、アジア杯でも結果を出せなかった。これが僕らの実力」

UAE戦直後、長友がそう話していたけど、それが日本サッカーの現実だ。

日本代表がアジア杯準々決勝でUAE相手にPK戦の末に敗れた。連覇は決して簡単なことじゃないと思っていたけど、まさか韓国やオーストラリアといったライバルと対戦する前の敗退は僕も予想していなかった。ただただ悔しいね。

この結果について、「PK戦は時の運だから仕方ない」「試合内容は悪くなかった」という意見は多い。

でも、ドンマイ、ドンマイだけじゃ進歩がないよ。UAE戦後、選手たちが言っていたように、最大の敗因は攻め続けながらもPK戦になるまでの120分間で勝負を決められなかったこと。そこを冷静に議論する必要がある。

確かに、日本は相手を一方的に押し込み、シュートを35本も打った。でも、枠内に飛んだシュートはわずかに8本。パスを回しても、PKをもらってやろうという仕掛けは少なく、逆に相手の守備にプレッシャーを受けて、苦し紛れにシュートを放つ場面も多かった。なんというか、攻めているのに余裕がなかった。

パスを回す作業というのは、誰かにシュートを打たせるために行なうもの。例えば、オーストラリアならエースのケーヒルにシュートを打たせるために回している。でも、日本はどうやって点を取ろうとしているのか、その狙いや意図が見えにくかった。「決定力不足」というよりも「得点を奪う形の不足」という印象だね。

それはUAE戦だけじゃない。初戦のパレスチナ戦を除けば、グループリーグでも同じようなシーンを何度も見た。昨年のブラジルW杯のギリシャ戦でも、ひとり少なくなって守りを固めた相手から、ゴールを奪えなかった。つまり最大の課題については何も改善できていないということだ。

誰が監督をやっても連覇は難しかった

もちろん、アギーレ監督の采配にも問題はあったと思うよ。中2日という厳しいスケジュールで試合が行なわれるのに、4試合とも同じスタメンで臨んだ。途中で交代する選手もだいたいいつも一緒。せっかく23人もメンバーがいるのに、実質15、16人くらいで戦っていた。

でも、アギーレ監督の立場からすれば、その15、16人を使い続けなければならないほど、今の日本の選手層は薄いということなのだろう。結局、アギーレでもザッケローニでも、誰が監督をやっても連覇は難しかったと考えざるを得ない。

海外組が増えて、昔より選手のレベルが上がったというけど、相手に守備を固められたら、アジアでも簡単には勝てない。それは昔も今も変わらない。むしろ、ここにきて一時期よりも勝てなくなっている。

UAE戦直後、岡崎が「ブラジルW杯で突き落とされ、アジア杯でも突き落とされた。アジアでも勝てないのか、という気持ち」と話していたように、選手がその現実を一番実感しているんじゃないかな。

今回の敗戦を生かすために、日本代表はすべてを白紙に戻して再スタートを切るべき。結果を出している選手をどんどん使って、たとえ海外組でネームバリューがあっても、今回の香川のように明らかに調子の悪い選手は外さなければいけない。そういう基本的な厳しさから見直す必要があるね。

(構成/渡辺達也)