ゴッドタンなどのヒット番組を手がけた放送作家として知られているオークラ氏

全豪オープンテニス男子シングルスでベスト8に進出した錦織圭選手。だが、時としてそんな錦織以上に目立っているのが松岡修造氏であり、その“熱血コメント”ではないか。

ベスト8進出時には公式ブログで「新幹線ラリー」という名言(!?)も飛び出したが、そこで、『週刊プレイボーイ』にコラム「オークラの勝手に心配性」を連載する放送作家・オークラが妄想した不安とは?

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錦織の活躍がすごい。スポーツをやることも見ることからも逃げてきた、運動センスゼロの僕ですら巻き込まれるくらい世間は盛り上がっている。

そして、その活躍とともに脚光を浴びているのが、熱血界のカリスマ、松岡修造のコメントである。かつてのアニマル浜口&京子親子を彷彿(ほうふつ)とさせるような、このセット感。これから錦織選手が活躍すればするほど、ますます松岡修造の精度の高いおもしろ熱血バカコメントに期待が集まるでしょう…。

しかし、もし自分が松岡修造のマネージャーだったら? と考えると心配になる。「松岡さん、このまま続けたら『今度はどんなおもしろコメントしてくれるんだ?』的にどんどんハードルが上がります。熱血コメントにそんなにパターンがあるとは思えません。どんどん追い込まれますよ!」と忠告するだろう。

だが、彼がそんなことで怯(ひる)むとは思えない。何せ、1ヵ月分の応援メッセージを綴(つづ)った日めくりカレンダー「まいにち、修造!」を50万部売り上げた真の熱血バカだから(褒め言葉です)。

では、どう忠告すれば彼をセーブできるのか? そう思った僕はこの原稿の締め切り当日に「まいにち、修造!」を求めて書店に向かった。が、なんと5軒回ってすべて品切れ。さすが大ヒットカレンダー。途方に暮れる僕。このままではヤバい。

大きな勘違いとは?

さらにピンチは続く。突然、歯痛に襲われたのだ。我慢できず歯科医に駆け込む。いまだ見つからぬカレンダー。痛む歯。迫る締め切り。まさに崖っぷち……。

と、そのとき奇跡が! なんと駆け込んだ歯科医に置いてあったカレンダーが「まいにち、修造!」だったのだ。それを見つめると、まず最初に飛び込んできた松岡修造の言葉が……、

「崖っぷち、だーい好き」

……大きな勘違いをしていた。彼は追い込まれたいのだ。その追い込まれた状況からわき出るのが熱血バカコメントなのだ。

忠告なんて無用。もっと崖っぷちを! これで松岡修造のマネージャーになっても安心だ。

*編集部注:松岡修造氏の所属するIMGジャパンはアスリート中心の事務所なので、マネージャーさんもさすがに“熱血コメント”の心配まではしないと思われます、たぶん。

●オークラ「テレビ、ラジオ、コントLIVEなどいろいろやってます。1993年から96年くらいにデビューした東京芸人と比較的仲がいいと思います。便宜上、放送作家と名乗るときもありますが、本当はもっとカッコいい肩書が欲しい……」