まじめなものから「まさか本気!?」といったトンデモ企画まで、アイデア次第で、思いもよらないことを実現できると、ひそかなブームになっているのが「クラウドファンディング」という仕組みだ。

「クラウドファンディング」とは、プロジェクトを達成させるための資金を“多くの人たち(Crowd)”から集めて“資金調達(Funding)”するという意味。企業が株券を発行し、資本家を募ることにも使われる言葉だが、今、「クラウドファンディング」といえば、あるアイデアを思いついた人がインターネットを通して、ひとり当たりは比較的少額だが、たくさんの人から出資金を集めることで、実現のための資金を調達することを指す場合がほとんどだ。

資金が必要な人からすれば、株券を発行する手間が省けるため、容易に資金集めが始められる。また、数百円からと出資しやすい金額に設定されていることが多いので、プロジェクトを実現させてあげたいという人が参加しやすいというメリットもある。

クラウドファンディングは、アメリカで先行して発展したものだが、日本でもクラウドファンディングのシステムを提供するプラットフォームやポータルサイトが増えている。『READYFOR(レディーフォー)』や『CAMPFIRE(キャンプファイヤー)』『Makuake(マクアケ)』などが代表的だ。

アイデアが思い浮かんだら、これらのプラットフォームに登録し、自分のアイデアの思いの丈を紹介するページを制作。こうしたプラットフォームには、集金システムや支援者とのやりとりに使う掲示板など必要なものが組み込まれているため、優れたアイデアと、パソコンなどのネット環境があれば簡単に始められる。

また、情報を不特定多数に素早く伝達できるツイッターやフェイスブックも使うことで、資金を一気に集められる可能性があるのもクラウドファンディングの特徴だ。

支援次第では数千万円単位のプロジェクトも!?

艦上戦闘機「零戦(ゼロ戦)」を日本で飛ばそうというプロジェクトでは、90日間で2344万円の資金調達に成功した。プロジェクトの主宰メンバーのひとり、大久保さんに成功の要因を聞いた。

「クラウドファンディングのサイトにページを作るだけではダメで、支援してくれる方々にプロジェクトの進捗(しんちょく)状況をできるだけ伝えるよう努めました」

こまめに進行状況を伝えることで、支援者はよりファンとしての気持ちを強めていくという。

また、戦艦大和をバーチャルリアリティ上で原寸大レベルで忠実に再現しようというプロジェクトで、約2ヵ月で544万円以上の資金調達に成功した仁志野六八(にしのろくは)さんもこう語る。

「資金調達を成功させる上で、ツイッターは欠かせませんでした。プロジェクトのファンになってくれた支援者と交流することもできるのはもちろん、支援者が積極的にツイッターでリツイートしてくれたおかげで、どんどん出資者が増えていきました」

クラウドファンディングのサイトに情報を載せると同時に、ツイッターやフェイスブックで情報を拡散させることで雪だるま式にファンを集められるというわけだ。

ポイントは、出資者をいかに巻き込み「応援したい!」という思いを持ってもらうか。うまく支援が集まれば、数百万、数千万円単位のプロジェクト実現だって夢じゃない。

(取材/河原塚英信)

■週刊プレイボーイ9号「『クラウドファンディング』っていったいナニ!?」より(本誌では、さらに具体例でケースを紹介!)