「軽唯一のスポーツカー」として気を吐いてきたダイハツ・コペンの新型「コペン ローブS」 (撮影/池之平昌信)

今年は軽スポーツ大ブレイクの年になる可能性が、とても高い。

ブレイクする理由は、ここ10年近く「軽唯一のスポーツカー」として気を吐いてきたダイハツ・コペンの新型が昨夏に発売されたことに対抗すべく、ホンダとスズキから注目の軽スポーツが登場することだ。

まず、ホンダの新型スポーツは「ビートの再来」といわれるミドシップ・オープンカーの「S660」だ。一昨年秋の東京モーターショーでコンセプト出展(と市販化決定の発表)されて以来、ファンの間で話題沸騰。一時は2014年内デビューとウワサされ、ホンダも動いていた。

しかし、昨年のホンダは「リコール多発問題」と「タカタ製エアバッグ問題」に相次いで襲われた。その対応のために、ホンダ国内新車発売計画がすべて後ろ倒しとなり、S660はこの2月中旬時点でも正式発売はかなっていない。

ただ、最近の業界やネットに流れる情報を総合すると、S660は今春~夏前についに発売される模様。エンジンはNシリーズ系のターボで、業界の自主規制もあって今以上のパワーアップはなく、変速機はCVTのほかMTも用意される。

ルーフ機構は天井部のみを取り外す通称“タルガトップ”で、車重はコペンと同等、もしくはわずかに軽くなっているという説が有力。それが事実なら後輪駆動であることも併せて、コペンより活発に走りそうだ。

ビートの再来ともいわれるホンダの軽スポーツ「SS660」。発売時期は、今年の春から夏前か?

スズキの注目株は「アルトワークスの再来」

今春にも発売される予定の「アルトターボRS」。一世を風靡(ふうび)したホットハッチ「アルトワークス」の再来とも

もうひとつの注目は、昨年末のアルト発表時に公表されたターボモデル。一部で「アルトワークス再来」といわれていたが、正式車名はアルトターボRSに決定。ただ、スズキ社内では「新型ワークス」と呼ばれているらしい。

アルトワークスは、昭和末期から平成初期に大ブームを起こした「軽ホットハッチ」の草分け。軽の定番がハイトワゴンに移行して以降は姿を消していた軽ホットハッチの元祖がここで復活となったのは、ダイハツやホンダの動向を無視できなかったからか。

コペンやS660ほどのインパクトはないターボRSだが、こと「速さ」や「走り」については軽最強になる可能性が高い。凝った設計のコペンやS660の車重は800kg台半ばだが、現時点で600kg強のアルトは、ターボ化や各部の強化が施されたところで700kgは切るだろう。つまり、アルトターボRSはコペンやS660より150kg前後も軽くなるわけで、カッ飛び度は圧勝だろう。

さて、ダイハツにホンダ、そしてスズキという3強の軽スポーツが出そろう今春以降、ちょっと時代が動きそうな予感がする。若い世代にも手が届きそうなのはもちろん、維持費が安い軽スポーツは「オッサンの回春セカンドカー」としても好適だからだ。

軽でも走りがいっちょまえな“軽スポーツ”は、幅広い世代にアピールするポテンシャルを秘めている。それだけに、今年の軽市場はなかなか面白いことになりそうだ。

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(取材/佐野弘宗 友清 哲 取材協力/森 慶一)

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