新しくヤクルトスワローズの監督に就任した真中満氏。

前回配信した「意外な大補強で盛り上がるヤクルト、真中新監督が『俺も意外だったよ』」が好評を得たスワローズの新監督、真中満氏へのインタビュー。

今回の後編では、真中新監督に「ヤクルトにケガ人が多い理由」や「今年、優勝争いをするためのキーマン」について直撃してみた!

* * *

―昨年も一昨年も、ヤクルトといえば、いつもケガ人だらけというネガティブな印象がありました。

真中 でもさ、実は統計では故障者の数って12球団そんなに変わらないと思う。昨年は小川(泰弘)やバレンティンが離脱したけど、そのくらいなら他球団もある。マスコミが気を使って「ケガ人が多かったから最下位だった」って言ってくれてるだけでしょ。

―ケガ人が戻ればウチは強い。そう信じているヤクルトファンは多いですが(笑)。

真中 そうじゃないの。ケガ人がいなくても、ウチは弱かったの(笑)。そこは取り違えちゃいけないよ。

―では、あらためて2年連続最下位の最大の原因は?

真中 強いて言うなら、投手も野手もここ一番での勝負強さが足りなかったかな。だって、(昨季)借金21ってことは、10試合競り勝てば約5割だったわけだから。僅差ではあるけど、そこが他球団との大きな差なんだよ。

―2011年に優勝争いを演じたことで、勝負慣れしたのかなと思ったのですが。

真中 むしろ逆。最大10ゲーム差もつけて首位独走していたあの年に勝ちきれず、逆転されて2位になってしまったということが、選手や首脳陣に「やっぱりダメか」って気持ちを植えつけちゃったのかもしれない。

―確かに、2011年はファンにとってもトラウマです。当時、監督は二軍監督を務めていましたよね。あの大失速をどう見ていたのですか?

真中 優勝旅行に向けて、パスポートの確認をしてました(笑)。それぐらい、あの年の前半は優勝への勢いがあったんだけどね…。

館山、由規は計算に入れてない?

―今年、その勢いでシーズンを戦い抜くためのキーマンは、昨年ブレイクした山田選手かと思いますが、期待することは?

真中 打つほうに関しては昨年くらい打ってもらえれば十分。でも、守備、走塁面も磨いて、走・攻・守の三拍子そろった選手になってほしい。

―その山田選手がスター候補ですが、これまた失礼な話、ネットでは“地味ルト”と揶揄(やゆ)されるくらい昨今のヤクルトには華がない印象です。

真中 う~ん……。それは結果論だと思うね。最下位に低迷してたら、どうしたって地味に見えちゃう。だって、山田も雄平も成績的には俺とかヤクルト時代の稲葉(篤紀)より数段すごいんだよ。つまり、強いチームの軸を打ってないと、世間は評価してくれないってこと。

―では、優勝すれば“派手ルト”ですね。その記念すべきシーズンの開幕投手は?

真中 まだ決めてないな~。順当にいけば小川だけど、決定はキャンプ末くらいかな。

―先発投手では館山昌平、由規と故障した両エースの回復も気になります。

真中 俺も気になる(笑)。あのふたりが復帰したら、そりゃ優勝も近づくよね。でも、冷たい言い方になるけど、現時点では彼らは計算に入れてない。だって、今の段階でふたりの力に頼って星勘定してるようじゃダメだと思うしね。まぁ、チームが苦しい夏場あたりに復帰して、チームを助けてくれればラッキーくらいの気持ちで待ってるよ。

―それでは最後に、今年の目標をお願いします!

真中 もちろん、優勝。「とりあえず優勝って言ってるだけでしょ?」って思う人も多いだろうけど、本当に優勝が目標。うまく戦えば、他球団に対していやな野球ができると思うし、上位に食い込んでいく自信もありますね。

―楽しみにしています!

(取材・文/武松佑季、昌谷大介[A4studio] 撮影/髙橋定敬)