大物フォルラン(C大阪)加入の話題で持ちきりだった昨季と比べると、今季のストーブリーグは少し寂しかったけど、いよいよJリーグの新シーズン開幕が近づいてきた。それに先立ち、まずはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)がスタートするね。(編集部注:本記事は2月23日段階のもの)

今季は、Jリーグ、ナビスコ杯、天皇杯の三冠を制したG大阪をはじめ、浦和、鹿島、柏の4チームが参戦する。日本代表が先日のアジア杯でがっかりする成績(準々決勝敗退)に終わっただけに、Jリーグ勢には奮起を期待したいところだ。

とはいえ、ここ数年、Jリーグ勢はACLで大苦戦を強いられている。2012年はベスト16までに全チームが敗退。13年は柏がベスト4に進出したものの、ほかの3チームはグループリーグ敗退。昨季もベスト16までに全チームが姿を消した。

07年に浦和、08年にG大阪が優勝したのも今は昔。今や他国のチームは、日本のチームに対して「強い」というイメージを持っていないはず。それどころか「大したことない」とナメている感もある。

確かに、ACLは収入面での魅力に乏しいし、厳しい試合日程など勝てないことへの言い訳はたくさんあるだろう。

でも、勝ち上がれば盛り上がるんだ。例えば、07年の浦和は平日でも埼玉スタジアムに1試合平均4万人以上のサポーターが詰めかけ、決勝は超満員で本当に素晴らしい雰囲気になった。アウェー戦にも数千人単位のサポーターが応援に駆けつけ、現地メディアにも驚きをもって取り上げられた。

G大阪と浦和の責任は重大

そして、ACLに優勝すればクラブW杯に出られる。これは大きいよ。実際、浦和はACミランと、G大阪はマンチェスター・ユナイテッドという名門と対戦できた。世界のレベルを体感できたのはもちろん、世界のサッカー関係者に存在を認知され、クラブはもちろん、Jリーグ全体の価値や魅力のアップにつながっていたんだから。

ところが、今、日本の各クラブにとっての最高のタイトルはACLではなく、Jリーグになっている。それを変えていかなければいけない。現時点でのACLには、“お手本”の欧州チャンピオンズリーグのような権威や実利がないのは事実だけど、だったら日本のチームがアジアのリーダーとして先頭に立ち、大会を盛り上げ、大会のステータスを上げる。出場チームの選手、監督、フロントにはそれくらいの意気込みを持って臨んでほしい。

特に、“ビッグクラブ”であるG大阪と浦和の責任は重大だね。三冠王者のG大阪がACLで簡単に負けるようなら、ますます他国から「Jリーグのレベルはこんなものか」とバカにされる。それを悔しく感じないなら、もう出場権を返上したほうがいい。

メディアもファンも同じ。今は「ACLで負けても仕方ない」という空気になっているけど、それじゃチームは強くならない。グループリーグ敗退なら監督のクビが危うくなる。そういうプレッシャーをかけるべきだ。

今年のクラブW杯は、日本開催の可能性がささやかれている。もし、そうなれば、Jリーグのチームが開催国枠で出場することになる。“興行”だからね。でも、そこに価値はあるのか。僕はACLで優勝し、アジア王者として胸を張って世界と戦う日本のチームを見たい。

(構成/渡辺達也)