往復約200km! 2台(+1台)が走ったのはこのルートだ!! 「スタート&ゴール 給油地点」→「東名高速 東名川崎IC」→「小田原厚木道路 厚木西IC」→「小田原厚木道路 小田原西IC」→「折り返し地点 箱根駅伝ミュージアム」

軽低燃費王者として君臨していたミライースを引きずり下ろしたアルト。しかし、実燃費はどうなの? ということで、箱根を目指した!

■週プレ認定の燃費No.1は?

ここ数年の間、0.2km/L刻みで仁義なき「軽燃費トップ」の座を争ってきたスズキ・アルトダイハツ・ミライース(以下、イース)。

昨夏にイースがマイナーチェンジで当時のアルトエコの燃費を0.2km/L上回る35.2km/Lを達成した。しかし、その半年後に登場した新型アルトは、ここでイースに大きく水をあける37.0km/Lを打ち出したのだ!

ちなみに、37.0km/Lというのはトヨタ・アクアの最新燃費とピタリと同じ。つまり、今回のアルトはイースに勝つのはもちろん、「市販乗用車トップの燃費」をターゲットにしたのは想像に難くない。

さて、こうしてカタログ燃費では宿敵イースに大差をつけた新型アルトだが、「本当のところはどーなのよ!?」がここでのテーマである。

計測コースとしたのは、「箱根駅伝をヒントにしたオリジナルコース」。東京のど真ん中の週プレ編集部と箱根にある「箱根駅伝ミュージアム」間を往復する約200kmの道のりで、渋滞箇所や高速道路もバランスよく走れるように一部をクルマ用にアレンジしたもの。

燃費計測方法は古典的な「満タン法」である。車載燃費計はクルマによって甘かったりシブかったり…と、クセや誤差が少なくないからだ。

ただ、満タン法でもクルマのトリップメーターをそのまま信じると誤差の元となる(というか、車載燃費計のクセの主原因がこのトリップメーターと思われる)。というわけで、ピタリと隊列を組んで走った3台(運転のクセも平準化するために、ドライバーも途中で順次交代)のトリップメーター距離の平均値をルートの「正式距離」に認定。燃費データの基準とした。

ガソリンスタンドで給油を済ませて、いざ箱根へ向けて出発。スタート、ゴールともに同じドライバーが同じクルマに給油した

差がついた理由は?

途中、運転のクセも平準化するためドライバー交代を行ない、折り返し地点の箱根駅伝ミュージアムに到着! 休憩を挟み、復路でも往路と同じルートを走行した

というわけで、今回の正式距離「216.43km」を、それぞれの給油量で割った「週プレ認定実燃費」は下の表のとおりだ。予想通りにアルトがイースを一歩リード。参考として、アルトと同じカタログ燃費であるアクアも同行させたが、そのアクアがアルトに大差をつけて、トップ(あくまで賞典外)ということなった。これもまあ、予想どおりの結果だ。

★週プレ認定実燃費

箱根駅伝を模した計測コースは基本的に往路が上り(しかも最後の強烈な勾配の山坂道)で、復路では逆に延々と下っていく。事実、往路での燃費は圧倒的に軽量な軽2台が重いアクアに食らいついていたのだが、復路で一気に差をつけられていった。

これは、アクアが大容量ハイブリッド用バッテリーを備えるから。下りのエネルギーをガンガン電気で回収して、それを平坦(へいたん)路での動力アシストに使うのだ。

対して、イースには本格的なエネルギー回収システムはない。アルトには専用リチウムイオンに回収する「エネチャージ」があるが、バッテリー容量はアクアより圧倒的に小さく、またそれを動力アシストに使えない。結局、そこで差がついた。

また、アルトには、ワゴンRに採用された実質ハイブリッドの「S-エネチャージ」はつかない。スズキは「アルトで37㎞/L」という目標を立てて、そのためにはS-エネチャージは不要と判断したわけだ。まあ、アルトは低価格もウリだから高価なシステムは使いたくないだろうし…。

ということは、スズキは隠し玉(=S-エネチャージ)を隠したまま、イースに大差をつけて、アクアに並んだ。これでダイハツが追いついてきたら、いよいよ隠し玉の出番なんだな。ニクイね、スズキ!

(取材/佐野弘宗 友清 哲 取材協力/森 慶一 撮影/岡倉禎志)