グルメサイト『食べログ』が、寄せられた評価・口コミを元に昨年、ユーザーからの支持が多かったレストランを選出した「ベストレストラン2014」を発表した。

同企画は、都道府県別にベスト10までの順位づけを行なっているが、その中の香川県版ランキングがすごいことになっていると大反響。

なんと、10店すべてがうどん店で占められているのだ。

いくら讃岐(さぬき)うどんの本場とはいえ、この驚愕(きょうがく)の事実を報じたネット記事のコメント欄には、「期待を裏切らないにもほどがある」「まさにうどんバカ」「香川県人にとってうどんは麻薬と同じ」など半笑い気味の反応が多く寄せられている。

ネット上でこんな辱(はずかし)めを受けたとあっては黙っていられないのが、当の香川県民だ。記事で報じられて以来、地元では食べログランキングへの不満が渦巻いているという噂を聞きつけた週プレは、急遽(きゅうきょ)「うどん県」に飛び、人々の声を拾ってみた。

まずは自営業のAさん(30代・男性)から。

「うどんは大好きやし、昼食だと最低でも週に3回は口にしてますけど、あのランキングはない! 香川にはうどん屋以外、うまいメシ屋がないみたいやないですか」

ショップ店員のBさん(20代・女性)もこう言う。

「食文化が貧弱で、県民の舌もうどんのうまいまずいしか判断できないって言われてるようで、ええ気分はしませんよね。今や全国的に有名になりつつある骨付鳥や、瀬戸内海で捕れる新鮮な魚を出す店だって繁盛してるんやし」

他にも、食べログランキングに対する恨み節は、街のそこここで聞かれた。

ランキングの裏にあるカラクリ

取材を進めるうち、ランキングの裏にあるカラクリを見抜いた人物に出会う。営業職のCさん(40代・男性)だ。

「そもそも、地方の中小都市にある飲食店の評価を食べログに投稿する人って、たいてい県外からの観光客とかが中心なんですよ。だからどうしても、その土地の名物料理の店が中心になる。ましてや、何年も前から香川でのうどん屋巡りが一種のブームみたいになってるから、トップ10が全部うどん屋になるのも不思議やないですね」

確かに、トップ10各店のコメント欄を見ると、香川県民からの投稿はほとんどない。

「県外の人は結構、誤解してますけど、地元民でうまいうどん屋を求めてあっちこっち行ってる人って、決して多数派やないんですよ。というのも、どこでも近場にそこそこうまいうどん屋があるから、わざわざ遠出する必要がない。僕らにとってうどんは名物というより、日常食やからね。

逆に結構、遠くの店に行く地元のマニアは、どこにどんな名店があるかなんてとっくにわかってる。そやから、いずれにしても香川県民はうどん屋探すのに食べログなんて、まず使わんし、わざわざうまいのまずいのって投稿もしませんよ」(Cさん)

結局、あの食べログのランキングは、香川にある飲食店をうまい順に並べたものでもなければ、香川県民の食の好みが反映されたものでもないってことのようだ。

けど、他県民の意見だとしても、ベスト10のすべてをうどん店が占める県って……。