いま最も勢いのあるガールズバンドとして「週プレNEWS」が注目するGacharic Spin、通称ガチャピン!

昨年、メジャーデビューし今年2月にはシングルCDをリリースしたガールズバンド「Gacharic Spin(ガチャリック スピン)」。

メジャーデビュー直後にも関わらず、Zepp Diver Cityで開催したワンマンではソールドアウトを達成。通称ガチャスピ、ガチャなどと呼ばれる彼女らのパフォーマンスに虜(とりこ)となる熱狂的ファンを増やしている、今注目の存在なのだ。

実力派バンドとしてロックファンに認められながらもコミックバンドのようなパフォーマンスを取り入れ、アイドル風な衣装を着込むーーぶっちゃけ、何をしでかすかわからない異端児。その変幻自在なスタイルと、対バンで恐れられるファンとの一体化したパフォーマンスの魅力を前回は伝えた(記事はこちら⇒http://wpb.shueisha.co.jp/2015/03/07/44348/)。

彼女らがなぜ、そうしたスタイルになったのか? どこへ向かって進化しようとしているのか? 今回はパフォーマーふたりを除く、リーダー・F チョッパー KOGA(ベース、以下KOGA)、TOMO-ZO(ギター)、はな(ドラム・メインボーカル)、オレオレオナ(キーボード・メインボーカル、以下オレオ)の4人に直撃した。

―早速ですが、どんなバンドなのか自己紹介をお願いします。

KOGA はい、ではリーダーの私から。ガチャリックスピンは私とはなで立ち上げたんですけど、もともとガールズバンドは意識してなくて。TOMO-ZOも含めて、たまたま集まったメンバーが女のコだっただけなんですよ。

初期の頃からメンバーチェンジとかあって、他にセンターボーカルがいたんですけど、2012年に脱退するってことになった時に、さすがにヤバイぞ!って。

―今、ボーカルを主に務めてるのはドラムのはなさんと、キーボードのオレオレオナさんですが。その時、メインボーカルがいきなり不在に…。

KOGA そうなんです。それもツアー中ですよ。

はな 一番最初にピンチを感じたのはそこですね(遠い目)。

KOGA だからって、決まっちゃってるものはやめられないんで、どうにかサポートボーカルとしていろんな人にお願いして。そこまでは大丈夫だったんですけど…。

TOMO―ZO 大丈夫じゃないけど。全然大丈夫じゃないよ(笑)。

―まぁ、どうにか凌(しの)いでいたと。

KOGA なんとかなっちゃたんです。でも、それからすぐフランスツアーが決まっちゃったんですよ。

はな 呼ばれた時に、いや、ボーカルちょっといないんで今は行けないからって言ったら、いなくていいからと(笑)。

TOMO―ZO だったら、フランス行きたいよねって(笑)。

はな じゃあ行こう!みたいになったはいいけどー、誰が歌うの?って(笑)。

―なんですか、その軽いノリ! そこらへんからやっぱりハチャメチャですね。

ツアーに救世主登場!でもおばさん?

KOGA まぁそこで救世主としてサポートで助けてくれたのが、オレオレオナなんですよ。本当は普通にキーボードとして加入したんですけど(笑)。そこからツインボーカルという形になって。この楽器チームの土台ができた海外ツアーでしたね。

はな あれがなかったら、こういうスタイルはなかったかもしれない。普通にもう必死にボーカル探してー、見つからなかったら活動休止にするしかないかとか。グダグダになってたかもしれないし。

KOGA 過酷な状態で過酷な海外ツアーに行ったんで、やっぱり強くなりましたね。だから、どーでもなるか!みたいな(笑)。ホントにあれは大きかったと思います。

―まさに修羅場を乗り越えて進化したと。オレオさんは加入する際に迷いとかなかったんですか?

オレオ テクニックはもちろんだけど、なんといっても、この人たち女子なのに強すぎて(笑)。サポートの時から、とてもじゃないけど絶対ついていけない!って思ってた。

―でも、それって過酷なフランスツアーの前ですよね?

オレオ そうなんですけど。その前から頑張りがすごいんですよ。私、もともと頑張れる性格じゃないから、こんなにひとつのことを頑張れるコたちいるんだ!って。

TOMO―ZO どこのおばさんだよ(笑)。

KOGA でも、ファンの声も大きかったよね。ボーカルがいない間も支えてくれて、「(オレオは)メンバーだ!」くらいで言われてたんですよ。それは結構、たぶん大きかったんじゃないのかなって。

オレオ そうね。たぶん、当時からその……華があったと思う。みんな必死だったんで、私はある意味、自由にこう、ふぁーって(笑)。

はな あぁ、せっかくの美談がまたこうやって、はぁ~。

リーダーとしてバンドを率いるFチョッパーKOGA。かつてグラビアアイドルとして活躍していたが、いまや派手なスラップ奏法でライブを盛り上げる実力派ベーシストへ

アイドル扱いも今ではよし!

―今はガチャピンとして多彩な要素がある多面的なバンドですが、当初からそのつもりではなかったと?

KOGA こうではなかった(笑)。

はな ボーカルが抜けるとかっていう予定もなかった(爆笑)。でも結成する時点でもうKOGAさんがものすごい熱かったですね。バンドやるなら、これが最後。だから、きちんと売れるものを目指して集中しようって。途中からはドリフターズみたいになりたい的な感じにはなってたんですけど(笑)。

KOGA 友達ノリとかじゃなくて、真剣にみたいな。ちゃんと演奏する人を入れる予定だったけど…まあまあまあ、いいんですけど(笑)。最初はお客さんなんか当然いなくて、床に向かって演奏してましたからね。

はな 作ったばかりで、もちろん無名だからお客さんがいるわけがないのはわかってるのに、なんでツアーに行くんだろうみたいな(笑)。さっきの話とかも含めて、結構、他のバンドよりいろんな事件もすっごい起きてるんですけど、そのたびにピンチを全部チャンスに変えてこられたのでよかったですね。

―それがあるから今があると。そんなオレオさんの参加、後でパフォーマーふたりも加わってバンドが変わったんですよね?

TOMO―ZO オレオは異物だよね(笑)。

オレオ そうですね(苦笑)。でも、真面目でちゃんと頑張り屋さんの3人の中に異物混入じゃないですけど…風穴って言うんですか? 新たな可能性を開いてあげたの!(笑)

3人 ………。

―…あっ、じゃあ今日はいない、パフォーマーの1号 まいさんと2号 ありささんのお話も伺いましょう!

KOGA 彼女たちはツインボーカルでいこうって決めた時に、みんな手がふさがってるじゃないですか。それで、その代わりになる人物としてパフォーマーを入れようって話に。

TOMO―ZO でもそれも、ダンスだけで探してたわけじゃなかったんだよね。

KOGA ニューハーフの方やマジシャンに声かけたりとか。ボーカルがいない時点で、もうバンドの枠からどんどんはみ出てるから、なんでもありなバンドっていうスタンスにしたんですよ。それで落ち着いたのがそのふたりで。6人で活動をすることになって、どんどんどんどん枠からはみ出て今のスタイルになったって感じです。

はな あと、ふたりは「ガチャガチャダンサーズ」っていうアイドルとしての活動も始めたので、バンド自体、アイドルって側面も出てきたよね。

KOGA アイドルといってもいいかな(笑)。始めた時は、そう呼ばれるのがすごく嫌だったんですよ。でも今は「よし! やったー!」って。

オレオ それは年齢を重ねたから…。「えっ、アイドルでいい? いいのー!?」みたいな(笑)。

KOGA 6人になってから、アイドルとの対バンとか一緒にツアー行ったりすることも多いんで。見ていると、アイドルの人たちって根性がすごいんですよね、いわゆるその辺の男性のバンドよりも。ホントに尊敬できるから、そういう意味でも嫌だと感じなくなったんですよ。

ドラムはもちろん、様々な楽器を扱え、音楽的な面でバンドを引っ張る、はな。女性や子供からの人気が高く、子供からのファンレターには「はなちゃんのお嫁さんになりたい」と書かれていたそう

バンド名の由来は? 緑色のあいつは関係ない!

―この前は東京女子流やアップアップガールズ(仮)とも対バンやっていましたよね。

KOGA これだけ全力エンターテインメント系ガールズバンドって言われてるから、すっごいゴリゴリのメタルバンドやアイドルの方たち、ギターロックともやることあるんですけど。ホントにどの枠にいっても組めるし、馴染めるバンドになれたと思いますね。なんかもう、全然なんでもこいという意気です。

はな Gacharic Spinという名前自体が、ガチャガチャしたメンバーがガチャガチャしたいろんな音楽を高速でスピンして駆けてる、というイメージなんですよ。いろんな見せ方ができるバンドで結構びっくりされることが多いですね。ほんとにドリフターズじゃないですけどコントみたいなことがあったりとか。

―そうやって、異色な感じが出てからファンも増えた印象?

はな 最初、パフォーマーが入った時にやっぱり一瞬、「えっ?」みたいな賛否両論あったんですよ。でも、最初は否定的だった人たちもふたりの頑張りを見て、完全にこの6人を認めてくれて。さらにファンも増えたかなと感じたことはあります。

KOGA たぶん、ガールズバンドって、可愛いイメージかロックなカッコいいイメージだと思うんですよ。でも私たちは全然どこにも属さない6人がバンドをやっているので、音楽とかバンドとかに興味ないって人でも一回ライブを見てもらえれば、音楽だけじゃなくてパフォーマンスや衣装も楽しんでもらえる遊園地みたいな感じだと思います。

―なるほど。それで今後、さらにこんな企画をやりたいとか常に仕掛けを考えてる?

オレオ セクシーなビジュアル担当のはずなのにブサイクキャラになっちゃってるんです。でも、今までセット16円のつけまつげを使ってたのを最近はドンキホーテの1個100円くらいの高級なやつに変えたり、自分の中ですごくモチベーションも上げてるので。いつかは、あのコ、ビジュアル担当だよねって言われるのを…。

はな オレオ~、TOMO-ZOがすごい笑ってる(笑)。ってか、自分でも笑ってるじゃん!

オレオ まあ、理想っていうか…幻(苦笑)。

TOMO―ZO …まぼろセクシー。

はな 常にいろんな仕掛けとか、いろんなネタをもっとしたいなと思って考えてるけど、まだ具体的には言えないな~。

KOGA 個人的にゴールデンボンバーさんとか氣志團さんとコラボしたいですね。なんか、すごいエンターテインメントじゃないですか。でもバンドだし。一緒にできたら新しい何かが生まれるんじゃないかと思います。

TOMO―ZO え~と、そうですね。今度、5月3日(日・祝)に渋谷公会堂でワンマンライブをやるんですよ。前回のZeppでもかなりな仕掛けを出したんですけど、さらにいろいろと考えているので楽しんでほしいなと思います。

ほぼ初期メンバーで最初の練習では“ギター回し”から始まったTOMO-ZO。今年、宇宙人であることを暴露。世界征服に向けて、その寡黙なカワイさと笑顔でファンをメロメロにする

なぜか最後におっぱい改造宣言?

―そうですよ、ついに渋谷公会堂にまでステージアップ! 波乱万丈でしたが、メジャーデビューも含めて「やっとこれたな」という感じですか?

KOGA 正直、メジャーの話は何回かあったんですけど、このスタイルでいいよって認められてからやりたいと思ってたんです。今、6人がいい感じで固まってきたところなので「まさに今だ!」という感じですね。

―時は来た!と。では、TOMO-ZOさん以外の3人にも渋公に向けての意気込みを最後にお願いします。

KOGA 自分で言うのもおかしいんですけど、プレイヤーとしてもテクニカルで激しい演奏も聞き所だと思ってます。その中で踊るパフォーマーがいるっていうのもすごい面白い合体だと思いますし、「こんなバンド見たことない!」と言わせるので、まず渋谷公会堂に観に来てもらえたら嬉しいです。

はな 少しずつ大きい会場になってきて。やれることはその都度、毎回全力でやってるんで、今回もそれを越える全力のものを届けたいですね。

それと私、今まで結構冷めてたんですよ。でも、オレオが正式加入する前に頑張ってるうちらを見て感動したように、私もファンの方を見ていて感動する心が芽生え始めてきてるんです。遅いんだけど…(笑)。

そういう意味で、一体感をもっと大事にしたいなと思うようになっていて、やっぱ渋公って広いし距離もあるんだけど、ひとつの一体感を作っていきたいと思っています。

オレオ 私の光り方を見てほしいなって。まだちょっと準備中なんですけど、ここの部分を改造しようかなと。

KOGA おっぱい? おっぱい改造すんの!?

オレオ おっぱい装置のほうをパワーアップさせたいなと。普段は衣装の胸のところにLEDを巻いたブラジャーをつけてるんですけど、さらに成長させますよ。中のボリュームが変わるわけではないのでご安心ください(笑)。

TOMO―ZO はなのイイ話からのおっぱいって…。やっぱり台無し(笑)。

もともとシンガーソングライターやダンサーとしても活動していたオレオレオナ。ときにはパフォーマーよりも激しく踊り、キーボードの上に仁王立ちする暴れん坊。ファンには怖いと引かれたこともご愛敬

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)