マツダ「CX-3」 高級感でアタマひとつ抜ける!エンジンは1.5Lディーゼル一本!

過熱するコンパクトSUV市場に、ついにマツダが「CX-3」で参入した。

はたして、同クラスで先行するライバルの日産「ジューク」やホンダ「ヴェゼル」と勝負できる出来栄えなのだろうか?

まずCX-3の基本骨格はデミオと共通で、ダッシュボードやフロントシートもデミオと同じ。ジュークやヴェゼルが内外装とも専用デザインだということを考えると、さびしい気がしないでもない。

しかし、モノの高級感ではCX-3がアタマひとつ抜けている。上級グレードの白いレザーや赤ステッチなどは、まさに職人仕事レベルで完全にクラス水準を超える。

体を包み込むような前席シート。ハンドルは前後位置と高さが調整可能、シート高も40㎜上下でき、より自分好みの運転姿勢にできる

そういえば、(CX-3とほぼ同じ仕立ての)デミオの内装をしげしげと眺めて「こんなに金かけてんのかぁ」と某国産メーカー担当者がタメ息をついていたことを思い出す。今のマツダのインテリアはお世辞抜きで、ちょっとすごい。

スタイリングについてはジュークがデビューしたときの衝撃には劣るが、このサイズに「ロングノーズ&スモールキャビン」の古典的カッコよさをブチ込んだCX-3もなかなか。

また、コンパクトカーでは(本来は高級車にしか似合わない)大型グリルは使わないのが定石だが、CX-3には、あえてグリルらしいグリルが与えられている。こういうグリルは精密なメッキ加工や樹脂成形が求められる。コストをケチると即座に安っぽくなるものだが、CX-3の仕上げはお見事。遠目でもキラリと光る高級感と存在感には素直に感心する。

スモールキャビンのプロポーションから想像される通り、CX-3の後席や荷室の実用性はそこそこレベル。正直いって、普通の小型ハッチバックでもこれより広い例は少なくない。

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マニアの心をくすぐる仕様

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ジュークはさらに狭く、この2台についてはムサい大男が4人乗ると、酸素が薄くなりそうな閉所感だ。この点では、室内も荷室もミドルクラスワゴン並みに広いヴェゼル(フィットがベース)のひとり勝ち。大荷物になる趣味を持つ人にはヴェゼル以外の選択肢はない。

CX-3のエンジンは1.5リッターディーゼル一本だ。このエンジンはデミオではスポーツモデル扱いだが、CX-3は同じエンジンのデミオより100kg以上重いので、遅くはないが激速でもない。スピードについてはジュークのGT(1.6リッターガソリンターボ)やヴェゼルのハイブリッドのほうがハッキリ上だ。

CX-3にはジュークやヴェゼルにある安価な1.5リッターガソリン車が用意されていないので価格帯も高め。だが2015年度も「クリーンディーゼル補助金」は残るようだし(10月7日申請分まで)、CX-3には低速自動ブレーキなどの最新安全技術も設定されている。

加えて、圧倒的な高級感や品質を考えればジュークGTやヴェゼルハイブリッドより割高ではないし、CX-3は「そもそも価格や品質はひとクラス上のアクセラが基準」(マツダ開発陣談)という野心作なのだ。

こういう「いいクルマ造ったんだ、文句あるか!?」の強気姿勢も最近のマツダの頼もしさだが、第一印象で「安くねぇな」と思ってしまうのも事実である。

CX-3はエンジンが1種類しかない代わりに変速機でマニュアルとオートマ、駆動方式でFFと4WD…というすべての組み合わせが全グレードで選べる。

「マニュアルの4WD」なんて今の日本では超レアなオタク仕様だが、(CX-3が国内初披露された)今年1月の東京オートサロン会場では、わざわざ「マニュアルの4WD、いいっすねぇ~」と言い寄ってきたオタクもいたとか。

マニアの心をくすぐる仕様がにくいCX-3。クルマ好きなら買いといっていいだろう。

(取材/佐野弘宗 撮影/有高唯之[CX-3、ジューク] 岡倉禎志[ヴェゼル])