初めて走るサーキットの気持ちよさに、車内で「おー!」と奇声を上げながらオーリスを運転する記者

新型「スープラ」(TOYOTA)や「S660」(HONDA)など最近、続々と発表される新型スポーツカー。

改めてその人気やカッコよさを実感している人も多いだろうが、実際に購入できるかというと正直、難しい。あくまで2台目、余裕のある大人のクルマかもしれない。

それでも、颯爽(さっそう)と走るその姿は魅力的だ。できれば、日常の使い勝手もよく、尚かつ高速ではそのスピード感を感じられる、いいとこ取りのスポーティなクルマがあれば理想的。そんな欲求に応えてくれるのが、マイナーチェンジをした新型「オーリス」(TOYOTA)だ

4月6日、袖ヶ浦フォレストレースウェイで、そのオーリスの試乗会が行なわれた。クルマといえば、普段は地元の埼玉北部を軽自動車か軽トラを移動目的で走らせるだけ。走りのなんたるかもわかっていない記者だったが、サーキット走行ができると聞き、ウキウキ気分で現地入り。

会場に着くと、真新しいオーリスがずらっと何台も並んでいる。「おー、国道沿いの販売店とは大違いだっ!」と声に出した後で気がついた。専門誌の記者や自動車ジャーナリストっぽい人々がうようよいるではないか。もうすでに場違い感、丸出しである。

受付けを済ませ、まだ時間もあるので、展示されているオーリスを見に行くことに。

ちょっといかつい感じもするが、洗練された顔立ちのオーリス

近くで見てみると、あれ? わりとカッコいい。クルマの外見などはまったく気にしていなかったが(ごめんなさい!)、切れ目のライトがスタイリッシュでありながらバンパーの下は裾が広がったような形で存在感も十分。内装もシートの大部分に本革が使われていて大人っぽいし、何よりパネル周りが木目調でプレミアム感が溢れ出ている。ん~、これが“ラグジュアリー”ってヤツか!?

利便性・安全性はバッチリ!

上質な内装が印象的。ドア横やパネル付近に細かな収納も

車内を細かく見れば、各所に収納が配置され、運転席に座っていても細かな荷物をしまうことができる。ハッチバックなので当然ミニバンほどではないが、荷室もそれなりに広く、旅行やレジャーに行く時でも困ることはなさそうだ。

5人乗りの車体は広さも十分で使い勝手良し

そして、ようやく試乗…の前に案内されたのが、「Toyota Safety Sense」体験。何かと思えば、マイナーチェンジで新たに追加された3つの安全機能のことだという。今回はそのうちのひとつ、レーザーレーダーと単眼カメラで前方の障害物を検知し、衝突を回避支援する「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ(PCS)」を体感することに。

障害物に向かって時速30kmで走行していると、直前で鳴り響くブザー。そのタイミングでアクセルを離すと、本当に障害物スレスレでピタッと車体が止まった! あらかじめ「ブレーキをかけないでください」と言われていたので正直不安だったが、ちゃんと止まってひと安心…どころか、かなり感動! 思わず「現代技術、すげぇー!」と呟(つぶや)いたら、助手席のスタッフの方に「そうですね」と苦笑されてしまった。

初めて理解できたクルマの“走り”

何はともあれ、今度こそ待ちに待ったサーキットでの試乗。頭の中にコース図を叩きこんで、ピットアウト! ピットエリアから出た瞬間、スーッと加速し気分だけはF1レーサーだ!(笑)

広いコースにワクワクしながらクルマを走らせると目の前にははっきりとわかる上り傾斜。普段乗っている軽自動車や軽トラなら一瞬、ガタッとスピードが落ちてしまうところだが、難なくスピードを上げて抜けていく。

最高出力85kw(116馬力)、最大トルク185N・m、そして1500~4000rpmの幅広い回転域に達する「1.2L直噴ターボエンジン」。燃費は19.4km/Lながらも1.8Lの走りとなるそう

これが新たに開発された「1.2L直噴ターボエンジン」の実力か! 少ない排気量ながら最大185N・mのトルクで力強い走りができるなどのスペックは素人にはピンときていなかったが、この坂を軽快に駆け抜けてみて、体で理解ができた! たぶん、最初の低速から高速に移る時のスムーズさもこのおかげなんだろう。

その後もサーキットの広い道幅を活用すべく無駄にクルマを左右に振ってカーブを曲がってみたり、キツめのコーナーを攻めてみたりと試乗を思う存分、堪能。ただ、あまりにはしゃぎ過ぎたので、他のクルマからはちょっと浮いていたかも。

ちなみに、この日はオーリス以外にも「G‘sハリアー」「G’sプリウスα」「86」の試乗会も同時開催していた。せっかくなので、スタイルも昔ながらのスポーツカー然とした「86」でサーキット走行しようとクルマに乗り込んだもののマニュアル車の運転を忘れてしまっていることに気がつき、あえなく断念。それが心残りだった…かな。

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)