なんとも物騒なばあさんがいたものだーー。

大阪府のJR天王寺駅前で66歳の男性を「カラオケ店に行こう」と逆ナンパ。個室で睡眠薬入りの缶ビールを飲ませて昏睡(こんすい)状態に陥らせ、現金3万円と携帯電話を奪ったとして、大阪市東成区の無職、藤原美代子容疑者(73歳)の逮捕が発表されたのは3月25日のこと。

周辺では昨年末にも高齢男性3人が同様の被害に遭っていて、警察は関連を調べているという。

それにしても、73歳で男性に“逆ナン昏睡強盗”を仕掛けて成功するとは一体どんな女性なのか? 藤原容疑者の自宅マンション界隈(かいわい)を取材してみた。

すると、彼女を知るひとりの商店主がこう証言する。

「とても73歳とは思えん赤やピンクのド派手なミニスカート姿で歩いとるから、このへんでは目立つばあさんやった。しかも、借りたカネを返さんことでも有名やった」

借金踏み倒しの常習犯だった!? 被害に遭ったという近所の理容店の店主(70代)に聞いた。

「たまに顔そりに来てくれてたんやけど、ある時、財布を忘れたと言って、顔そり代どころか、買い物をしたいのでその分も貸してほしいとせがまれ、5千円貸したんです。そしたら買い物後にまた来て『お向かいの米店でお米も買いたいから、もう5千円貸して』と。お客さんやし仕方ないなと、さらに5千円、計1万円を貸しました」

ところが、藤原容疑者は一向にお金を返さない。思い余って米店の店主にグチると衝撃の事実がわかった。米店の店主も藤原容疑者にせがまれ1万円を貸していたのだ。「私の貸した5千円でお米を買った後、『別の買い物に必要なお金を忘れた』と米店からも1万円を借りていたんです。米店の主人は『え~っ、あんたも被害者か。こっちも1万円、返してもらっていない』とあきれていました」(理容店の店主)

以前から画策されていた計画

その後、昨年の夏に藤原容疑者から理容店の店主のもとに「入院するので、しばらく会えない」との手紙が届く。ところが、その数日後、理容店の店主は元気そうに近くの駅前を闊歩(かっぽ)する藤原容疑者を目撃したという。

「カネを返す気なんてまったくない。あいつはホンマもんのウソつきですわ。実は5年ほど前に私の家内が亡くなった直後に店にやって来てニタッと笑いながら『奥さん亡くなって寂しいやろ。ウチが相手してやろか?』と、ささやかれたことがあったんです。今から考えると彼女は私がひとり者になったタイミングを狙って誘いをかけてきたんやと思います」

この頃から色仕掛けで男をたぶらかし、お金をむしり取ろうと画策していた可能性があるというわけだ。

とはいえ、その容姿は「鼻ペチャで出っ歯。目も小さかった」(前出・商店主)と、男を悩殺するには明らかに力不足。そこでやむなく、睡眠薬で眠らせて金品を奪い取る昏睡強盗へと転向したのだろうか…。

高齢化が進む日本。これからはばあさんの美人局(つつもたせ)や、じいさんの結婚詐欺などという、恐ろしい犯罪の多発する時代になるのかもしれない。

(取材/ボールルーム)