白金の高級マンション最上階ルームを購入するために日本テレビのスポンサーから1億7千万円を無利子で借りたという上重聡アナ。

他人の高級外車を乗り回し、通勤にまで利用するという金銭感覚は、かつて松坂大輔と甲子園で伝説の延長戦を投げ合った過去を持つ彼が「あったかもしれないプロ野球選手としての人生」を夢想してのもの?

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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私の母は、OL時代に友達と一緒に女優にスカウトされたが断ったと話していました。で、友達は今有名な女優になっていると。テレビにその女優が出てくると母は「本来は自分がいるべき場所に彼女がいるのだ、でも別に自分は女優なんか興味はないんだけど」という、実に複雑なリアクションをしていました。

肩を並べたライバルが、今は自分とは桁違いの世界に生きている。自分にもその権利はあったはずなのに…と思いたくなるのも無理はないけど、目を覚ませ!

メジャーで毎年何億円も稼いでいた松坂投手の奥さんは元・日本テレビのアナウンサー。その後輩アナである伝説の球児は、肘(ひじ)さえ壊さなければ自分も高級外車が並ぶ豪邸に有名美女と住んでいたはずだと、「あったかもしれない人生」を想像したのかも。

会社員にはあり得ない贅沢(ぜいたく)でも、本来約束されていた人生に照らせば、自分には受け取る資格があると思ったのかな。甲子園でヒーローになるってことは、男性にとって最高の栄誉であり、一生逃れられない呪縛なのね。

少年野球でとっとと身の程を知った男子は、地に足をつけて頑張りましょう。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。1972年生まれ。かつて勤めていた会社の先輩がイチロー選手の妻となったが、あまりにもタイプが違っていて自分と重ねることはできず、自身は誰の手本ともならず退社してはや5年