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ラッスンゴレライのデマ拡散で考える、なぜ陰謀論で物事を単純化するのか

[2015年04月15日]

『週刊プレイボーイ』本誌で「モーリー・ロバートソン の挑発的ニッポン革命計画」を連載中のマルチな異才・モーリー・ロバートソンが語る。

* * *

先日、8.6秒バズーカーの「ラッスンゴレライ」は在日朝鮮人による日本人ヘイトだ、というデマがネット上で拡散されました。いわく、8.6は「8月6日」、バズーカーは「原爆」、さらに落(ラッ)寸(スン)号令(ゴレ)雷(ライ)は米軍が原爆を落とす際に使う命令を意味する。在日がメディアをコントロールして、日本人ヘイトを浸透させようとしている…。いわゆる陰謀論の一種です。

9・11はアメリカの自作自演。東日本大震災は地震兵器「HAARP(ハープ)」による人為的な災害。歴史上の出来事はすべてユダヤ人が決めている―こうした陰謀論は荒唐無稽(こうとうむけい)ですが、放置していると多くの人々に浸透してしまうこともある。

現代における陰謀論は、ソーシャルメディア上で「これが真実だ!」「巨悪と戦おう!」と、雑な情報が流布し始め、どんどん増幅していく。最初は薄味の浅漬けでも、拡散されるうちにいろいろな“根拠”が提示され、いつの間にか奈良漬けの10倍くらい濃くなって、最後は口に入れただけでヤバい代物になる。でも、耐性のない人は「おいしい!」と、意外と受け入れてしまう。

例えば、いま10歳の子供たちに「広島・長崎に原爆が投下されたという話は捏造(ねつぞう)だ。アメリカと日本を仲違いさせるための陰謀だ」というネタを流し続けたとしましょう。たぶん2020年には、15歳になった彼らのうち、それなりの数が陰謀論を信じていると思う。

原爆投下直後、「放射能で多数の死者が出た」と批判されたアメリカ政府は「爆風では死んだが放射能とは関係ない」と因果関係を否定した。これは歴史的事実です―もちろん、責任を逃れるための詭弁(きべん)ですが。

でも、当時の公文書や新聞記事から都合のいい部分だけを抜き出し「ほら、原爆による死人はいない」という論の根拠として使うこともできる。こういう手口でほかの“証拠”を持ってくれば「原爆投下そのものが存在しなかった」と言うことさえできる。


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