こちらはスタバ…ではなく、その後Wi-Fiをひろった洒落たバー

ナマステ。ジャイプルから列車で17時間かけてインドの大都会ムンバイに到着。駅構内の最安値のチャイ7ルピー(約14円)でホっとひと息。甘~い!

植民地時代の名残(なごり)もあり、ポルトガル語でボンベイ(良港)と呼ばれるこの地は、16世紀には島々と小さな漁村だったけど、今や経済都市へと成長しました。相変わらず男性ばかりのインドの街中だけど、都会化されたムンバイでは外で働く女性もいるのだそう。

長距離列車が到着するムンバイ駅

長距離列車からローカル電車に乗り換え。憧れの棒につかまり外に半身出す乗り方にトライ。しかし強風にビビってしまった

そして、まさかここインドで緑のムンク顔のあの“女神”に会えるなんて、歓喜の叫びです!

日本では当たり前のようにお世話になっているスタバ。皆さんからしたら珍しいお店でもないですが、チャイの国インドでは2012年、ムンバイに1号店がオープン。急速に店舗数を増やしているインドカフェ界のニュー・ウェーブなんです。

先ほど駅で飲んだチャイ7ルピーに対し、フラペチーノ200ルピー(約400円)とスタバのお値段は世界共通。インドの超安宿なら一泊できちゃう価値ある飲み物は、旅人には少々贅沢品となっております。

しかし、タイで出会ったインド人の旅友と会う約束をしていた私は、スタバならWi-Fiもあるからという理由でフラペチることに。口実イェーイ!

ムンバイの観光名所でもある、インド最大の富豪が建てたタージマハル・ホテル。そのホテルに併設されるルイ・ヴィトンの並びにあるスタバは、コーヒー1杯買うためにも入り口でセキュリティーチェック。そんなスタバある?(笑)

「アジアの星」と称えられるタージマハル・ホテル

セキュリティーチェックのあるムンバイのスタバ

日本以上のホスピタリティーに感動!

久々のフラペチーノが身にしみる~! おいしすぎてイッキ飲みするとこだった(笑)!

店内はハイソなインド人と西洋人観光客がMacを広げてくつろいでいる。“INDIA”と書かれたスタバご当地マグカップがなければ、ここがインドと思えない異空間。炎天下から逃れてヒンヤリしたフラペチーノを手にすると、私は即座にストローをくわえご満悦!

「あ~生きてて良かった。ルンルン♪ そしてWi-Fiパスワードを教えてくださいな!」。すると、「かしこまりました。まずサイトにアクセスして携帯番号を入れてくださいね。」

はて? 携帯番号? 私、インドの番号持ってないですけど…。

どうやらアクセスコードが携帯に送られてくる仕組み。日々移動する旅人の私は携帯電話は持ち合わせておらず…ショボーン。すると、英語堪能なインド人スタッフがこう言いました。

「せっかく来ていただいたのに本当にごめんなさい。私たちはアナタにがっかりして欲しくないです。Wi-Fiを求めてオーダーしてくれたのではないですか? フラペチーノはキャンセルできますがいかがしましょうか」

えええ!? 今なんて? 聞き間違いかと、思わずもう一度同じセリフを言わせてしまいました(笑)。

いちコーヒーショップ、しかもここはインド、そして私は汚い布の服を着た旅人(笑)。こんなに丁寧な対応されるとは思ってもみなかった! 久々に日本のような、いや日本以上のホスピタリティーに感動した!

「私、フラペチーノ(本当に)飲みたかったんです。ダンニャワード!」

インドでこの「おもてなし」に出会えるとは、スタバの教育は世界共通と実感。毎日、リキシャのオヤジと戦ってる旅人にとって、まるでオアシスのような場所でした。

できることならおみやげに、すっごい欲しかったスタバマグ。重いし割れるし旅人には無縁

スタバマグのデザインにもなっているムンバイのシンボル! 湾に面して建つ玄武岩でできたクジャラート様式のインド門

インド友人の意外な素顔

その後、友達と無事合流。インド人の彼は襟付きのシャツを着てキレイな車で颯爽(さっそう)と現れ、白い歯を見せて笑い流暢(りゅうちょう)な英語を操る都会の男だった。

旅人あるあるで、旅の間は皆同じような旅服を着て出会い、髪が乱れていたりスッピンだったりするけど、旅を終えた“普段”の皆はビフォーアフターのように違ってビックリする。そう、私だって普段の生活に帰ればもう少しキレイに整ってる(はず!笑)。

都会派の彼がオススメするお店は、ムンバイならではのパールシー料理(ペルシャ料理)。“パールシー”とはペルシャの訛(なま)りでイランからきたゾロアスター教信者のこと。裕福で教育レベルの高い人が多く、タージマハル・ホテルを作ったタタ財閥やクイーンのフレディ・マーキュリーもそうらしい。

肝心のお料理はサクっと衣のフワフワチキンやバーベリーサフランライスなど日本人の口にも合って、すっごくおいしい! カジュアルなお店なのに店員さんが料理をサーブしてくれたり、これまたおもてなしもバッチリ。

そして腹パンな私が車に乗ろうとすると、友人はサッとドアを開けてくれるジェントルっぷり。イギリス植民地時代の名残なのか、インドにはレディ・ファーストの風習があることをここムンバイで実感。

パールシー料理。ごはんからデザートまで全部おいしい!

インドはどの都市も、まるでひとつの国のように表情が異なり面白い。海に面するムンバイは景色もステキだし、ジェントルマンが多くインドでも過ごしやすそうな都会。できれば明日もフラペチーノしたいとこ。

しかーし! 残念なことに安宿がないため、実は旅人には過ごしにくいと評判なのだ(笑)。

毎度おなじみ「これがゆっくり旅行ならなぁ」と後ろ髪をひかれつつ、宿泊費を浮かすためにも寝台バスで移動することに決定。寝台列車からの寝台バスに腰がトホホを隠せませんが、これもまだ長い旅路のため。30℃を越える炎天下を歩き、体はベタベタですが今夜もシャワーを浴びられません! これはツライ(笑)!

バスに乗り込むが出発時間を過ぎても動く気配なし。

「もう、のんびり屋さんめ!」

運転手にプレッシャーでもかけようかと、外でおしゃべりするバススタッフの元へ近寄ると…、

「えええ! バスのタイヤ1個ないじゃん!!」

まいったなーのポーズのバススタッフ

機械を使わずレンチに乗って体重でボルトを締めるスタッフたち。しかも笑顔。所要2時間

不安……。このバス乗るのイヤなんだけど…。

と思ったのも束の間、バスが遅れたおかげで100万ルピーの夜景が見れたよ。ラッキー! 「きっと、あのビルの高層階でマハラジャが豪遊しているんだろうな~」。久々の都会の夜景にちょっと東京を恋しく思ったマリーシャでした。

【This week’s BLUE】インドにもツインタワーがありました! 都会にはあるんだね! 駅のホームから見えたインペリアルタワー。

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】