1982年に世界遺産となった高さ約195m、ジャングルに浮かぶシーギリヤロック

みなさん、アーユボワーン(シンハラ語でこんにちわ)! インド半島からインド洋にポロリと落ちた涙型の島国、スリランカにやってきました!

またまたカレーの国ですが、かつてはイギリス植民地でセイロンティーも有名な紅茶の国でもあります。人々の顔立ちはインド人と似てるけど、性格はおとなしめ? お隣の国なのにこれまた雰囲気がガラリと違う。未知の国スリランカはこんなところです!

コロンボという刑事みたいな名前の都市の空港に着くとビックリ! 入国スタンプを押してもらってる目の前に、なぜか大型電化製品の山が。イミグレを出た瞬間に洗濯機や冷蔵庫、テレビなどが販売されている。こんな空港見たことがないし不自然すぎる。そもそも飛行機を降りてすぐ家電を買う人なんているんかい? って、買ってるし(笑)!

なんでもスリランカは電化製品の税金が高いので、免税になる空港内で買っていくのがお得なんだとか! なるほどね~。納得!

イミグレ出てすぐ家電だらけ! 買う人なんて…と見渡すと、買うんかい!

おっと、家電屋でのんびりしているヒマはない。スリランカのハイライト、狂気の王が造ったという天空の城「シーギリヤロック」の遺跡を目指さなければ!

夕方5時発の最終列車の3等車両になんとか間に合うと、「ヒエー! つぶれるっ!!」。東京のラッシュアワー顔負けの混み具合。帰宅時なのだろうか、インドと同様、ドアの手すりにぶら下がり、落ちそうな姿勢で乗客が外にはみ出してる。

私はバックパックを支えながら空気椅子状態になって焦っていると、スリランカ人は体の触れてる部分にスペースを作ってくれたりと気遣ってくれた。その行動はチカンに間違われないように振舞う日本人男性に少し似ている気がした。

もみくちゃの列車がすいてやっと撮影。3等だけどスリもチカンもいなくて良かった~

街中に入ると道は舗装されてキレイだし、歩く人たちの身なりもキチンとしてる。トゥクトゥクもダークブラウンの小ギレイな屋根でちょっとオシャレ感!

リアル『天空の城ラピュタ』現る!

キャンディ。今度は大型電化製品ではなく大きなブッダがお出迎え。さすが仏教徒7割

コロンボから北へ3時間、キャンディというオイシそうな名前の街へ到着。さらにバスを乗り継ぎシーギリヤに着くと、ジャングルの中に巨大な岩山が見えてきた。

生い茂る背の高い木々の真ん中をドーンと突き抜けるようにそびえる巨大な岩。麓(ふもと)が見えないその姿は、まるで空に浮かんでいるかのよう。まさにリアル『天空の城ラピュタ』だ!

天空の城・シーギリヤロック。本当に空に浮かんでいるみたいに見える

火道(マグマが地中に貫入する時の通り道)内のマグマが硬化してできた楕円形の岩頸(がんけい)は標高約370m、高さ約195m。その山頂には“狂気の王”が造った宮殿遺跡が遺されており、庭園や貯水池も見られる。

シンハ王朝の5世紀、王座を欲して実父を殺してしまったカッサバ王は、その後悔と弟モッガラーナの復讐を恐れて、この岩の頂上に要塞として王宮を建て暮らしていたんだとか。

結局、弟の軍に負けて自殺してしまうカッサバ王だけど、生きている時に壁に描いた“シーギリヤ・レディ”のフレスコ画はその時代のものとは思えない素晴らしい出来。いつの時代も芸術家には変わり者が多いんだろうな。

入場料がインドのタージマハル同様、スリランカ人50スリランカルピー(約50円)に対し、外国人3900スリランカルピーと78倍(!)はいただけないけど、この不思議な岩の存在感に圧倒され、地球の神秘に感無量…!

粘土や土、石灰や砂、蜂蜜、野菜や花、葉、木を材料にして描いたシーギリヤ・レディのフレスコ画。当初は500人だったのが現在は18人しか残っていない

王様のプール。こんな岩上にプールとは贅沢です

上品で人懐こい女学生たち

シーギリヤの頂上は小さなマチュピチュのようでもある

頂上に辿(たど)り着くと、今は崩壊してしまった要塞に巨神兵が…! ではなく、地元の学生たちが遠足にきていた。

スリランカの教育は2千年以上の歴史を持ち、識字率は92.5%。おさげにリゾート風のお帽子をかぶって上品で優秀そうな女学生たちは英語が上手で「スリランカはお好きですか?」と必ずそう聞いてくる。

母国の歴史的遺産よりも異国から来た外国人が珍しいのか、ニコニコしながら集まってきて「一緒に写真を撮ってくれ」と、とても人懐こい。

英語が上手で上品なスリランカの学生たち

字も書ければ、絵もウマイ。スリランカの子供たちの絵心はいかがでしょう

頂上からの絶景を眺めていると、あまりにも静かで、何か物悲しい風の音しか聞こえない。そして自分が『天空の城ラピュタ』にいるような感覚になり、頭の中であのメロディが流れ始めた。

完全にジブリの世界に陶酔した私の頭には、悪役ムスカのように「見ろぉ! 人がゴミのようだ!」と、下界を見下ろし狂乱する王の姿が浮かぶ。後悔と恐怖の念と戦いながら過ごした岩上の生活は、孤独で寂しかったに違いない…。

頂上から見下ろした王朝敷地内

すると突然、ひとりの女学生が恥ずかしそうに私に指輪をくれた!

「え! これ、私に?」

華奢(きゃしゃ)なシルバーリング、旅のお守りにしよう。まるで飛行石を手に入れたような気分になった私は「バルス(ラピュタの崩壊の呪文)」ではなく「ストゥーティー(ありがとう)!」と叫んで、岩山を降りた。

“天空の城”を堪能し、ラピュタパン(目玉焼きを乗せたトースト)でもかじりたいところだけど、スリランカカレーでお腹を満たしたら急いで次の街へ出発だ。モタモタしてたら空中海賊ドーラにどやされるよ! 「40秒で支度しな!」ってね。

スリランカでは「ライス&カレー」って呼ぶ。味? インドの圧勝です!

【This week’s BLUE】下手ウマな絵で描かれた警察。壁画が有名なだけあってなのか、街中にはこういったイラストが多い。

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログ、Twitter【marysha98】もチェック!