20代なのに早くもメタボ予備軍の週プレ読モ・三浦君(左)。坂詰氏の理想的すぎる細マッチョ体型に腰が引けつつもダイエットの決意を固める!

メタボなお腹が隠しきれない季節が到来し、この夏こそはダイエット! でも、ブームの糖質制限に派手な宣伝のジムなど、あふれる選択肢からどれを選ぶのが正解なのか?

そこで、今回はパーソナルトレーナーの坂詰真二氏に、流行のダイエット法に騙(だま)されず健康的に理想体型になる方法について聞いた!

―この1年で6kgも太ってしまい、洋服もLサイズに…(汗)。流行りの「糖質制限ダイエット」に挑戦しようかと思ってます。

坂詰 その前に1年間で6kg太った原因を考えてみましょう。もし、糖質をたくさん摂りすぎて太ったのなら糖質制限もいいでしょう。また、脂質の摂りすぎなら脂質制限ですね。でも、実は大抵の人の太った原因はそうではありません。

―でも、実際に糖質制限で痩せたという人は少なくないですよね?

坂詰 糖質制限で痩せるのは簡単です。なぜなら一般的な日本人のエネルギー摂取のバランスは「タンパク質15%、脂質25%、糖質60%」。糖質を全く摂らなければ6割の摂取エネルギーが減り、当然すぐに体重が落ちます。

糖質のかわりにタンパク質と脂質はいくら摂ってもいいという場合も、そのふたつは実際そんなには食べられないものです。なぜなら脳の食欲中枢は「血液中のブドウ糖の量」によって満腹や空腹を感じ、脂質やタンパク質の量は感じないから。つまり、「食欲」とは主に「糖質への欲求」なんですね。

だから糖質制限で体重は減りますが、それは心身にとって強いストレスとなります。さらに筋肉の分解、脳のダメージも引き起こす。極端な場合は死に至るリスクさえあるのです。

ダイエットもビジネスと同じ!

-せっかく痩せても体や脳が弱ったのでは本末転倒です。

坂詰 他にも流行のダイエットで「やってはいけない」ものは少なくありません。絶食や断食、「1週間でマイナス5kg」などの短期間のダイエットも心身の健康を損ねます。また骨盤の歪(ゆが)みを正しても体幹を鍛えても痩せられません。

私たちが太る主な原因は、単に「食べすぎ」か否か。消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーが多いという単純な理由です。そして、過食の背景には多くの場合、ストレスがあります。また、単純な食事制限では全身の筋肉も減って基礎代謝が下がってしまうため、これを防ぐために筋肉を増やす努力も必要。ですから「ストレス軽減」「食事制限」「筋トレ」を行なうことで不要な体脂肪だけを減らし、リバウンドしない理想的な体型になれるのです。

-すごくシンプルな理論ですね。具体的にはどうすれば?

坂詰 目標達成のためには、ダイエットもビジネスと同じ。まず「現状把握と目標設定」が大切です。できれば体脂肪計(体組成系)を用意し、体重と体脂肪の推移を把握しましょう。

-では早速、計測します! 体重78.6kg、体脂肪率24.7%…ん? 体年齢39歳って…(汗)。 と、とりあえず1年間で太った6kgは痩せたいですね。

坂詰 では、以下のような方法で具体的な目標値と期間を計算してみましょう。

【1】現状を知り、体重の下限を計算するまず、現在の体脂肪量は78.6kg×24.7%=19.4kgですね。残りの59.2kgが「除脂肪体重」といって筋肉、骨などの減らしてはいけない部分です。

一般の方が健康を保つためには、男性なら8%、女性は16%以上の体脂肪率が必要。その必要最低限の体脂肪率を除いて、体重の下限を設定します。●体重の下限=現在の除脂肪体重÷0.92(男性の場合)59.2kg÷0.92 = 64.3kg

体脂肪計を用意して現実を見つめよう。20代で体脂肪率24.7%はかなりヤバイ。そのうえ体年齢39歳にショックを隠しきれない三浦君

1週間の減量目標と期間を計算!

【2】目標を設定し、減らすべき体脂肪量、ダイエット期間の平均体重を計算する筋肉量は減らさずに、体脂肪量だけを減らすのが目標です。

●減らすべき体脂肪量=現状の体重-目標体重78.6kg-72.6kg = 6kg※目標体重は体重の下限を切らない範囲で設定します。

●ダイエット期間中の平均体重=(現在の体重+目標体重)÷2(78.6kg+72.6kg)÷2 = 75.6kg

【3】1週間の減脂肪量、目標達成期間を計算する健康と安全性を考慮し、1週間に減らす体脂肪量を体重の1.25%前後に設定します。ダイエット中の平均体重に0.0125をかけると1週間の減脂肪量が計算できます。

●1週間の減脂肪量=ダイエット中の平均体重×0.012575.6kg×0.0125 = 0.945kg

●目標達成期間=減らすべき体脂肪量÷1週間の減脂肪量6kg÷0.945kg = 6weeks

-つまり、1週間で約1kgずつ体脂肪を減らし6週間続ければいいんですね! それならできそうな気がします!

坂詰 注意したいのは、必ずしも計画通りにはいかない場合もあること。つらいのに無理をするとリバウンドにつながりますから、その場合はペースを落として決して無理はしないように。次回から具体的な食事制限と筋トレの基本についてお話します。

●坂詰真二(さかづめ・しんじ)NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト、パーソナルトレーナー。「スポーツ&サイエンス」代表。アスリートへの指導、スポーツ・医療系専門学校の講師を務めながら、雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)を始め、多くのメディアで監修、出演。『やってはいけないダイエット』(光文社)が好評発売中!

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/下城英悟)