“驚安の殿堂”がまさかの高級店オープン。その狙いは!?

「ドン・キホーテ」が新コンセプトの店舗を日本屈指の高級住宅街である白金台(しろかねだい)(東京都港区)に出店したことで話題を呼んでいる。

5月29日、白金台駅(東京メトロ・都営地下鉄)から徒歩2分の場所にオープンした24時間営業の「プラチナ ドン・キホーテ白金台店」(以下、「プラチナ ドンキ」)。

外観は従来の黄色と黒を基調としたものではなく、白とゴールドを基調とした落ち着いた雰囲気で看板の店名もアルファベットで表記。白金台の街並みに溶け込むための戦略と思われるが、同店だけで年商25億円を目指すというから強気だ。現在、25期連続で増収増益を達成しているドンキホーテホールディングスの攻めの姿勢を感じさせる店舗である。

同社の広報担当者に話を聞いた。

「これまでの『ドン・キホーテ』は郊外ロードサイド型店舗や都市繁華街型店舗が主流でしたが、『プラチナ ドンキ』は都市住宅地型店舗といえますね。同店は従来の『ドン・キホーテ』の“驚安感(きょうやすかん)”と猥雑(わいざつ)感を残しつつ、新たに高級感をミックスするというコンセプト。商品構成は地域に密着できるよう、生活必需品をメインとしています。

また、三重県津市にある松阪牛の専門店『朝日屋』さんにテナント出店していただいているのも同店ならではの特徴です」

なぜ白金台に?

そもそも、なぜ白金台に?

「今回、出店した物件は弊社グループの不動産会社がもともと所有していたもので、以前から出店の計画がありました。なので、白金台という場所にしたのは偶然といえます。ただ、『プラチナ ドンキ』の反響次第で今後、都市住宅地型の店舗展開を増やしていくことも検討する予定です」(阿部氏)

ということで、平日の夕方、記者が足を運ぶと店内は家族連れや学校帰りの制服姿の若者でにぎわっていた。

おなじみのドンキのテーマがボサノバ風だったり、店員たちの制服がチェック柄だったりと多少のハイソ感はあるけど、天井近くまで積み上げられた商品や人がギリギリすれ違える程度の通路幅など全体的には“いつものドンキ”。白金台だからといって、ヘンにシャレていないのは好印象だ。

売っている商品は食料品、日用雑貨、下着類などが大半でスーパーとドラッグストアを足したようなラインアップ。

「それほど大きな店舗ではないので商品カテゴリーを絞り込みました。ブランド品やバラエティグッズなどは置いていません」(阿部氏)

当然、アダルトグッズもなし。そして何より気になるのは商品の値段だが、松阪牛はともかく、他は単価が高いという感じはない。むしろお惣菜コーナーでは牛丼やからあげ弁当などが200円(税抜)という激安価格で提供されていて面食らったほどだ。

店内から出てきた40代の主婦もこう話した。

「この近隣はあまりスーパーがないので大歓迎。野菜の質とかは毎回チェックしようと思っていますけど、少なくとも米や飲料が安く買えるのはイイですね」

白金台のセレブ住民たちに、早くも受け入れられつつあるようだ。

(取材・文/A4studio)