芸能界の父であり母であり…自らは「寮母さん」と語るピーさんだが“ひとり上手”な素顔とは

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

前回の阿川佐和子さんからご紹介いただいた、第4回のゲストはピーターこと池畑慎之介さん。自らをタレントたちの“寮母さん”と称し「芸能界の父であり母であり」(by阿川さん)な存在だが、その一方では“ひとり上手”な私生活の素顔も…。後編はさらに赤裸々な発言が!?(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―交友も広くて、面倒見もよくてってお話ばかり聞いてると内実は違うんですね。

ピーター 出かけない、酒飲めない、それでネオンが嫌い、カラオケもダメっていう。だから音もかけないんですよ、葉山の家にいると。朝起きてすぐ音楽かけたりする人とかいるじゃない? それが信じられなくて…だから同棲もできないの。朝からお願いだから静かにしてって。もうダメ。たまんない。

―“NO LIFE、NO MUSIC”の人なんてありえないわけだ(笑)。

ピーター ダメですね~。海のそばにこうやっているのに、海の音とか聞きたいのにって思っちゃう。そういう機械的な音はなるべく排除して、家に居る時はリラックスして、音もなくぼ~っとしてるのが好きですね。

―お酒が飲めないっていうのは、それもなんか影響あるんですかね?

ピーター あります。だから11時過ぎに寝ちゃってるし。今まであん時お酒飲めてよかったっていうのが1回もないの。おいしいと思ったことないんで(笑)。もちろん、なんか自暴自棄になって酒飲んで潰れてやる!みたいな時もありましたよ。でも後悔するわけ。トイレから1時間出てこれないとか。

体質が合わないんです。おいしくないから、自分の家でまずぷしゅっなんて開けたことないし。ほんとに(笑)。味がわかんないの。だから、1回銀座ですごいお金持ちのおじさんなんだけど、ロマネコンティ抜いてくれたことがあって。すっげーあれ高いじゃない? でもその金くれよ、そっちのほうがいいわ!って(笑)。いやいや、でもほんと全然嬉しくもなんともないし(笑)。

―ありがたみも価値もわからないし、と(笑)。

ピーター で、ほんとにおいし~、ありがとうございます~って言えないのよ。何よ、こんなもんで! バカじゃないの?って言ったことはあるけど(笑)。

―いやてっきり、ブログとか見てると、普通に居酒屋とかいらっしゃったりしてるので全然お酒もありかと。

ピーター だからね、ご飯食べるのが早いって言われる。ほとんど1時間かからないうちに食べ終わっちゃうから。いつもみんなで行くと、もうちょっと時間楽しもうよって(笑)。懐石でもゆっくり出す順番ってあるじゃないですか? でも持ってきて、仲居さんがむこう向いた瞬間にもうないのよ(笑)。お箸つけたら1分もしないうちに食べ切っちゃう。

―それは落ち着かないかも(苦笑)。間があって、また会話が繋がって、弾んでというのが…。

ピーター でもだから、お酒飲めるようにはなりたいですよね。顔に出たりするのもイヤだし。たったビール1杯しか飲んでないのに酔ってるみたいに思われるのもイヤなの。それもあるんですよ。すごく気になるの。

お酒を飲むとキス魔になる!?

―その数少ない、ぐでんぐでんになった過去の中では、自分が乱れたり、人にみっともないところを見せたことも?

ピーター まぁ、チュー魔になるとは言われてますね(笑)。キス魔になるって。それはね、高輪会のやつでもみんなチューしてる写真いっぱい残ってます。なんか挨拶代わりみたい。それ見てると、ちゃんと相手選んでるねって言われるけど(笑)。

―あはははは(笑)。それはじゃあ、特に自己嫌悪というわけでもなく?

ピーター でも、怖いですよ。これが記憶ないかっていうと全然覚えてるし、でも全員にしてるつもりで、ほっぺたで逃げてる人もいれば、唇にする人もいれば、ハグだけで終わってる人もいてね。ピーさん、酔っぱらってるの?酔っぱらってないの?って言われる。そん時は楽しいからいいんだけどね。

―実は、僕も結構しちゃうんですよ。キスとかハグやっちゃうんですね(笑)。でも基本的に女性にはいかないんです。たぶん、男相手だとこれは遊びなんだって許されてる感覚があって。女のコにしちゃうと、いかにもヤラしいおっちゃんになっちゃうという意識がおそらく…。

ピーター 面白いわね。瞬間的になんか考えるんだろうね。エロオヤジに見られたくないっていう(笑)。

でもイメージってことでいうと、意外性って結構ありますよね。私なんか、六本木辺りで夜な夜などっか出掛けて朝方まで…ってみんなに思われてるんだもん。それが海を見ながら11時に寝てるなんてね。そんな健康的なことしてんだよって(笑)。

―そこでオンとオフというか、静と動の切り替えで自分を保っていられるみたいなものも?

ピーター なんかね、普段の生活は狂気じゃないほうがいいというか。普通でいたいんですよね、自分に正直に…。で、芝居とかっていうのは、全然自分と違う人のことやんなきゃいけないわけだから、ちょっとした狂気じゃないですか。これって面白いんだけど、普段はノーマルでいたいんですよ。放っておいてほしいし、芸能人扱いもされたくないし。そういうとこに行くのもイヤで。

―それでいうと反面不思議なのは、ブログとかで私生活や素の表情、こんな起き抜けの顔まで見せるんですか!?という。

ピーター 出しちゃってるでしょ? 自分が出す分にはね、いいの(笑)。まともにお料理持って普通の顔しても面白くないじゃない。写真だって、そのままじゃツマらないからふざけちゃいますよね。でも、そういうのも見せるから人間っぽいって言われるのよ。ブログってそういうのすごくよくわかるから。

―人間っぽいですし、ゴージャスな感じのすごく派手な世界に生きているんだろうってイメージがまったく違って…。

ピーター 私、ほんと普通のとこで普通にご飯食べてるのが好きだから。なんかその勝手なイメージで皆さん、こいつ大変なんだろうな~とかそういう風に思われるけど。全然安くて平気よって。

2LDKで国産車乗ってるほうが信用する

―ですから、実はそういうところも含めて周りの人もピーさんに安らぎを覚えるんでしょうかね。

ピーター そうかもしれないですね。私がすごくオープンマインドで、わりとフリーにいるから。上にも下にもいかない人なんで、そこがみんなバーッと来てくれて、居心地がいいってパーティーが10何年も続いてるんですけど。そこですよね、そこだと思う。

で、この前、顔出してくれたあるプロデューサーから「タレントがこんないい笑顔してるの珍しいよ」って言われたのね。みんなで写真撮ったり、ないよあんなの普通って。「よっぽどピーさんのこと、みんな好きなんだね~」って言ってくださったの。番組ではあんな笑顔なんか見られないって、それは悔しがってましたけど(笑)。

―最高の褒(ほ)め言葉ですね。まぁ、それこそ“友達の輪”の中心で華麗な交友関係なのも一般的にはセレブな印象を与えるのかもしれませんが。

ピーター 全然ですよ。40から熱海の山の上に家建てるくらい都会から離れたがりなんですから。まぁ、よぼよぼになったら都心の病院の隣のマンションみたいなところに行ってもいいけど。やっぱり自分が住む、寝るところって大事よ。そこがちゃんとしてない人はあんまり信用してないんです。

なんていうんだろう、バランスみたいなもの? ワンルームのマンションに住んでるけどポルシェ乗ってるとかみたいなのもダメなの。ポルシェ乗るなら似合う家に住んでほしいって。まだ2LDK住んで国産車乗ってるほうが私は信用する。

―見合った生き方、暮らしというか。

ピーター だから、20歳のOLとかキャバ嬢とかがね、バーキンなんか持つのもイヤなの。お金があっても、身の丈にあってなければ恥ずかしいと思わなきゃって。この歳ではまだ持たないよってチョイスもあると思うんだけど。パリの女のコでも、ルイ・ヴィトンとか若い人が買い漁(あさ)ってないでしょ? あれは歳をとっておばあちゃまからもらったのを持つのが夢なのって。

そういうクラスってものをやっぱり日本人は考えないと。バブルの時とかそうだったじゃない? お金でものをいわせるっていうことをして。成長したスゴい国になったかもしれないけど、お金の使い方知らない国なんだって思われて、今の中国と変わらないわけじゃないですか? そういうクラスの考え方って必要よ。差別じゃなくて区別。きっちり区別していくってことがね。

―ほんとそう思います。きちんと大人がね、それを伝えていかないと。

ピーター 歴史があるっていうことはそういうことだし、素敵だなって思う。一夜漬けじゃないなっていう。

でも日本の雑誌もね、いけないんだよ。すべてカタログ的なことをやるから。海外旅行のベテランみたいになって、行く前から情報を入れすぎるから自分で探そうとしないし。それは確かに便利だけど、この路地曲がったらこんな店見つけたっていう喜びがないわけですよ。だから、ビリッと破った地図持ってどっか行こうよって。

―ふらっと裏路地入って、自分だけの出会いや発見があるのがいいんですよね。

ピーター そう、そう。でもそれがあと、今の時代はネットとかスマホでね(苦笑)。

恋愛は嘘のつきあいっこだし最近臆病かも

―では先ほどの12年周期の話だと、次は移転なのか流転なのか…また旅もありそうですね。

ピーター 何か起こるかもしれないし、起こらないかもしれないし。なんかわかんないけど、東北のああいうのが起こって、もう世界的にも何もないとは言いきれないし。地球全体がそういう活動期になってる感じがするから。ちょっと身軽になっといてね。どこでもぱーんって飛んでいけそうな時、飛んでいって住めるようにしておいたほうがいいなって思うんですよね。

―逆に突然、思いもよらなかった「まさか私が誰かと一緒に住むことになるなんて!」という可能性は?

ピーター あるかもしんないですよ、そりゃあ。奇特な人がいてさ、私の老後を見てあげようっていう若い男のコが出てくるかもしんないしさ(笑)。

―若い男のコじゃなきゃダメですか?(笑)

ピーター いやいや(笑)。わかんないですよ、それはほんとに。人との出会いだから、自分の気持ちが偉そうにそんなこと言ってても、すぐ変わっちゃうから。

―ほんとそうですよね。思いもよらないところでまさかっていうのがきちゃうものですし。

ピーター だから楽しいんだよ。でもただ、恋愛はやっぱり嘘のつきあいっこだし、いいとこ見せあいっこだし。結婚した後、現実見て別れる人もいるわけで、こんなはずじゃなかったってことが多いわけでしょ? だからやっぱり臆病になってる感じもしますね。どうせまた同じことだよ、これ~って。それで自分から探そうとしてないって言われるの、私。目線が違うって。

―獲物を狙う肉食というか、フェロモンを発する目力が弱い的な?

ピーター がっついてる時って、人とか見る時も絶対こう、何か探してるっていう。それがピーさん、最近なんにもないねって言われるとね。写真とかでも絶対に射抜かれそうな顔とかするイメージなのにって。まあ、よっぽど何かない限り、今はその人のことじっとみたりしないから。「じゃーねの池畑」っていっつも言われてて、私が玄関で先にじゃーねって言っちゃうから「えっ、家に入れてくんないの?」みたいなのをよく言われるし(笑)。

―そういう目をしなくなった自分が寂しくもあり、みたいな?

ピーター でもひとりのほうが楽だなってことがわかってるから。そっちでまた泣いたりとかイヤな思いもすることが今まであったわけで。失恋もしてるし、だからそういう辛い思いするよりかひとりでいたほうがよっぽど傷つかないで済むし…と臆病なのも含めて恋愛をしなくなったのかもね。

―百戦錬磨の弄(もてあそ)ぶ翻弄タイプでは?というイメージも覆(くつがえ)されますね。では、今は恋愛というよりはそれこそパートナーのような存在が必要とか…。

ピーター あぁ、それはいいですね。後は魔法のランプみたいな恋人が欲しいとかいうのは、すごくいいなって思う。「今日来て」って言ってペッと出てきてくれて、「帰って」って言ったらパッといなくなって。映画見る時に3時間だけここにいてほしいんだけどみたいな(笑)。

―なんて都合のいい(笑)。でも慣れちゃうとそれも悲しくなるんじゃないですか?

ピーター そうかなぁ。…なんか折りたたみでハンドバックに入ってるみたいなさぁ。仕事終わって、車でドライブ行く時に「はい、出ておいで~」って言ったら、ぽよ~んとねぇ(笑)。そういう風なのがいいって思う時もあるんだよね。

次回お友達はセクシーでカワイい芸人の…

―なるほど。…というわけで、そろそろお時間もあれなんで。お友達を紹介していただけるでしょうか。

ピーター どうやって決めたらいいんだろ。萬田久子も仲良いし、あと女優さんだと高畑淳子、高橋恵子さん。若いコだったら井上和香とか。

―皆さん、魅力的で決めがたいですねー。

ピーター そう、和香は仲良いんですよ。ああいう、ほわ~っとした感じで、あの通りなんで。芸能界で今度ピーさんのおうち遊びに行きますねとか、電話しますねって言って、大概しないじゃない? 口先三寸が多いじゃないですか。

でもあのコ、ほんとひとりで運転してきちゃったの、葉山の家に。ナビがわかんなーいって言いながら。そういうとこすっごい好きで。カワイいやっちゃなって思ってね。もうすっぴんすっぴんで、ふたりで辻堂のショッピングモール行って、うろちょろしたりとかさ。

―なんか無防備というか、天然っぽい感じもいいですね。ちなみに男性だと?

ピーター 男性だとね、スポーツ選手とかダメかな? すごく家族ぐるみで仲良いのは、小笠原(道大)。ガッツね。日ハム時代からずっと付き合ってて、奥さんとも買い物したりご飯行ったりして。私、日ハムのキャンプも行ったことあるもの(笑)。

―巨人から今は中日に所属されて。ただ、シーズン中なんですぐには厳しいかもですね。

ピーター そうですよね。あ、芸人もいっぱいいますけど、好きな芸人さんだと私、ジュニア(千原浩史)が好きかな。なんかちょっとこうセクシーじゃない?

ジュニアもね、初めてLINE交換して、高輪会に来てって誘ったら、その日のうちにひとりで来たの。そんなパーティーに普通、ジュニアがひとりで動くなんてことはないって他の芸人さんたちがビックリした、みたいな。大抵、後輩を4人連れて来るとかなんじゃない? それがひとりでうろちょろ、表でうちを探してたところを誰かが見つけて一緒に入ってきたんだけど(笑)。そういうところが嬉しいですよね。

―それは年上の先輩にとってはカワイいポイントですね。

ピーター でも、うち来るのはちゃんとそういう人多いですけどね。自分が誘われたんだからひとりで行くっていう。なんか、ちゃんと信用してくれてるのかなって思って。

―ジュニアさんは確かに、また広がりがありそうな気はしますし。それこそ超多忙でお時間いただけるかわかりませんがトライさせていただきます。本日はありがとうございました!

ピーター いいえ、こちらこそ。私、ひとり上手で生きて参りますから(笑)。

―握手までしていただき感激です! ではいつか是非、キス魔のチューも体験できればと(笑)。

●第5回は6月21日(日)配信予定! ゲストはお笑い芸人の千原ジュニアさんです。

●ピーター(池畑慎之介)1952年生まれ、大阪府出身。俳優、歌手、タレントとして活動。1969年ATG映画「薔薇の葬列」でデビュー。同年「夜と朝のあいだに」で日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。1985年公開の黒澤明監督作品「乱」に出演以後、池畑慎之介(本名)の名前で役者としても地位を確立する。以来2つの名前を使い分け、舞台、TV、映画、ディナーショー、タレントと特異な才能を各方面で発揮し活躍を続ける。デビュー46年目の今年1月、TBS木曜ドラマ劇場「美しき罠~残花繚乱~」では書道家役を演じた

(撮影/塔下智士)