週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 小説家・飯嶋和一が大塩平八郎の乱で描く現代日本の映し鏡「今の日本を見てもこのままではいいわけがない、ということだらけ」

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小説家・飯嶋和一が大塩平八郎の乱で描く現代日本の映し鏡「今の日本を見てもこのままではいいわけがない、ということだらけ」

[2015年06月30日]

自分を突き詰めて考えると孤独になる。その孤独をちゃんと感じ、安易に人とつながらずに自分の直感を信じて形にすることが大事と飯嶋氏は説く

寡作で知られる作家・飯嶋和一(かずいち)氏。前作『出星(しゅっせい)前夜』(2008年8月刊)から6年余りを経て、新作『狗賓童子(ぐひんどうじ)の島』(小学館)が今年発表された。

時代は幕末。天保の飢饉(ききん)が起きるなど人々は慢性的な米不足にあえいでいた。しかし、幕府は何もしようとしない。大坂では庶民が命の危機にさらされている現状を見かねた大塩平八郎が蜂起(ほうき)するも失敗。それでも大塩平八郎の精神は日本各地に影響を及ぼしていた。そのひとつが松江藩・隠岐(おき)だ。

乱に連座した罪に問われた男の息子が流刑になって送られてくるところから物語は幕を開ける。だが、そこでも人々はひどい政治と重税にあえいでいた。そしてそれに耐えきれず、やがて、島民は蜂起へと向かう。

その光景は、どこか今の日本とそこに生きるわれわれに重なるところがある……。

***

―主人公の西村常太郎は、父親が「大塩平八郎の乱」に参加したことで、当時6歳だった自分まで罪に問われ、15歳で隠岐に流されてしまいます。しかし、島の人々は彼を温かく迎え入れ、やがて医師になり、島のために働くようになる。読みながら、大塩平八郎が行なったことは果たして「乱」だったのか?という思いをまず抱きました。その行動は単に守るべき大事なものを守ろうとしただけではないかと。

飯嶋 「乱」かどうかは江戸幕府が決めたことですからね。お上に逆らえば、「乱」。なんでもそうです。貿易でも幕府が公認すれば正式な貿易になり、それ以外は密貿易にされてしまう。

大塩平八郎はこれまでにも小説に書かれていて、森鴎外なんかも書いているんだけど、どうもよく書かれてはいない。批判的に書かれているんです。その点については「そうじゃないだろう」という思いがありました。

―しかし「乱」にされてしまったことで、常太郎は隠岐に流されてしまう。

飯嶋 隠岐では大塩平八郎が人々にどのように受け止められていたのかを常太郎の視線を通して描いてみたいという思いがありました。いや、大塩だけではなく、松江藩の苛政(かせい)と重税に耐えかねた隠岐の人々の間で「隠岐騒動」(1868年、明治元年)が起こりますが、それも常太郎にはどう見えていたのだろうというのもあります。

どの視点からものを見るかで姿は変わってきます。江戸幕府以外の見方はどうだったのか? 違う角度で見てみようというわけです。小説を書くという行為は、これまでと違った見方を提示することに意味がある、と言ってもいいと思ってますから。


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