明治大学相撲部出身で“つっぱり市議”と呼ばれていた現職の姫路市議、酒上太造氏(さかうえ・たいぞう/47歳)が不倫相手への暴行事件について、16日、緊急記者会見で釈明。

不倫相手の女性に「いきなり叩かれたので、反射的に右手で相手の肩を突いた」と被害者ぶった苦しい言い訳ーー。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

***

どすこい市議というのでどんな人かと映像を見てみれば、予想したのと違い(力士への偏見)、見た目は整っている部類に入る人物。元相撲部でなければ“女たらし市議が泥沼二股不倫で暴力沙汰”という見出しになったでしょう。

つっぱり市議とか、どすこい市議とか、だんだん見出しの面白さに記事が引っ張られがちなのも気がかりですが、泥沼不倫の顛末(てんまつ)も最低なら暴力沙汰なんてもってのほか。

ところで、つっぱりがどんな技か調べてみました。どうやら「左右の手を交互に繰り出して相手を押し出そうとすること」らしいです。捜査ではやはり市議がカバンを持ったままだったかが決め手になるのでしょう。いや、技の判定は警察の仕事ではありませんね。

「片手でカバンを持ち、片手で女性の肩を叩いたので、あれはつっぱりではない」という市議の言い分は技の解説としては正解ですが、そういう問題じゃないです。傷害事件ですから。

事件がなんらかの決着を見た時には、また各紙こぞって相撲ワードで記事を書くのでしょうから、決まり手で見解が分かれそう。だからそうじゃなくて、暴力は犯罪だ、っていうことです!

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。しばらくテレビで相撲を見なくなっていたが、昨年ふとつけた中継で鶴竜が優勝を決めており、その場所の後に横綱に昇進したことから、私が勝利の女神だったのではないかと思っている