その背景にあるのは“壊し屋”の異名を持つ前CEO・原田泳幸時代の経営改革だ。在任中(2004年2月~2015年3月)、らつ腕をふるって脱・藤田路線を突っ走り、藤田時代の生え抜き幹部を一掃、外部人材の登用に力を注いだ。その過程で「原田氏と意見が対立し、会社を去った幹部は何人もいる」と中村氏は話す。
そんなマックの元幹部ともなれば引く手あまたで、各企業に散っているというが…。マクドナルドOBで外食コンサルタントの王利彰氏がこう話す。
「他の外食チェーンに好待遇で迎え入れられ、社長職に就いて業績を伸ばし続けている元幹部も少なくありません。彼らの多くは藤田時代の生え抜きで80年代~90年代のマックの繁栄期を支えた人材。それだけに現場にも精通しFCオーナーからの信頼も厚い。マックは経営陣に現場を知る人材がほとんどいなくなってしまった今、この苦境を脱するには〝藤田派幹部〟を呼び戻すしかないと考えているのです」
そこでマック本社から呼び戻しのラブコールがかかっていそうな人物として、名前が挙がっているのが次のような人たちだ。
「バーガーキング・ジャパンの村尾泰幸社長、モスダイニングの友成勇樹会長、フレッシュネスの紫関修社長、コメダの臼井興胤社長、すき家本部の興津龍太郎社長…」(マクドナルド株主B氏)
錚々(そうそう)たる面々だが、その中でも次期社長候補の有力候補と目されているのがバーガーキングの村尾氏。
「彼はアルバイトからの叩き上げで店長経験もあり、全社横断的な戦略立案や財務、FC展開も手がけました。31年間勤務し、原田前CEOと対立して12年3月に退社。シダックス取締役を経て、昨年2月にバーガーキング社長に就任すると店舗数を現在の100店舗近くまで伸ばし、200店舗まで増やそうとしています。マックの現場経験が豊富で経営手腕にも定評がある。あとは、モスダイニングの友成さんを推す声もありますが」(マクドナルド株主・B氏)
しかし未だ社長どころか役員交代の一報すら届かないが…機密事項なのだろうか?
「いえ、それがマックは断られてしまっているようで…。村尾氏もその他の元幹部も『今のマックには戻りたくない』と拒否していると思われます」(マクドナルド株主・B氏)
やはり火中の栗を拾う貧乏くじは引きたくないというワケか? 前出の王利彰氏がこう話す。
「原田前CEOは在任中に幹部だけでなく約300人もの社員をリストラしましたから、今のマックに現場を知る有能な“兵隊”はほとんど残っていません。業績を以前の状態まで回復させるには10年はかかる。経営者にとってはリスクが大き過ぎます」
中村氏(前出)も続ける。
「それでも彼らを呼び戻そうとすれば、年俸5年で30億円以上、非上場化、アメリカ本部からの権限移譲など破格の条件を出さなければ無理でしょう。今こそ藤田田さんのような不世出の起業家が必要なのに皮肉なことです」
古巣への復帰に“ノー”を突きつける元幹部たち。崖っぷちのマックに救世主は現れるのか…?
(取材・文/興山英雄)



























