今年の日本人メジャーリーガーたちには呪いでもかけられているのだろうか。

ダルビッシュ(レンジャーズ)は3月に右肘靱帯(じんたい)の再建手術を受け、今季絶望。田中(ヤンキース)も肘に不安を抱え、出来不出来に波がある。岩隈(マリナーズ)、和田(カブス)も故障続きで、上原(レッドソックス)も昨年までの安定感は見られない…。

そんな中、唯一の光といっていいのが、ジャイアンツの青木だった。メジャーでの過去3シーズンはいずれも打率2割8分台だったが、今年は開幕から好調を持続し、かなりのハイペースでヒットを量産。安打数はナ・リーグ3位タイ、打率は5位につけ、ファン投票でオールスター出場を狙えるほどの活躍を見せていた。

スポーツジャーナリストの生島淳(いくしま・じゅん)氏は、青木の好調の理由をこう語る。

「昨年のシーズン終了後にインタビューしたんですが、どうやら昨年9月には手応えをつかんでいたようです(9月の月間打率は3割7分9厘)。また、今年はフォームも変わっています。わかりやすいのは、右手と左手を少し離してバットを持つようになったこと。メジャーのピッチャーの速い球に負けないよう、左手で押し込むように打ち返す意図があるんでしょう」

ところが、好事魔多し。青木は6月20日のドジャース戦で死球を受け、右足腓骨(ひこつ)を亀裂骨折。無念の戦線離脱となり、オールスター出場も叶わなかった。

ただ、不幸中の幸いで、早ければオールスター明けの7月中旬から下旬には復帰できるという。せっかくつかんだ感覚、せっかくの絶好調が続行できればいいが、実は青木はそうした「調整力」にも長(た)けている。

「これまでの3年間は修行だった」

「青木はヤクルト時代から、その日の体調や感覚に合わせてフォームを決めるなどフィーリングや調整をとても大切にしています。それに自分の経験を基に試行錯誤するタイプで、本人も『これまでの3年間は修行だった』と言っていました。イチローや松井秀喜のように最初からドーンといくのではなく、経験を積んでブレイクした初めての日本人野手ではないかと思いますね」(生島氏)

青木はロイヤルズに所属していた昨年も肉離れで一度戦列を離れている。ケガから復帰した後の調整も経験済みというのは、ことのほか心強い。

もうひとつの心配は、復帰後に再び外野のポジションを確保し、毎試合出場できるかどうか。メジャーリーグ評論家の福島良一氏はこう語る。

「メジャーには左ピッチャーを苦手とする左打者が多いので、相手によってスタメンが代わることも多いんですが、青木は左を苦にしないどころか、むしろ3割4分以上と右ピッチャー以上によく打っている。それで監督の信頼を得て、不動の1番打者に定着できたわけですから調子さえ維持できれば外す理由がないでしょう」

ちなみに、外野手のポジションを争う同じ左打者のブランコは対左打率が1割台。彼が生まれ変わったように打ちまくらない限り、スタメンの座は確保できそうだ。

「青木はビジターで打率3割9分5厘とかなりの好成績を残しています。本拠地のAT&Tパークは確かに投手有利な球場ですが、逆に夏場も涼しくて体力的にはしのぎやすい。ホームでの数字を上げられれば、さらなる好成績が期待できますね」(福島氏)

故障による離脱でオールスター出場に加え、200本安打も厳しくなってしまったが、逆にいいリフレッシュになったともいえ、こうなったらイチロー以来の日本人首位打者というビッグな夢を見せてほしい!

(取材・文/本誌野球班)