モンテゴベイのダウンタウン。奴隷解放運動の像のあるサムシャープスクエアにてジャマイカキッズと

ヤーマン!(パトワ語の挨拶)

中米縦断を無事に終えた私は、カリブ海に浮かぶ諸島で3番目に大きい島国「ジャマイカ」へ!

スペイン統治時代に西アフリカから黒人奴隷が連れてこられたため、国民はアフリカ系が90.9%。さらに労働力不足でインド系や中国系の人々が集まりました。

犯罪都市とはいえ、数々のレゲエアーティストを産出した街「キングストン」を相当楽しみにしていた私。『One Love』を口ずさみながら気分はすっかりボブ・マリーシャです。

ジャマイカといえば映画『クール・ランニング』も有名。ボブスレーのそりに乗ってGOOD TO GO!(準備万端!行くぞ!の意味)

外務省情報だと、ジャマイカの殺人事件は日本の約55倍、強盗は約38倍、強姦は約30倍、銃撃戦は2235倍らしいけど、ホンジュラスに比べたら外を歩けるだけマシな旅ができるかな…と思う私の感覚は随分マヒしてる? いざという時のために、命の代わりに差し出す捨て金$50~100ほどを常備しておこうっと。

さて、ジャマイカに向かうためパナマを出て乗り換え地のマイアミの空港で一晩待機していたわけなんですが…。

当たり前のように遅延してきた格安航空会社の飛行機に乗り込むと、機体の故障で全員降ろされた上、ゲート変更などでたらい回し。挙句の果てに、私はなんと搭乗をミスり空港に置いてかれてしまいました! 南米帰りもこの空港と航空会社で同じ目にあったけど、またか!

巨大な体のドレッド男が一人用のシートに座りきれなかったために席の交換でモメていた。これも遅延の理由のひとつ

「キングストン行きは数日先までないよ。ジャマイカ行きたきゃ翌朝のモンテゴベイ行きに乗れ!」

えええ! ボブ・マーリー博物館行きたかったのに! でもモンテゴベイはジャマイカでも観光客の集まる比較的治安の良いリゾート地区。

「ジャ、マイッカ!」と運命に身を任せることにした。さすがに2泊の空港待機はしんどかったけど、空港近くの店へ市バスで食料調達に行き、なんとか飢えをしのいだのでした。

編み込みヘアとたくましい体つきのジャマイカ少女たち

「ジャパニーズ? タイマ?」

とっても田舎なモンテゴベイ。笑顔ですが落ち込んでます!

「荷物はちゃんと届くから大丈夫よ~」

と言われてたのに、モンテゴベイの空港には私の荷物が見当たらない。やっぱり起きた二次災害。私のかわいいバックパックちゃんはひとりでキングストンへ向かい、ゲットーなジャマイカを楽しんでいた。「ボンボクラ!(パトワ語の罵声。Fxxk的な。)」

木がボーボーと生い茂る炎天下の田舎道にはレゲエミュージックなんて一切流れてなく寂しい。荷物もないし半泣きで歩いているとジャマイカ男が声をかけてきた。

「ジャパニーズ? タイマ?」

「これがマリファナ畑だ」と自慢げに写メを見せてきた

「マリファナは皆吸ってるさ。でもさすがに子供の頃は吸わないよ。18歳くらいからかな。モノはピンキリだが、一本$20のやつなんてどうだ?」

今年のボブ・マーリーの誕生日に個人使用によるマリファナの非犯罪化が可決したというジャマイカ。56gまでの所持が5ドルの罰金刑という微罪処分へと変更され、逮捕されたり前科が付くこともなくなり、栽培も5株までOKだって。しかし輸出入や販売は違法。もちろん買う気もないが早速、ジャマイカっぽいジャナイカ。

と、現地人との会話を面白がっていたのも初めだけ。その後も、誰しもがあいさつのように「ジャパニーズ! タイマ!」と近づいてくるのですぐに嫌気がさしてしまった。

空港にまでパイプが売っているからさすがジャマイカ

私は疲れきった心と体を療養しようと、モンテゴベイご自慢「ドクターケーブビーチ」に向かった。

20世紀初めに医師が所有していたこのビーチは、海水に豊富なミネラルが含まれており、治癒効果があるという。泳いでみるとなんだか皮膚がチクチクとかゆい。さっそく効果が?

と思いきや、瞬く間に皮膚がブヨブヨとただれあがり、私の体には“赤い世界地図”ができあがったのだ! 蕁麻疹だ。「まさかの逆効果~(涙)!?」

モンテゴベイの誇る美しいカリブ海「ドクターケーブビーチ」。有料です

見苦しいですが、お腹に真っ赤な世界地図が。腕や足など全身に広がりました

やっとジャマイカらしいダウンタウン

国民に愛される大麻の誘いを断り続けるせいなのか、なぜかジャマイカに嫌われている私。このままじゃ悔しいので、たまらず体に世界地図を広げたままダウンタウンへ冒険にでかけた。

すると、ついに聞こえてきたズンドコと大きな音量のレゲエミュージック! これよ、これこれ! 街の中心はたくさんのジャマイカ人であふれ、青空の下では派手な洋服やコピーらしきCDが売られている。

女学生はカメラを向けると「キャア☆」と言って顔を隠し、意外とシャイかと思えば、子供たちは笑顔でなついてくる。ローカルピーポーとの接触に私のバイブスも上がってきたぜー! ポッポー!

レゲエミュージックが鳴り響く中、青空マーケットが開かれている

カメラを嫌がる女学生たち

サトウキビジュース屋

しかし調子に乗って少し奥へ進んだ途端、屋台の男に突然怒鳴られたり、ポケットに手をつっこまれスリ未遂にあったり、ちゃかされたりした。おっと、この道はヤバイ。引き返そう。すると…。

この道の先から笑顔の人がいなくなっていった・・・

「フレンドよ。どこへ行く? 俺はフレンドだから怖くない、怖くないよ~。ダウンタウンを案内するよ。タイマもあるよ」

この手口知ってる! 街を案内された後、マリファナを勧められ最終的にカツアゲされるパターンのやつだ! 観光客がいないこの場所で私は格好の餌食。長居は危険。ジャマイカのスプリンター、ボルトばりのダッシュ(のつもり)でダウンタウンを後にした。

俺はお前のフレンドだと言ってくる怪しい男

外に出ると、マリファナの勧誘にあうばかり。ワンラブできなかった感が残りますが、“草より団子”な私はジャークチキンとジャマイカ産ビール「レッドストライプ」を買って、自ら用意したレゲエミュージックを聴きながら宿に引きこもるのだった…。

今回はボブにフラれたけれど、いつかキングストンでリベンジするぞー! ジャマイカコマゲン!(Come again!=レゲエ用語で「もう一度!」)

美味しいジャークチキンとジャマイカ産ビール「レッドストライプ」

【This week’s BLUE】ブレイズヘアが印象的なジャマイカ少女たち。

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログhttp://ameblo.jp/marysha/、Twitter【marysha98】もチェック