よく「サッカーは何が起こるかわからない」というけど、今回はそれが当てはまらない。心配する必要は何もない。

日本代表がW杯アジア2次予選の2連戦、カンボジア戦(9月3日・埼玉)とアフガニスタン戦(8日・中立地のイラン・テヘラン)を迎える。

確かに、このところの日本代表はパッとしない。6月に行なわれた2次予選初戦のシンガポール戦はまさかの引き分け。体格面でも技術面でも明確な差がある相手に、ホームで23本ものシュートを放ちながら、決め手を欠き、相手GKの頑張りもあって無得点に抑えられた。

国内組だけで臨んだ8月の東アジア杯(中国)でも1勝も挙げられず、史上初の最下位に沈んでいる。それだけに「W杯予選に簡単な試合はない」と警戒する声が聞こえてくるのも仕方ない。

でも、カンボジア、アフガニスタンの両国には失礼だけど、日本との実力差は歴然としている。

実際、今予選でのカンボジアは、日本が引き分けたシンガポール相手にホームで0-4の大敗。アフガニスタンも初戦のシリア戦で0-6の惨敗を喫している(その後に行なわれた両チームの直接対決ではアフガニスタンが1-0で勝利)。要するに、グループ最弱を争う2チームなんだ。いくら流れが悪いとはいえ、日本が勝てないというのは考えにくい。

アジア勢相手の公式戦で思うような結果を出せていないので、ハリルホジッチ監督は神経質になっているだろう。また、采配や選手起用に対する批判や疑問の声も聞かれるようになった。もし、この2連戦でも勝てなかったら監督更迭は避けられない。でも、やはりその心配はないと思う。極端なことをいえば、今回は監督がベンチにいなくても、選手だけで話し合って戦っても勝てる相手だ。

大差で勝っても浮かれるのは禁物

個人的には、東アジア杯で結果を出せなかった選手たちの奮起を促す意味でも、彼らにもう一度チャンスを与えたい。ただ、余裕のないハリルホジッチ監督はおそらく、2試合とも欧州組の大半をスタメンで起用するはず。岡崎、香川、本田ら攻撃陣はまずまずの状態のようだし、彼らがやってくれるんじゃないかな。

勝つのは当たり前。シンガポールが4-0でカンボジアに勝っているわけだし、今後の得失点差を考えても、2試合ともそれ以上の点差をつけての勝利がノルマになる。そのくらいの気持ちが持てなければW杯本大会での勝利など望めないし、予選突破だって難しい。別に傲慢でもなんでもない。スカッと勝って安心させてほしいね。

ただし、5点以上の差をつけて勝っても「日本は強い」「さすが欧州組」と騒いだり、浮かれたりするのは禁物だ。メディアも無理やり持ち上げてはいけない。

昨年10月、ブラジルと親善試合を行なったことを覚えているかな(0-4で日本が敗戦)。あの試合ではブラジルのエース、ネイマールが4得点を奪ったけど、ブラジルのメディアやファンの反応は「まあ、相手が日本だから」という冷静なものだった。今回は日本がブラジルと同じ立場。誰かがハットトリックをしても、どうということはない。

大事なのは、あくまで10月のシリア戦(中立地のオマーンで開催)。グループ最大のライバル相手にどんな戦いを見せられるか。そのためにも、この2連戦で勢いをつけたいところだ。

(構成/渡辺達也)