学校や英語教室では絶対に教えてくれないスラングが満載の英語参考書『DARK HORIZON』シリーズを手がけるブライアン・レイスさん

I love my bed, but I’d rather be in yours.(俺のベッドもいいけど、キミのベッドのほうがいいな)

The shit has officially hit the fan!(クソ大変なことになってしまった! )

こんな学校や英語教室では絶対に教えてくれないスラングが満載の英語参考書DARK HORIZONシリーズをご存知だろうか。

中学の英語教科書の定番『NEW HORIZON』に登場するキャラクターたちの悲惨な10年後をパロディ化して描くというストーリーで話題となった“生きた英語”を学べる一冊だ。

例えば、キャラ設定もグリーン先生はクラブのママに、生徒のマイクはホームレスに転落など(笑)…そんな彼らが交わす会話には、厳しい現実社会を生き抜く大人のための実用英語がてんこ盛り、クスっと笑えるブラックな内容も支持され、シリーズ2冊目が今年の4月に発売されたばかり…。

そんなブラックジョークの効いた同シリーズを手がけたのは、ブライアン・レイスさん。N.Y.出身で大学卒業後に来日して以来、実に14年間も日本で暮らす親日派のアメリカ人として知られ、『DARK HORIZON』も日本の公立中学で英語教師をした経験から生まれたアイデアだとか。

その中学教師の他、IT企業のマーケティング職に従事しつつ、レイスさんは長野県安曇野や愛知県岡崎、名古屋、そして東京など日本の山間部~大都市を転々とし、多用なライフスタイルを経験してきた生き方名人でもある。

そんな彼に、日本での暮らしや現在、日本でもブームになりつつある地方移住について話を聞いた。

「これは都市部や田舎に限らず、日本全体に言えることですが、とにかくこの国は治安がいい。ニューヨークで育った僕からしたら、日本の治安のよさはすごく魅力的なんですよ。

だって、日本には銃を持っている人間がそこらへんに歩いているわけじゃないし、日常的に強盗を働く人もいない(笑)。日本人はなかなか実感できないかもしれませんが、毎日安心して暮らせるってすごく素晴らしいことなんです」

日本に来て最も理想的な生活

日本で大きな事件が起きるたびにニュース番組などでは「日本の安全神話は崩壊した」などと言われるが、レイス氏によれば日常的に命の危険にさらされることの多いニューヨークに比べ、どこに行っても「信じられないほど安全な国」というワケ。

ちなみに20代の頃は短期間、韓国に仕事をしに行ったこともあるというレイス氏。しかし結局、当初の予定を前倒しして1年で日本に戻ってきてしまった。

「アメリカ人の僕が言うのもなんですけど、日本のことが恋しくなってしまって(苦笑)。将来、日本以外のところに移住することがあるかもしれないけど、最終的に戻って来るのは故郷のアメリカではなく日本でしょうね」

そのレイス氏だが、今年7月、それまで働いていた東京のIT企業を退職し、福岡に移住をした。ナゼ、東京を離れて福岡に…?

「福岡は東京ほど街が大きすぎず、少し電車や車で移動すれば自然が溢れている。すごくバランスのいい街です。それに生活コストも東京よりかなり抑えられる。

何より移住の決め手になったのは、海辺の素晴らしいシェアオフィスを見つけたから。東京、いや他の都市でもなかなかこれだけのロケーションのオフィスは見つけられない。現地を見学した途端、もうここで仕事をしたい!と即決してしまったほどです」

現在、レイス氏が入居するシェアオフィスは福岡市の中心地・天神から電車で約20分の福岡市西区今宿にある。今津湾に面した抜群のロケーションのオフィスで、起業家として第2の人生を歩み始めているという。

「今、日本に来て最も理想的な生活を手に入れたと確信しています。こちらでは、生活圏は都市部に、オフィスは郊外にというスタイルをとっているのですが、これが自分にピッタリだった。今の職場だと仕事の合間にマリンスポーツを楽しんだり、ビーチで気分転換をしたり、海を満喫、夜は福岡の街でナイトライフも楽しめる。

プライベートが充実すると、自然と仕事も捗(はかど)ります。こちらに来て10ほどのプロジェクトを同時に走らせていますが、どれも滞ってはいません。東京にいる時は、こんなに仕事するような人間じゃなかったので自分自身の“変化”に驚いてます(笑)」

大きく成長したいなら家族や友達から離れる

生まれ育ったアメリカを離れ、来日。さらに日本国内でもいろいろな土地で働き、生活をしてきた“現代の遊牧民”は、「来日14年目にして最高の暮らしを手に入れた」と満足した様子で話す。

最後に、レイス氏は移住についてこう持論を展開する。

「まずは今暮らしている町が本当にアナタにあっているのかどうか、疑ってみてほしい。人として大きく成長したいなら家族や友達から離れる…それこそ新しい街で新しい生活をスタートしてみるのもアリだと思います。

家族と離れたからって死ぬわけじゃないし、もし本当に嫌だったり大変なことが起こったら実家に戻ればいいだけです。動かなければ何も始まらない。僕が福岡で理想的な生活環境を手に入れたように、実はアナタにももっと自分の理想的な暮らしができる場所があるかもしれませんよ」

もちろん移住にはリスクがつきもの。実際に移住で人生を好転させた人もいれば、逆に大きな失敗を経験した人もいる。

しかし、現状の生活を変えたい、何か新しい人生を歩んでみたいと思うなら、思い切って移住をしてみるというのもひとつの選択としてはアリなのかもしれない。