鹿児島の伊藤祐一郎知事が県の総合教育会議で「高校教育で女の子にサイン、コサイン、タンジェントを教えてなんになるのか」と発言。

性別を理由に教育内容を変えるべきと示唆したことで波紋を広げている。知事は後日、会見で「女性を蔑視する意図はなかった」と発言を撤回したが…。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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「女子にはサイン、コサイン、タンジェントよりも草花の名前」とは、鹿児島はまだ明治ですか?と耳を疑う、知事の発言。この方はラ・サールから東大法学部という、お勉強のできる部類でも最高レベルの経歴をお持ちなのですね。

釈明では「昔、中学の先生が『英単語なんかより草花の名前のほうが役に立つ』と言っていた」とも語り、どうやら「学校の勉強だけが学びではない」的ないい話に寄せようとしたようだけど、無理がありすぎ。

草花のことを知っていれば山で迷っても食べられる実がわかって便利だけど、三角関数も土木技術やプログラミングやピザの切り分けやいろんなことで役立っているらしい。

知事は東大法学部に進む学力はあったものの、「俺にとって無用の知識が他人にとってはそうでないのかも、っていうか単に俺がよく知らないだけ?」と考えることはできなかったみたい。自分が女性差別をしていることも、「口が滑った」は釈明どころかダメ押し発言だということもわからない。

身をもって知性と学力はイコールではないと示していらっしゃいます。こいつ、あったま悪いなあ、と多くの人が思ったことでしょう。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。三角関数も微分積分もこの世の話とは思えず理解を断念。「人生に数学は不要」を証明するため内部進学テストで白紙提出し、他教科で総合点を稼ぎ希望の学部へ。不毛な反抗だった