スズキが、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)との資本提携を解消すると発表した。

両社は2009年に提携を発表。スズキが小型車の開発技術を、VWが次世代環境技術を持ち寄ることで互いにウィンウィンとなるはずだった。だが両社とも「対等な関係」だと強調していたこの提携に、やがてヒビが入る。VWが11年に発表した年次報告書で、スズキのことを事実上の傘下企業と位置づけたのだ。

これを知ったスズキは、VWが経営支配を強めようとしていると反発、提携解消を求めて国際仲裁裁判所に提訴していた。その仲裁判断が8月29日に下され、両社の提携解消が実現することとなったのである。

だがこの提携解消、スズキにとって本当に朗報だったのだろうか。自動車ライターの今尾直樹氏が語る。

「天下のVWが欲しがったように、コストをかけずに高性能な小型車を造る技術にかけては、スズキは世界でも群を抜くレベルにあります。その強みを生かして日本や中国、そしてすでに4割のシェアを握っているインドといった市場に注力するつもりなのでしょう。私はそのビジネスモデルで今後も十分利益を上げていけると思いますよ」

一方で、厳しい見方をする向きも。自動車評論家の舘内端(たてうち・ただし)氏はこう分析する。

「世界的に燃費規制や排ガス規制が強まる中、日本や中国もやがてはその趨勢(すうせい)に従わざるを得ません。つまり次世代環境技術の有無が今後の自動車メーカーの存亡を分けるカギなのです。

しかしスズキは最近になってようやく簡易型ハイブリッド車を出したことからわかるように環境技術では完全に立ち遅れています。それを補完するためVWと提携したのに自らご破算にしてしまった。このまま独立路線を貫くのなら、スズキの将来は暗いでしょうね」

提携するならGMぐらいしかない

では、どうすれば?

「すでに次世代環境技術を持っていて、しかもスズキの小型車造りのノウハウを必要とする大メーカーと提携するしか道はありません。できれば日本のメーカーと組めればいいのでしょうが、トヨタは系列にダイハツがあり、日産も自社で軽自動車を造れるようになったので、スズキに魅力を感じない。

それではと海外に目を向けると、環境技術に強いドイツのメーカーはVW以外、小型大衆車造りとは無縁。結局条件に合うのは、かつてスズキが提携していた米GMぐらいでしょうか。GMにはプラグインハイブリッド(PHEV)の技術がありますからね」(舘内氏)

だが経営規模の差がある以上、VWがそうだったようにGMも大なり小なりスズキを支配しようとするのでは?

「PHEVをください、でもウチの経営には口を出さないで、なんて虫のいい話はあり得ません。そこは割り切り、ある程度身を任せる。そしてGMからPHEVの供与を受けている間に他社も欲しがるようなスズキオリジナルの環境技術を開発し、その上で資本提携を解消すればいいのです。目先の独立路線にこだわらず、当面は名を捨て実を取るほうが、長い目で見ればスズキにとっての得策なのではないでしょうか」(舘内氏)

今後のスズキの進むべき道は、どっちだ?