東京・四ツ谷にある「坊主BAR」で働くお坊さんたち(中央が店主で、僧侶である善念さん)

昨今、ツイッターで話題のハッシュタグ「坊さんあるある」。お坊さんならではの「あるあるネタ」(及び「ぶっちゃけトーク」)が多くのツイッター民のハートをつかみ、注目を集めている。

TVの世界でも人気番組『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』が深夜枠からゴールデンに進出するなど人気は加速。SNSやバラエティ番組のおかげで、身近な存在になりつつあるお坊さん。

しかし、彼らの“生態”について我々は知らないことが多すぎる。そこで、お坊さんの本音特集第2弾! 前編(「現役僧侶がぶっちゃけ!ホステスさんに聞くとお坊さんは…」)に続き、東京・四ツ谷にある「坊主BAR」の店主で、僧侶である善念さんにあんな疑問、こんな疑問を聞いてみた。

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えーっと、再確認したいのですが、実際にけしからん生臭坊主もいるということですよね?

「宗派などによって、一部にはそういうお坊さんがいるのは事実。ただ、そこだけデフォルメされて“坊主は女遊びをする”と認識されているのだとすれば、悲しい話です」

そんな悲しい顔しないでください…まだまだ聞きたいことあるんで! お坊さんというと、高級車を乗り回しているイメージもあるのですが、そのあたりはどうなんでしょうか?

「私は車を持っていないのですが、京都のお坊さんに聞いたところ、安い車で檀家さんのところに行くと『お坊さんは良い車に乗っていたほうが檀家の鼻が高い』と言われ、お布施で高級車を買って檀家に行くようにしていると言っていました。

また別の知り合いのお坊さんは逆パターンで、普段は高級車に乗っているくせに、檀家さんのところへは軽で行くという話も聞いたことはあります。やはりそれぞれなんですね」

どっちにしても金がないとできないことじゃないですかー(羨望)。宗教法人は無税だから「坊主丸儲け!」とか叩かれることもあると思うのですが、実際はどうなんですか?

「お寺に務めている場合は基本給があり、所得には税金がかかります。お盆の棚業(僧侶が一軒一軒檀家を回り、お盆のお経をあげること)のお布施も収入として申告していますので税金がかかりますね。ただ、お寺へのお布施や、お寺の備品、営業車、固定資産税などには税金がかかりません。ちなみに、坊主BARは宗教法人じゃないので全部、税金がかかってます」

お坊さん個人の収入には課税されるけど、お寺の収入や資産には課税されていないというワケですね!! うおー、お寺経営してー(軽薄)。ぶっちゃけ、お坊さんのお給料っていくらくらいなんでしょ?

変わるお坊さんの“あり方”

「私はお寺に雇われていないのでわかりませんが、スタッフに聞いた話では、あるお務めのお坊さんの給料はだいたい25万円くらいだそうです。そこから税金を引かれると、10数万円しか残りませんよね。ボーナスといえば、お盆のお布施(1軒あたり2~3千円)とか、ひとりで葬儀に行ったらプラス1万円とか。結構、シビアなお寺が多いそうなんですよ。

田舎になるとお寺だけではやっていけないところも多いです。総支給で15~16万円くらいとか。結構厳しいかもしれませんが、ただ住まいもあるし、檀家さんからお米や野菜をもらえるということもよく聞きます。まあ、住まいといっても、お寺なので家族と同居しなくちゃいけないから、お坊さんと結婚したいって女の人も、実際に蓋を開けると『えっ…』ってなることも多いようですが」

雇われている側のお坊さんは結構大変なんですね…。

「今後は、檀家離れ、葬式にお坊さんを呼ばない、収入も減るなど、お寺は暗い将来ばかり言われますが、葬式法事とか檀家制というところばかりに固執せず、柔軟にできることをどんどん考えて、何が求められているかを学び、布教活動をしていけたらと思っています」

お坊さんの“あり方”も変わっていかざるを得ないということですね。ちなみに、善念さんの今後の目標について聞かせてください。

「私は子供がとても好きでして、子供の頃の教育も大切だと考えています。だからこそ小さな時の宗教的情操教育がとても大切であると思っています。そこで、様々な理由で親から見捨てられてしまったり、DVにあったりして傷を背負い生きなければならない子供たちにこそ、宗教教育の場所を作りたいと。できるかわかりませんが、そのことが仏様が望むことであるならば必ずできると信じています」

なんか最後の最後にイイ話をぶっこんできましたね!! それでは、ありがたいお説教もひとつ、お願いします!!

「人はいつも愛情を求めて生きています。そのことによって苦しんだり、怒ったり、悲しんだりします。その愛情を人に向けても100%の愛を得られるわけではありませんから常に迷い、苦しみます。しかし、仏様は平等の慈悲の心を持っていて、どのような者も愛してくれます。またその愛情は、私たちをひとりっ子のように愛してくれるわけなんです。

いろいろな理由で傷つき苦しんでる私たちも、この愛の心を知り、素直に受け止められれば、その慈悲をいただけるわけです。このお心をいただければ、人を妬(ねた)んでも、恨んでも、悲しんでも戻れる場所ができるので、迷いながらも迷いきらずに済むのです。ありがたいことですね。合掌」

ちなみに今月、「坊主BAR」の上階になんと!「牧師バー」もオープンしたという。キリストの教えと仏の教えは共通点が多いとか。今度は牧師さんのぶっちゃけ「あるある」も聞いてみたいものです。

(取材・文/ケンジパーマ)