松坂本人も懸命に来期の復活を期し、今も戦っているはず!(写真はキャンプ時。撮影/五十嵐和博)

松坂大輔という「太陽」に引きつけられるように数多くの才能あふれる選手たちがプロ野球界に結集した“松坂世代”

プロ入りした94名のうち、今シーズンも現役を続けているのは30名だ。彼らの悲喜こもごもと「今」を追った。

■プロ野球界における「35歳」の意味

8月18日、福岡ソフトバンクホークスの松坂大輔が、右肩の内視鏡手術を受け、全治6ヵ月で今季中の復帰が絶望となった。松坂は今季、9年ぶりに日本球界に復帰するもキャンプ中に右肩痛を訴えそのまま離脱。5月にファームで1試合登板しただけでシーズンを終えることになった。これまで数々の伝説をつくってきた世代のフラッグシップも、いよいよ崖っぷちだ。

松坂だけではない。1998年、夏の甲子園に優れた選手をキラ星のごとく輩出したことから“松坂世代”と呼ばれるようになった選手たちも今年で35歳。世間一般ではバリバリの働き盛りだが、一軍選手の平均年齢が約29歳の野球界においては、キャリアの晩年だ。

この世代からは94名がプロ入りしたが、いまやその3分の2以上が引退し、第二の人生を歩み始めている。勝ち残った選手たちが厳しい戦いを強いられるのも当然だ。

かつて2年連続で本塁打王となった村田修一(巨人)は今年、大スランプに陥り、スタメン落ちも珍しくなくなった。好機に何度も代打を送られるなど、そのプライドはズタズタだろう。同じく巨人の杉内俊哉も今季は調子が上がらず、6月以降は1勝5敗。7月から二軍落ちするなど、衰えがささやかれる(その後、右股関節痛での手術予定も判明)。年俸5億円と投手としては球界最高を誇るが、契約最終年となるこのオフの減俸は免れない。

その杉内とホークス時代はダブルエースとして活躍したカブスの和田毅(つよし)は2012年の渡米以降、故障につきまとわれている。今季も左肩の度重なるケガで故障者リスト入りしており、メジャー生き残りへの見通しは明るくない。

故障につきまとわれる選手たち

今季、オリックスにFA移籍したかつての打点王・小谷野栄一も故障に泣かされている。5月に古傷の左太もも裏痛が悪化し登録抹消。翌月に復帰するも、直後に死球を受け手首を骨折。DeNAの代打の切り札・後藤武敏G.(ゴメス)も8月、空振りした際に右股関節を故障。若返りが進むチームなだけに安穏としていられない。

昨年、右肘手術から746日ぶりに一軍登板を果たし48試合に登板した巨人の久保裕也は今季一軍から声がかからない。靱帯(じんたい)断裂から復帰しているカープの東出輝裕(あきひろ)も現状、一軍に居場所はなく、二軍コーチ業に精を出している。

森本稀哲(ひちょり)は西武でも相変わらずの人気者……だが、今年はわずか11試合の出場で無安打。ついに引退を発表した。日本ハムの木佐貫洋も、今季は一軍登板がなく二軍でも15試合で0勝6敗。防御率7点台と厳しいシーズンを送っている。球団からは戦力外とされる見通しで、やはり引退が囁かれている。

そんな中、中心であり続けた松坂の復活を期待、あるいは待望する声はもちろん少なくない。やはりケガで今シーズン、メジャーから日本へ出戻り、独立リーグの四国アイランドリーグ入りした藤川球児も本誌インタビューでこう語っていた。「いまだにすごいと思ってますし、また来年楽しみやし。お客さん呼べるの誰やねんっていったら松坂なわけじゃないですか?」

まだまだ輝いてほしい! そんなエールもこめつつ、一方でまだまだ第一線で活躍する選手たちを明日配信予定の後編で紹介する!

(取材・文/オフィスチタン)