来年1月から希望者に交付される「個人番号カード」。制度開始に向け、着々と準備は進んでいるが…

番号の通知が迫る、マイナンバー制度ーー。

10月1日から住民票を持つ国民一人ひとりに12桁の番号が割り振られ、来年1月から本格スタートとなる。制度開始後は、行政手続きで住民票などの添付書類が不要になるなどいろんなことが便利になるのだが…。

運用する自治体の現場からこんな悲鳴があがる。

「マイナンバーを管理するには新たな運営システムを構築しなければならないのですが、その導入費が高くて。国からの補助は出ていますが、ITベンダー(システム開発業者)に見積もりを依頼したところ、その額は補助金の2倍! 理由を聞くと『スペックが上がったから仕方がない』の一点張りで、『早く受理しないとエンジニアが確保できなくなる』と契約を急かされて…。泣く泣く、言い値を受け入れざるを得ませんでした」(埼玉県内自治体職員)

一体、どういうわけだろう。あるITセキュリティ会社の社員がこう打ち明ける。

「見積額が高騰しているのは、国の制度設計が非常に曖昧(あいまい)で、いまだにスペックが確定していないから。要は、そこに目をつけたITベンダーが“マイナンバー特需”でひと儲けしようと自治体に吹っかけているんですよ。自治体と取引きのあるITベンダーの社員に聞いたところ、『まず4倍の額を提示して、その後の交渉で2倍にまとめるのが〝定石〟だ』と言っていました」

2倍ならまだマシだが、中には補助金の10倍もの見積額を提示された自治体もあるとか…。マイナンバーがただでさえ厳しい状態にある自治体の財政を追い詰めている!

民間企業の社会保険未納問題とは

一方で民間企業の場合、「マイナンバー導入後に倒産ラッシュが始まる恐れがある」と、社会保険労務士の北見昌朗(まさお)氏は警告する。

「民間企業の中には、売上げ不振などを理由に社会保険(厚生年金・健康保険)に加入していないと思われる企業が中小・零細業者を中心に約70万社ありますが、マイナンバー導入によって、そうした未納業者の社名や所在地が一気に炙(あぶ)り出されることになります。

その後、始まるのが社会保険料未納分の一斉徴収。その場合、社会保険料の時効は2年ですから、年金機構から“過去2年分の保険料”が徴収されることになります」

迫る、自治体の“マイナンバー破たん”と、企業の“マイナンバー倒産”の危機…。マジで大丈夫か、マイナンバー!?

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■週刊プレイボーイ41号(9月28日発売)「マイナンバーで日本沈没!!」より

(取材・文/興山英雄)