ケータイキャリアがじわじわと、2年縛りとは別の“新しい縛り”を導入している

今年に入ってケータイキャリアがじわじわと、2年縛りとは別の“新しい縛り”を導入している。

しかもその縛り、なんと最大で5万円以上もの違約金が課される超恐ろしいシロモノらしい。

「iPhone5s/5c」の発売から、ちょうど2年。またドコモが「GALAXY S4」と「Xperia A」の2機種を大幅に値引き販売した「ツートップ戦略」からも2年が過ぎた。

キャリアショップや量販店のスマホ売り場では最新「iPhone6s/Plus」の販売もスタートする中、「解約金のかからない“2年縛り”明けのタイミングで、MNP(モバイルナンバーポータビリティ)を利用して他社に乗り換えよう」と考えている人も多いだろう。

しかも、この夏以降のモデルはSIMロック(端末を特定のキャリア以外で利用できなくする仕組み)の解除が義務づけられている。好きな端末を手に入れたらロックを解除してから解約し、今話題のMVNO(ドコモなどの大手キャリアの回線を借りてSIMカードを販売する事業者)の格安SIMを使えば、月々の利用コストを大きく減らすことができるのでは?

「いや、実はそううまくはいかないのです」

そうクギを刺すのは、ケータイ料金に詳しいフリーライターの後藤一泰氏だ。

「確かに去年までは、MNPによる一括0円で端末を手に入れ、すぐに格安SIMに乗り換えることも可能でした。しかし、キャリア各社はこれまでの“2年縛り”とは別の“新たな縛り”を設けて、そうした行動を抑制しようとしているのです」

それは一体…?

「3大キャリアは一括0円を実現させるために『端末購入サポート』(ドコモ)、『MNP購入サポート特約』(au)、『一括購入割引』(ソフトバンク)という割引制度を設けています。しかし、この割引を最大限に受けるためには一定期間、指定の料金プランや回線契約を維持しないといけない。その条件を破り、解約はもちろん、料金プラン変更でも高額な違約金が発生することがあります。これが“新たな縛り”といえるのです」(後藤氏)

新たな縛り期間とは

キャリアはなぜこんな縛りを設けたのか? 通信行政とキャリアの内情を知る業界関係者のA氏はこう語る。

「総務省は昨年12月、『SIMロック解除に関するガイドライン』を改正し、今年5月以降に新たに発売される端末について、SIMロックの解除を義務づけました。さらにキャリアは“2年縛り”の見直しも求められています。

こうした販売環境の変化のもとで従来通りのMNP大幅値引きを続けたら、ユーザーは契約後に安い料金プランに変更したり、購入後に端末を転売したり、MVNOの格安SIMに流れることが簡単にできるようになる。キャリアはそれを避けたい。自社の利益が大きく損なわれる可能性があるからです」

そのための違約金?

「その通りです。キャリアが縛っている期間、ユーザーがそれなりの月額料金のかかるパケットプランを維持してくれれば、端末代金の割引分は回収できるし、短期解約されても違約金でカバーできる」(A氏)

では、新たな縛り期間とは具体的にどれくらいなのか?

「ドコモの『端末購入サポート』は今年2月に導入され、4月に縛り期間が6ヵ月から12ヵ月に延長されました。ソフトバンクの『一括購入割引』も縛りの期間を4月に12ヵ月、そして9月には24ヵ月へと延長しています。

auはやらないのかと思っていたら、やはり9月に入って『MNP購入サポート特約』を導入しました(苦笑)。それでも、さらに先行した2社に比べれば条件が“ゆるい”といえます。ドコモとソフトバンクは回線の解約だけでなく、指定したパケット定額プラン以外への変更も違約金の対象としているからです。例えば、ソフトバンクの『Xperia Z4』。MNP購入から1ヵ月以内に解約はもちろん、プラン変更でも5万6580円の違約金となります」(前出・後藤氏)

そんなに高額な違約金が…。契約する人には、こうした内容がちゃんと伝わっているのだろうか?

「少なくとも量販店では説明が不十分だと思います。端末価格について店頭のスタッフに問い合わせた時、こうした縛りと違約金についてはまったく触れずに“一括0円”だけを強調し、契約に持ち込もうとするケースが少なからずありました。

2年縛りですらよく理解できていない人もいる中で、パケットプランの変更をしただけで数万円という超高額な違約金が発生するというのは、ほとんどのスマホ利用者にとって想像の範囲外でしょう。契約の前段階できちんとした説明が必要ではないでしょうか」(後藤氏)

この秋、スマホの買い換えやMNPを考えている人は、こうした新たな縛りがあることに気をつけて、購入したほうがよさそうだ。

発売中の『週刊プレイボーイ41号』では、さらにキャリア間で異なる縛りの内実、問題点について詳述しているのでお読みいただきたい!

(取材・文・撮影/本誌「3大キャリア違約金縛り」取材班)

■週刊プレイボーイ41号(9月28日発売)「3大キャリア新違約金に注意せよ!」より