週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 姜尚中が見た“現代の悪”の正体「生まれて初めて悪人は実際に存在すると確信する経験をした」

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姜尚中が見た“現代の悪”の正体「生まれて初めて悪人は実際に存在すると確信する経験をした」

[2015年10月13日]

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「僕はこれまで人間の可塑性を信じてきました。人間は必ず変わると。でも…」と語る姜尚中氏

連日のように繰り返される理不尽な凶悪犯罪、イスラム国の無法、欲望の暴走をコントロールできなくなった金融資本主義、そして「こんな悪は許せない」という憎悪のエネルギーだけで、辛うじてつながろうとする人々…。
 
60代を半ばにして初めて「悪人というものは実際に存在するのだと確信する経験をした」と語る、姜尚中(カンサンジュン)氏が人々の心に巣くい、まるで病原菌のように蝕(むしば)んでゆく「悪の力」と正面から向き合った著作が『悪の力』だ。

身近な事件から宗教、古典文学に至るまで、様々な形で現れ、描かれてきた「悪」の姿を参照しながら「悪」の向こう側にある現代人の心の「虚」に迫る。

***

―まず表紙をめくると現れる「―「悪」の存在を教えてくれた『A』に―」という一行に驚きました。この「A」とは何者なのか? そして、姜さんが初めて出会ったという「絶対的な悪」とはなんだったか? 思わず聞きたくなってしまうのですが…。

姜 この本を書く直接のきっかけは、私がある大学の学長を辞めたことでした。その経緯を具体的にお話しすると、学生たちにも影響が出てしまうので、僕は「諸般の事情で…」ということで通しているのですが、ともかく、その過程で僕は生まれて初めて、自分の間近で「悪」というものの存在を実感し、「こいつだけは許せない!」という感覚を生々しく経験した。

もちろん、それまでも「絶対悪」というのは「知識」としてはわかっていたわけです。例えば、ナチズムがひどいことをやったとか、ポルポトが多くの人たちを虐殺したとか、もっと一般的な犯罪に現れる「悪」もある。

ただ、自分が実際に生身の姿において経験する「悪」というのは、それが初めてだった。

その経験をきっかけにあらためて「悪」とはなんなのか、という問いに正面から向き合ってみたのがこの本なのです。

ちなみに、冒頭に出てくる「A」はその大学の人間のイニシャルですが、同時に少年Aの「A」でもあり、オウム真理教の「A」でも、あるいは安倍首相の「A」かもしれない(笑)。


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