週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 姜尚中が見た“現代の悪”の正体「生まれて初めて悪人は実際に存在すると確信する経験をした」

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姜尚中が見た“現代の悪”の正体「生まれて初めて悪人は実際に存在すると確信する経験をした」

[2015年10月13日]

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―また本書では、ドストエフスキーやシェークスピアの文学作品、聖書、マックス・ウェーバーのような政治学の古典などを引用しながら、そこに現れる「悪」が、「グローバル資本主義」や「金融資本主義」がもたらす「悪の顔」と同じであるとも書かれています。

姜 僕の知る限り、シェークスピアを始め、いろんなものを読むと、そこに描かれている悪の原理は「自分以外は信じるな」という「自己責任」の世界で、新自由主義的な価値観とつながっている気がします。

「ほかの何か」をひたすら妄信する「原理主義」と、この「自分しか信じない」という自己責任的な価値観は、一見、水と油のように見えるんだけど、実はその根っこにあるものは同じで、やはり価値や善悪が「相対化」してしまった時代に、人々が自分と世界との関係をしっかりと構築できていないことが大きい。

その結果、生まれる心のうつろな闇に「悪」が巣くい、伝染しながら広がってゆくことで、「限りなく他人は自分のためにあるし、それは利用するしかない」という考え方に人々がのみ込まれてしまうのではないかという気がしますね。

―「悪」というものと向き合ったことで、姜さんの内面にも変化は起きているのでしょうか。

姜 僕はこれまで人間の可塑(かぞ)性を信じてきました、犯罪者も更生できる、人間は必ず変わる。可塑性を持っているはずだと。でも、最近はもう少しシビアに見なきゃいけないかと思うようにはなりましたね。

ただ、これある意味、自分にとっても「賭け」だと思うんだけど、僕はそれでも人間の可塑性を信じたい。やっぱり、それを信じないとやれないことってあると思うんです。

(インタビュー・文/川喜田研 写真/有高唯之)

●姜尚中(KANG SANG-JUNG)
1950年生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学・政治思想史。著書に、100万部超のベストセラー『悩む力』と『続・悩む力』のほか、『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ』『ナショナリズム』『日朝関係の克服』『在日』『姜尚中の政治学入門』『リーダーは半歩前を歩け』『あなたは誰? 私はここにいる』『心の力』など。小説作品に『母―オモニ―』『心』がある

■『悪の力』
(集英社新書 700 円+税)
世間を震撼させる事件や事故が次々に起こる今、そうした悪はなぜ生まれ、「悪の力」はなぜ増大しているように見えるのか。60代半ばにして初めて、悪人というものが実際に存在することを確信したという。人の中に巣くう「悪」とはなんなのか、そうした憎悪のエネルギーとはどこから来るのか、ベストセラー『悩む力』の著者が、この難問に挑む

悪の力


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