ヒョードルに勝利したこともある伝説の格闘家もカムバック!?

「PRIDEの復活」と称される新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX 2015」(以下、RIZIN)が12月29、31の両日、さいたまスーパーアリーナで開催される。

フジテレビによる地上波中継も決定したこのイベントの目玉は、“皇帝”エメリヤーエンコ・ヒョードルの3年半ぶりの復帰戦だ。また現在、新日本プロレスで活動する桜庭和志のMMA(総合格闘技)復帰戦もあり、その相手は「ライト級最強」の呼び声高い青木真也という好カード。

さらに、“シュートボクシングの女王” RENA、188cm、93kgのマッチョボディを誇る“世界最強の女柔術家”ギャビ・ガルシア(ブラジル)の参戦も発表された。

RIZIN(ライズィン)が「PRIDEの復活」と呼ばれる所以(ゆえん)は、プロモーター榊原信行氏の「復帰」にある。

そもそもPRIDEが消滅したきっかけは2006年、放送パートナーだったフジテレビの撤退だった。運営が困難になったオーナーの榊原氏は2007年、UFCを主催するアメリカのズッファ社にPRIDEの権利を譲渡。しかし、ズッファ社によるPRIDEは一度も開催されることはなかった。

PRIDE買収の際、ズッファ社は榊原氏に「7年間の競業禁止」を課した。つまり、7年間は格闘技ビジネスに関わってはいけないということだ。昨年、ようやくその禁が解けた榊原氏が動き始め、アメリカの「ベラトール」、シンガポールの「ONE FC」、リトアニアの「KSW」など各国の MMA団体と提携を結び、国内外の放送環境も整備、今年末の開催発表にこぎつけたというわけだ。

本誌43号ではRIZIN代表・榊原信行氏の独占インタビューを掲載!

10月8日、RIZIN発足会見を行なった榊原代表(中央)。出場選手のヒョードル、桜庭、青木、RENA、ガルシアの他、高田延彦、小池栄子、各国の団体プロモーターも登壇した

RIZIN発足について、スポーツライターの布施鋼治氏はこう語る。

「現在、世界のMMAマーケットはUFCの独占・独裁状態にある。しかし、RIZINは他団体との連帯、協調を重んずることによって、UFCとは真逆の価値観を出そうとしているのかもしれません。

ルール面にしても、多くのMMA団体はUFCに倣(なら)って、5分3ラウンド制、リングではなくケージ(金網)を採用している。それに対し、RIZINはかつてのPRIDEと同じ10分、5分、5分の3ラウンド制、リングを採用すると言っています。これもUFCへの対抗心の現れで、日本発の MMAの独自性を強調しているのだと思います」

RIZINの発足は、日本格闘技界のリベンジとも言えそうだが、気になるのはその他の出場選手。一部関係者やファンの間では、元横綱・朝青龍の名前も上がっているが、RIZINの広報に問い合わせたところ、「出てくれるなら見てみたいですよね」とのこと。どうやら現実味はなさそう…?

その一方で、あるレジェンドファイターの復帰戦がもうじき正式発表されると思われる。リングス、UFC、PRIDEで活躍した“世界のTK”こと高阪剛(こうさか・つよし)だ。

あのヒョードルから(負傷によるアクシデントながら)勝利した数少ない人間であり、引退後は指導者として菊野克紀をUFCに送り出すなど名伯楽としても知られる。さらにジャンルを超えて、ラグビー日本代表のスポットコーチを務め「低空タックル」を伝授、ワールドカップでの大躍進を支えた。

高阪の復帰について聞くと、RIZIN側は「話はしています」と認めた。ヒョードルの相手を務めるのかどうかはわからないが、45歳のレジェンドファイターは再び日本の格闘技を盛り上げてくれることだろう。

10月13日発売の『週刊プレイボーイ』43号では、RIZIN代表・榊原信行氏の独占インタビューを6ページにわたり掲載、PRIDE消滅からRIZIN誕生に至る経緯が明らかに! 是非お読みいただきたい。

2006年、「PRIDE無差別級GP」におけるマーク・ハント戦で引退した高阪。45歳になっても刀は錆びついていない!?

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(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/長尾 迪)