ラグビーW杯でのジャパンの快進撃に日本中が沸いていた10月5日、ある発表が行なわれた。

国際ラグビーリーグ「スーパーラグビー」(SR)に来シーズンから参入する日本チームの名称が、「サンウルブズ」(ウルブズ)に決定したのだ。“日出ずる国”を表す「サン」に、“小兵でも統率された群れで大きな敵に立ち向かう”「ウルフ(狼)」を組み合わせたのだという。

SRとは、1996年に設立された、南半球の3ヵ国にまたがって行なわれるクラブ対抗のラグビーリーグである。そのレベルがどれほどなのか、『ラグビーマガジン』編集長の田村一博氏が解説する。

「不動の世界No.1であるニュージーランド(NZ)。そして常に世界3強入りを争うオーストラリア(豪)と南アフリカ(南ア)。この3ヵ国の選手を中心に、フィジカルや技術に恵まれたトンガ、フィジー、サモアといった南太平洋の国のトップ選手も加わった、精鋭ぞろいのリーグです。

世界中からスターを集めている北半球のイングランドやフランスのリーグと並び、現在、世界最高峰の水準にある舞台。FWのゴリゴリしたパワー勝負が多い欧州ラグビーに比べ、SRはパスやランでのトライが頻繁(ひんぱん)に見られる、スペクタクルなスタイルが特徴です」

さらにSRは各チームの形態も北半球のリーグのそれとは違う。ラグビージャーナリストの村上晃一氏が語る。

「欧州のプロラグビーチームは、例えばプロ野球やプロサッカーなどと同様の常設組織で、各クラブと選手が契約を結びます。対してSRでは各国をそれぞれ5、6の地域に分け、各地域を統括する協会と選手がプロ契約を結ぶのです。その各地域が毎年、シーズン中だけという期間限定で結成するのがSRの各チーム。ですから、専用のクラブハウスや練習場があるわけでなく、通常は各地域に属する州の既存施設が使われます。

各国ともピラミッド構造の中で、ローカルチーム→州代表チーム→SRチームと段階的に選手を選抜・強化していて、NZ、豪、南アの代表チームは原則的に自国のSRチームからさらに厳選された選手で構成されることになっています。だからSRには、世界をリードする3ヵ国の代表や代表候補選手がひしめいているわけです」

来季のSRでのプレーが予定されている選手は、日本のパナソニックでもプレーした世界的スーパースターのCTB(センターバック)ソニー・ビル・ウィリアムズ(チーフス・NZ)や今季2年連続で豪最優秀選手に選ばれたFB(フルバック)イズラエル・フォラウ(ワラタス・豪)など、かけ値なしに豪華な顔ぶれ。

そんな修羅場のようなリーグに、日本のウルブズが挑む。開幕は来年2月ーー世界の強豪を相手に彼らはどんな戦いを見せてくれるのか? 今から楽しみだ。

■週刊プレイボーイ44号(10月19日発売)「日本ラグビーはスーパーラグビーでも旋風を起こせるか!?」より(本誌では、さらに日本が切望した参戦の背景も解説!)