初の自伝「ゴールデン☆スター 飯伏幸太『最強編』・『最狂編』」が異例の2冊同時発売

史上初の2団体所属レスラーとしてDDT、新日本プロレスで活躍している飯伏幸太の長期欠場が発表された。

頚椎椎間板ヘルニアの治療のためで、復帰は未定だという。

飯伏といえば、10月28日、初の自伝『ゴールデン☆スター 飯伏幸太』が発売されたばかり。それもなんと『最強編』『最狂編』の2冊同時発売というので早速入手したところ、プロレス本が続々と出版される中、さすがというべきか、度肝を抜く仕上がりだった…!

かねてより“狂ってる” “取り扱い注意”との評判(?)も高い飯伏だが、まず『最狂編』を読んでみると…ドン引き~! 人としてギリギリレベル、予想をはるかに上回る破天荒なエピソードが満載だ。

担当編集の小学館集英社プロダクション・澤田さんに伺うと「私もインタビュー中、何度か『え? 今なんて!?』とフリーズしました(笑)」という内容で、目次から一部紹介すると「3歳で万引きグループを組織」、「4歳で竹やぶを全焼させる」など幼少期から、「工場の中に真っ黒に焦げた人間みたいなのがいた」という“最低辺”の登録派遣バイト時代まで常識はずれのオンパレード。

中でも「自分のことを好きな女の子をボコボコにした」話は、飯伏本人も思い出しながら自分のヒドさに落ち込んでいる様子が伺えるものの、世の中の全女性に糾弾されてもおかしくないほど。せっかくついた新しいファンをふるいにかけるようなアブないエピソードばかりだが…。

「特に女性ファンの方にとってはまさに『踏み絵』となっているようで、ツイッターなどで感想を見ると葛藤されている様子が…。でもほとんどの方が受け入れてくださっているようで、ひとまずほっとしております」(澤田さん)

その『最狂編』の方が売れ行きは良いそう。イケメンプロレスラーとしてTV出演もする飯伏だが、狂った部分こそが彼の魅力ということだろうか。それも本人が「NGなしなんで」とさらけ出してくれ、さすがに社会には出せないとカットされた部分も少なくないという。その狂気、計り知れないーー。

エピソードに本人も愕然!?

一方、『最強編』はガチですごい。「離乳食は刺身」、「小5で朝礼台からファイヤーバード・スプラッシュを飛んだ」など、こちらも考えられないネタが満載なのに加え、始めたばかりの水泳では県大会で1位になり、中学時代はトイレでヤンキー軍団をひとりで制圧するなど、筋肉と体力がずば抜けていたことがわかる。

しかし、ずっと「最強」だった飯伏少年でもプロレスラーになるのは簡単ではなく、紆余曲折を経るうちに夢を忘れて無気力になってしまう。そこで転機となったのは、キックボクサーとしての「地獄の半年間」。アスリートとしての自分に「技巧」が欠けていたことに気づき、本気で努力を始めるのだ。

毎朝5時半に起きてランニング、アルバイトを続けながら、まさかの「週8」でジム通い、スパーリングではボコボコに殴り合う。血尿を流し、トイレで吐きながらのトレーニングの過酷さは、読んでいてめまいがするほど。

それがすべて「プロレスラーになる」夢のためだったというから、「最強」を目指した少年が21歳でようやく夢を叶える様には高揚感さえ覚える。

もしかして違う人の話!?と感じるほど開きのある2冊だが、そもそもなぜ同時発売なのかというと、「(同じく編集を担当した)佐久間一彦さんと話していて、飯伏幸太の魅力には“狂気”と“強さ”の2面性があり、その両方を1冊で扱うのは無理!という話になりまして…」(前出・澤田さん)。

取材では「非常に頭の良い方」(澤田さん)という通り、本人が見事に話し分けてくれたという。現場では笑いが絶えなかったかと思えば、取材中に思い出したヒドいエピソードに本人も取材陣も全員で落ち込んだこともあったそうで、ムチャだけど熱い飯伏幸太に周囲も巻き込まれた模様だ。

そんなカロリーの高い自伝(いや、これはもうファンの「聖典」!?)を華々しく発売するタイミングでの「長期欠場」は残念すぎる…。が、これも彼のドラマの1ぺージに過ぎないはずだ。期待に胸躍らせて復帰を座して待つのがプロレスラー・飯伏幸太との付き合い方にふさわしい!

●飯伏幸太(いぶし・こうた)1982年5月21日、鹿児島県姶良市生まれ。2004年7月1日、DDT、東京・後楽園ホール大会におけるKUDO戦でデビュー。常人離れした身体能力から繰り出す空中殺法や、プロレスごっこをベースとしたオリジナル技で脚光を浴びる。業界初のDDT、新日本プロレス2団体所属レスラーとして活動中。

■『ゴールデン☆スター飯伏幸太 最強編』

■『ゴールデン☆スター飯伏幸太 最狂編』小学館集英社プロダクション 各定価 1,400円+税(発売中)