最近、ますますニュースに取り上げられる頻度が高い電車内・駅構内でのトラブル

今年に入って、ますますニュースに取り上げられる頻度が高い印象がある電車内・駅構内でのトラブル。

10月末には東京・JR町田駅のホームで歩きスマホをしていた男性と肩がぶつかった男が、相手の男性を線路に突き落とす殺人未遂事件も…。のほほんと電車にも乗れない総ストレス時代の対抗策は!?

■高齢者が加害者の時代に突入?

今年1月、東急東横線で足を踏んだかどうかの口論から車内で催涙スプレーを噴射し男性ふたりにケガを負わせた男が逮捕。6月には東京・JR京浜東北線車内の優先席でタブレット端末を使用していた男性に70代男性が注意し包丁を突きつけた。

さらに9月には東京・JR五反田駅で階段から男性を転落させた男が傷害の現行犯逮捕、そして冒頭の線路突き落とし…。目立ったものだけでもトラブルの実例は枚挙にいとまがない。

とりわけ世間の話題となったのは9月下旬、東京メトロ・有楽町駅で起きた、64歳の男性がベビーカーに乗った1歳男児を殴ったケースだろう。

おじいちゃんが孫世代を殴るなんて、どうなってんの今のニッポン? All About「防犯」ガイドの安全生活アドバイザー・佐伯幸子さんに聞いた。

「歳をとると頑固になる傾向もありますが、団塊の世代より年輩の方の場合、年功序列や男尊女卑の傾向も影響しています。そこに“イマドキの若い者は”など世代特有の不平不満、退職後のストレスなど様々な要因が重なっていると思われます」

高齢者層は今後どんどん増えていくのだから、これから高齢者VS若者のトラブルも増えるってこと!?

それにしても、どうしてこんなにも電車内や駅構内でトラブルは起こるのか?

「人が多い場所には変な人がいる確率が高く、必然的にトラブルも起きやすくなります。人がいるから安心ではないですね。なので、電車に乗るには危機意識を持たないといけません。私は常々“電車に乗るのも命がけ”と言っています」(前出・佐伯さん)

駅員は距離感をキープしてトラブル回避

しかも、ラッシュ時には乗客はホームを足早に歩き、電車に乗るには押し合い、ぶつかり合う。わざとじゃなくてもぶつかってしまう時もある。まさにストレスを増長される舞台といえそう。

「トラブルは肩が触れた、座っていた人の足が出ていたなど些細なことがキッカケの場合が多いようですね。それだけでカッとなるのは会社で嫌なことがあったなど、その時の個人の事情はあるでしょうが…。自分さえよければいい、自分の行動が周囲に迷惑をかけていると気が付けない。俯瞰(ふかん)して自分を見られない人が増えてきたのも要因だと分析しています」

お互いさまという考えが薄れてきたのか、心の余裕がないのか…。

事件にはならなかったが、今年10月には車内で泣いている赤ちゃんに対して足で床を踏みつけるなど大きな音を立て威嚇(いかく)したサラリーマンが、社員証から社名を特定されツィートを拡散されたことも。

ベビーカーや妊婦にまつわる電車内・駅構内のトラブルも巷の話題としてよく聞く。自分より弱そうに見える人、守るべき存在に寛大になれないとは世知辛い世の中である。

大手民鉄16社、JR6社など計32社局が加盟する日本民営鉄道協会がリリースしたデータによると、2014年度の「鉄道係員に向けて行なわれた(利用者による暴力)件数」は800件で前年度より40件の増加。

協会に聞いたところ、「暴力は大きく増減はない」印象だという。確かに2011年の911件をピークに下降傾向だが、その頃から問題になったことで対策も講じられている?

「トラブルは突然起こるので、対策は難しいものがあります。鉄道各社とも、寝ているお客さまを起こす時は正面にいかないで、驚かせないように声かけをしてから肩を触れるなど注意を払っています。また柔道や合気道など基本を学び、間合いのとり方の訓練を積んで、トラブルが起きた時は距離を置いて対応をするようにしています」(日本民営鉄道協会)

それでも1日当たり平均2.4件、鉄道係員に向けた暴力が発生していることになる。駅員とは大変な仕事のようだ。

しかし、訓練が受けられる駅員はいいが、いち利用客がトラブルに遭った時はどうすればいいのだろう? この続きは、明日配信予定の後編にて!

(取材・文・撮影/渡邉裕美)