土曜の朝の集英社前で気合いを入れるカメラマン・イガラシ

安定性と燃費のよさで大人気の三輪バイクTRICITY125(以下、TRICITY)。

週プレNEWS編集担当のタケダは、そのTRICITYの燃費に目をつけ、「ガソリン満タンにして、どこまで走れるんだろう」というテーマで取材を決行!

実はこれ、10年ほど前から続く『週プレ』本誌の名物企画で、昔はガソリンを満タンにした車で歴代編集者が九州あたりまで走らされていたという。要は、とにかく過酷な取材なのだ。

しかも今回はトリシティの125ccモデルで実験ということなので、高速道路は使えず下道を走ることになる(※126ccからバイクでの高速道路運転が可能)。

乗り手を探さねばならないのだが、この過酷な条件を伝えると、皆さん一様に顔を青くして、「スケジュールが合わないですね…」なんて言われて、避けられまくる始末…。タケダが行けばいいのだが、免許がない。

そんな中、ムチャ振りに応えてくれたのが、カメラマン・イガラシ、46歳! 10年前までは中型バイクに乗っていたが、最近はスクーターを買い物に行く用として使っている程度という。でも、なぜか「自信あります!」と鼻息が荒い。

ちなみに、ヤマハが公表している数値では6.6Lガソリンが入ってリッターあたり38.8km走れるとのことなので、総走行距離はだいたい250km。東京から西へ計算すると静岡県の浜松の手前くらいで止まる計算になる。

というわけで、浜松を目指してイガラシの国道一号線をひたすら走る旅が始まった。

* *

イガラシは11月21日土曜の午前8時、東京・秋葉原のガソリンスタンドでTRICITYの給油を始めた。つまりスタートは秋葉原からとなる。

秋葉原のガソリンスタンドでの給油

まずはイガラシから、担当タケダにLINE。「いってきます」。タケダ無視。どうせ朝まで飲んで、爆睡中なんだろう。先が思いやられる。

3連休の初日で渋滞地獄…

「とにかく加速がいいから、車の流れに乗りやすいです!」と出だし快調のイガラシ。午前9時の川崎でタケダにLINEするも、やっぱり無視、未読。あいつ、「朝見送り行きますよ」とかウソぶいていたくせに呆れる。

11時、54キロ地点の神奈川の戸塚にたどり着くと、渋滞が行く手を阻(はば)んできた。この日は3連休の初日、ここから渋滞地獄が始まる。急な発進や減速はガソリンを大きく消費するため、渋滞はこの企画における最大の敵なのだ。

神奈川県の戸塚付近。とにかく渋滞、渋滞…

ここで、タケダLINEが起き始めた。

タケダ「おはようございます、今どこですか?」イガラシ「戸塚だよ。3連休で渋滞がひどいよ」タケダ「世の中、3連休なんすか!」

呆れて、モノが言えない…。5時間半かけて、やっと箱根にたどりついた。

箱根の急なカーブもスムーズに曲がれるぞ! 見た目にカッコよく、三輪が珍しいので周りの人からも注目される

「サスペンションがしっかりしていて、路面のデコボコをまったく感じさせないんですよね」とTRICITYの性能のよさにご機嫌のイガラシ。

イガラシLINE「箱根ついたよ」タケダLINE「……」

あの野郎、二度寝してやがるな…。テンションが下がる中、絶景が飛び込んできたーー。

静岡県三島付近。休憩中の一枚。TRICITYの背後にそびえる富士山。絶景!このあたりでガソリンも半分に

驚異的な記録を達成!

メシも食わず、ぶっ通しで走っている46歳・イガラシ。さすがにこのあたりでバテてきた。

イガラシLINE「疲れた…昼飯何食べた?」タケダLINE「おはようございます(2度目)。朝食べてないので、実質朝飯ですが、トンカツ食べに行きまーす」

人の苦労も知らずに…。ぶつぶつ文句を言いながら走り続ける。

目標の静岡県浜松市あたりで、ガソリンメーターの目盛りがひとつに!

な、な、なんと、目標の浜松を越え、点滅を続けるも走るTRICITY。本音を言えば、疲労で限界のイガラシは早くガソリン切れしてほしい…。午前8時から浜松まで12時間乗っていることになる。空も暗くなってきた。どこまで行くんだ、TRICITY!

愛知県岡崎市。ガソリンが無くなった地点とその時のメーター

浜松から82km先、愛知県の岡崎市付近でついにガソリンが切れた! 総走行距離343.5km。ガソリン総使用量7.75Lで割ると、なんとリッターあたり約44.3km走ったことになる!

ヤマハの公表している38.8kmを実に5.5kmも伸ばしたことに!!

イガラシLINE「タケダくん、スゴい記録が出たよ!! ところで、ホテルどこ?」タケダLINE「え、スゴいっすね。あ、泊まるんすか、手配してないっす」イガラシLINE「探して」タケダLINE「3連休でどこのホテルもいっぱいですね」イガラシLINE「このまま東京戻れと(怒)?」タケダLINE「1軒ありました。宴会やったあとなので、部屋が臭うらしいですけど、大丈夫っすよね?」

記録に対しても関心なさげだし、ホテルは勝手に決めるし…という怒りを抑えつつ、そのホテルで即寝したイガラシであった。

いや、しかしマジにこの燃費はガチでスゴすぎ! 皆さんもイガラシの記録に挑戦してみてね!

帰り道、御前崎で撮った神ショット!

■今回、すさまじい成績を残してくれたTRICITY125。東京モーターショーでお披露目された三輪バイクMWT-9は高速道路も乗れちゃうぞ!

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(取材・撮影/五十嵐和博 構成/週プレNEWS編集部)