定番人気の中華チェーン「日高屋」はなぜ愛されるのか?

ここ最近、中華チェーン「日高屋」で食事やちょい飲みをする人が急増。正直、バツグンにおいしくはないのに、なぜか客足が途絶えず老若男女から愛されている。一体、その秘密はどこにあるのか?

まず、「日高屋に客がたくさん入る理由は、その立地にある」と答えてくれたのは定食評論家の今柊二(こんとうじ)氏。

「日高屋が出店する立地は大きく分けて2パターン。ひとつは、牛丼チェーンなどファストフード店の近辺。『安く飲食したい』と考えている人をうまく流入させる狙いです。ふたつ目は、深夜営業する店が少ないエリア。ひっそりとした夜道に明かりがついていると『帰る前にシメを』などと吸い込まれてしまう人も多いですからね」

また、意外にも日高屋は満席になる時間が非常に少ない。

「『行けば入れる』という安心感があるため、店選びに悩んだ際、『とりあえず日高屋で一杯』とファーストチョイスになりやすいんです。“適度な混み具合”をキープしていることが、客離れが起こらない秘訣といえます」

もちろん、値段が安いことも人気の秘訣だ。

「メンマなど100円台のおつまみを選べば、ビールと合わせても500円以内で収まります。ストレスを感じさせない価格設定により、客は気持ちよく酒を飲み、日高屋で過ごす時間を好きになっていくのです」

今氏は席の配置にも人気の理由があると指摘する。

「カウンターが壁を向いていることもポイント。厨房に向いているカウンター席に比べて店員の存在が気にならず、落ち着いて食事できます。ひとり客にはありがたいですね」

調味料の工夫に通好みの一品

メニューの多様さも客にとっては嬉しい。

「半ラーメン、半餃子、半チャーハンなどハーフサイズのメニューが多く用意されているのも人気の一因。少しずついろいろ食べたい人や、2軒目以降に来店して満腹気味な人など様々なニーズに応えられています。

また、調味料の使い方を工夫しながら、味の変化を楽しむことができるのも日高屋がウケている理由。例えば、イワシフライにはソースとマヨネーズがついてきますが、卓上には醤油もある。醤油→ソース→ソースマヨ→醤油マヨと、いろいろ味わえて楽しいんです。

酒飲みに嬉しいのは、他のチェーン系中華店ではあまり見られないホッピーやイワシフライなど、通好みの一品が置かれていることですね。定番メニューがそろっているだけでなく、このような一部の客しか喜ばないであろうマニアックな“隠れた魅力”が、日高屋ファンの増加に確実に影響を与えているでしょう」

最後のポイントは、会計後に必ずもらえるクーポンだ。

「スタンプカード式でなく、『味付玉子半額』のように次回すぐ使えるクーポンであるため、客はまたすぐに行きたくなり、通い続けてしまうんですよね」

世代も性別も超えた客に愛されるため、実に様々な工夫を行っている日高屋。まるで、究極のモテ男のようだ。そこで、『週刊プレイボーイ』50号では、この秘訣を恋愛術に応用する方法を指南している。ぜひ一読を!

(取材・文/黄 孟志)