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憎悪の連鎖という悪循環を生むISとの戦い「空爆で命を奪われた一般市民のほうがテロ被害者より多いはず」

[2015年12月17日]

「一般市民も、中東で起きていることの意味や深い背景を正しく理解し、考える必要がある」と語るマックニール氏

パリ同時多発テロの後、アメリカでもIS(イスラム国)を信奉する者によるテロが起こった。

アメリカを中心とした反シリアの「有志連合」とシリア政府を支援するロシアの思惑が入り乱れながら、「ISとの戦争」を巡る中東情勢は混迷の度合いを深めている。

欧米諸国のシリア空爆は本当に「テロとの戦い」の解決策となり得るのか? そもそも、この混乱を招いた原因はなんなのか? そして日本は今後、「テロとの戦い」にどう向き合うべきなのか?

「週プレ外国人記者クラブ」第13回は、イギリスの「エコノミスト」紙や「インディペンデント」紙などに寄稿するデイビッド・マックニール氏に話を聞いた。

***

―11月13日のパリ同時多発テロ以来、イスラム国に対する欧米各国の対応は大きく変わりつつあります。シリアへの空爆の是非について様々な意見があったイギリスも、結局は空爆開始に踏み切ったわけですが、この状況をどう見ていますか?

マックニール フランスで起きたテロ発生後の報道を見ていると、テロの原因はフランスに住むイスラム教徒たちが被る差別的な待遇や、イスラムと西欧の文化的な違いなどばかりがフォーカスされている気がします。しかし、この問題の本質はもっと根深いところにあるということを理解する必要があると考えています。

そもそも、アメリカやイギリスを含めた西欧諸国はイラク戦争などを通じ、過去20年以上にわたりこの地域を爆撃し続けてきたという事実があり、その結果として生じた混乱を全く解決できていない。それどころか、食糧援助を含めた国連の人道支援プログラムすら、紛争の激化と資金不足で深刻な危機に瀕(ひん)しているというのが実状です。

また「ISとの戦い」として西欧諸国が行なっている「爆撃」が、現実には何を意味しているのか…ということもきちんと理解する必要があるでしょう。実際に爆撃されている場所にはISと共に多くの一般市民が暮らしていて、そうした罪もない人たちや彼らの家族の命が「テロとの戦い」のコラテラルダメージ(付随的被害)の名の下、爆撃によって日々失われている。その数は「テロの被害者」を上回っているはずです。そうした現実を大手メディアはあまり報じませんが、ツイッター等のSNSを通じて現地の情報が日々発信され、拡散されています。

―では、イギリスはなぜシリアへの空爆に踏み切ったのでしょう?

マックニール 約2年前、アメリカがイギリスにシリアへの武力行使を迫った時、イギリスの議会は武力行使に前向きだったキャメロン首相の提案を否決しました。ところが、今回は議会が認めてしまった…。

従来、空爆には消極的だった労働党の一部からも空爆を支持する動きがありました。その背景には、今回のテロを受けて「ともかく、IS問題をこのままにしておくわけにはいかない」という意識が働いたのではないかと思います。

もちろん、私もISが恐ろしい組織だということは否定しません。しかし、本当にこの問題を解決したいのなら爆撃を続けるだけでなく、この状況を引き起こした問題の本質を理解しながら、より本質的なアプローチを取る必要があるはずです。


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