グラビアも飾るスターダムの“総監督”紫雷イオ。2015年の女子プロレス大賞を受賞し名実ともに頂点に!

前回配信した独占告白インタビュー(「女でプロレスラーって面倒臭さ二重苦ですよ(笑)」)も反響が大きかった女子プロレス界のアイドル“天空の逸女”紫雷イオ(スターダム)が2015年度の女子プロレス大賞を受賞! 

そこで、今また人気再燃の女子プロにハマり始めた週プレNEWS・K編集長も前のめりに同席し、鼎談の様相となった受賞後初インタビュー。

12/23のタイトルマッチ直前、“女子プロレス界の横綱”里村明衣子(センダイガールズプロレスリング[仙女])に奪われたスターダムのベルト奪還を目指す今の心境を語ってもらった。

―まずは東京スポーツ制定の女子プロレス大賞、受賞おめでとうございます!

イオ ありがとうございます。もう感激です、感激! でもびっくりしましたね。前回、取材していただいてからブログのアクセス数とかツイッターのフォロワー数が急増して、そんな反響もありつつの受賞だったと思うので、今回も気合入れて来ました(笑)。

―よろしくお願いします! でも今年受賞というのも不思議で、この1年は縁の下の力持ち的な活動をされていたような…。

イオ そうなんですよ。ぶっちゃけ、去年はベルトを10回も守って周りにも言われてたりして、頭の中に女子プロ大賞が巡ったりしてたんですけど、結果は「該当者なし」で(笑)。でも賞は目指すものでなくて与えられるものだと思っていて、そのために頑張るのではなく、ひたむきに続けていつか結果として受賞できればいいなと。

今年、スターダムはホントに激動の1年で、それを支えようと裏方に回っていたし。逆にそこも見てもらって評価されたと寸評にもあったので、これは本当に与えられた賞なんだと。後輩や仲間たち、スタッフさん、記者の方々、ファンの方々と周りの人がいてくれたからこそ、自分が代表していただいたと思ってます。

編集長 ただ、ベルトを奪われて里村さんに絶頂期がきたところで、受賞は彼女のほうがふさわしいという見られ方もあるんじゃないかと…。

イオ 確かにそういう意見も至極真っ当だと思いますよ。私もシングルのベルトを一本も巻いてないし。だけど今後、やっぱりイオが受賞してもよかったと思わせるのが使命かなって。ただ結果じゃなくて、それを足がかりにどこまでステップアップできるかだと思っているので。

まぁご褒美として貰えるものかもしれないけど、受賞した責任も大きいんだと。だから今後、もっと世間に届かせなきゃいけないというか。そういう声を覆(くつがえ)すぐらい頑張りなさいよって課題を貰ったようなものなのかなって。

編集長 逆に向こうは、「私が女子プロ大賞じゃないのか」ってところで、見せつけてやるという意気込みで今度のタイトルマッチはくるかもしれないし。

イオ だからプレミアムな戦いですよね。里村さんは2013年に女子プロ大賞を受賞していて翌年は該当者なしで。私が今年受賞して、結果的にそういうカードになったというのはもう運命かなと。

自分も今、脂が乗っているんです!

―しかもチャンピオンである里村選手にリング上から指名されての対戦です。

イオ あれはもう痺(しび)れましたね。ホントは自分から言おうかと思ってたところだったんですよ! でも総監督としての肩書がある中で団体全体を引き上げるという思いが常にあるのでぐっとそれは抑えて。もちろん紫雷イオというシングルプレイヤーとしての野望も目標もあるし、もっと行きたいって気持ちもあるんですけど…。

―今年はそこまで自分を押し殺した年だった?

イオ ホントそうですね。でも心のどこかでは、セコンドから里村明衣子のギラギラした目を見た時に、その瞳の先に自分が映っていてほしいという思いはあって。そんな中でのあの言葉ですから。来たか!と。押し殺していた部分を引き上げられましたね。

―その里村選手は年齢では11歳、キャリアでは12年上ですが、その差については?

イオ もちろん脅威ですけど、ぶっちゃけ関係ないかなって。だって、その分、若いわけでしょ。私も年齢、結構上に見られるんですけど、皆さんが思っているより若いんですよ!(笑) 自分もギュッと濃縮された9年間のプロレス人生を歩んできたと思っているし。

もちろん里村さんの年齢に負けない強さ、ボディビルやられたりとかあの鍛え方はすごいですよね。全く衰えないじゃないですか。むしろどんどん進化し続けている。だからこそ戦いたいと思わされている部分はありますよね。

編集長 里村さんはあの歳でまさに今、脂が乗っているというギラギラな感じが!

イオ でも自分も今、脂が乗っていると思ってるんですよ! (ベルトを初めて巻いた時より)精神的にも肉体的にも今のほうが強くなってるって自信を持って言えるので。倒すことによって実証した上で、お客さんにも世間にも納得させたいですね。

―楽しみです。北斗晶vs神取忍、ブル中野vsアジャ・コングなどのいわゆる名勝負が久しく聞かれない中、まるで対極のような今の女子プロの両巨頭が相まみえるという…。全てに好対照ですし、例えば里村選手はネイルはしないんじゃ?とか。

イオ 絶対行かないでしょうね!(笑)

編集長 逆に向こうは留置所には入ってないですし(苦笑)。

イオ そうですよね(笑)。本当に真人間って感じじゃないですか、里村さんって。片や自分はちょっと黒いアレがあったり…いや、あれは冤罪で黒くはないんですけど!(笑) あと、里村さんは熱い感じだけど私はわりとクールだと言われますし。

里村明衣子って強さの象徴で、揺るがない存在で。じゃあ自分は逆に変幻自在な戦いをしたいなと。チカラでいっても勝てないのはわかってるんで、飛んだりとか動きで魅せるような、向こうにない部分を担わなきゃいけないと。火と水の戦いみたいな真逆のものになると思いますね。

揺るがないですよね、里村明衣子は…

―ホントどっちを応援すればいいのか…! 女子プロ人気も再燃してますが、特に女性ファンで生き様に魅せられてハマる例も増えているんじゃないかと。

イオ ああ、でも女性がカッコいいと思うのはやっぱり里村選手なんじゃないかな。私はあまり女性人気は高くないので(笑)。

ただ、私も初めて里村選手を見た時、入場の瞬間から「この人、すごい!」って思ったんですよ。まだペーペーで新宿FACEのリングサイドで雑巾拭いてて…。里村選手が出てきて、まだなんの技も出してないのに、その目ヂカラを見た時に…! 2008年とか2009年ぐらいじゃないかな。

編集長 その頃からそうだったんですね。あの存在感、男前っぷりはちょっと真似できないオーラだなと。

イオ 揺るがないですよね。里村明衣子は里村明衣子じゃないですか。

編集長 「揺るがない」って言葉がそのままふさわしい。

イオ そうなんですよ。じゃあ私は揺るぎまくろうと思って(笑)。反響があればグラビアもやりますし、喜んでもらえるならネイルもやりますし、髪の色もコロコロ変えますし、世間に合わせまくろうと。里村明衣子はコスチュームもずっと真紅で揺るがないけど、私、コスチュームの色、何回変えてんのっていう(笑)。

やれることはなんでもやりたいんですよ。批判もたくさん浴びますけど、その言葉も全部一旦取り入れます。嫌いなものも食べてから嫌いって言わないと。だから、なんでもパクりますよ(笑)。パクった上で自分のものにできればしますし、常に進化していきたいので。

―では今回の里村戦も当然、自分の進化の糧(かて)になると?

イオ もう、全部貰っていこうっていうのはありますね。過去に里村さんとは2回シングルマッチで戦っていて、それがあるから今の自分があると思いますし。その流れもあったから今回の指名もあったと思うので。

あと、やっぱり団体も背負っているので。仙女とスターダムの団体対抗戦がこの間、2回続けてあって、その反響とか熱気もすごくて! 

誰が取り返すの? 紫雷イオでしょ!

編集長 それこそ昔の名勝負数え歌的に、これから始まってほしい戦いでもあるし。それと、僕が手がけた『燃えろ!新日本プロレス』というDVDマガジンで一番売れたのって新日本vsUインターの号なんですよ。ファンはやっぱり団体戦とか燃えるわけで、ライバルがいてこそのカラーの違いもあってね。団体の中ではなく外だとますます…。

イオ リスクがあればあるほど燃えますからね。

編集長 そのひとつの試金石というか、ターニングポイント、大きな山が動く一戦なわけで…って、どんどんプレッシャーをかけていくみたいな(笑)。

イオ 大丈夫ですよ、プレッシャー大好物なんで!(笑) (団体戦は)仙女の興行ではスターダムが勝って、スターダムのほうではベルトは取り返せず、結果として勝ちなのか負けなのかはわからないけど、かけがえのない経験でファンの期待感にも繋がったと思うんですよ。

だからこそ今回、里村明衣子vs紫雷イオの「ワールド・オブ・スターダム」の防衛戦も、対抗戦の忘れ物を取りにいくと私は思っているので。ベルトだけが取り返せなかった、じゃあそれを誰が取り返すの?、紫雷イオでしょ!と。

編集長 2015年ラストに看板同士、大将同士が年末に決戦するという。

イオ 決戦ですね。来年1月でスターダムが旗揚げ5周年なんですよ。そこに至宝のベルトがないっていうのはどうなの!って。みんなの思いを背負ってリングに立とうと思っているので。まぁお互いにいろんなものを背負って、団体も女子プロのトップの座も、人生も背負ってるでしょうし。

―本当に女子プロレスのトップ対決ですね!

イオ そう言ってもらえると幸せですね。そういうプライドを持ってリングに上がりたいです。よくベストバウトはなんですかって聞かれるんですよ。でもベストバウトなんて絶対ないからって今は思ってて。私には伸びしろしかないから。

例えば、ある試合がよかったとしても、自分の中でそれは100点ではない。じゃあ次はもっといい試合をやろうって気持ちでやっているので、満足する日は今のところ来ないと思うんですよ。

編集長 まさに次の試合がベストバウトだという気持ちで?

イオ まさにそうです。女子プロ界最高峰のカードと言ってもらえるような試合にしたいと思ってますけどね。

◆冷静に現状を捉えつつベルトへの執念を燃やす紫雷イオ。明日配信予定のインタビュー後編では全米ファンを魅了した初遠征と未来のビジョン、そして恋愛までを赤裸々に…!

●紫雷イオ(しらい・いお)1990年5月8日生まれ 出身地非公開 2007年に16歳でデビューし、キャリア9年目で東京スポーツ女子プロレス大賞を受賞。高い身体能力を誇り、その美しい空中殺法から“天空の逸女”と呼ばれる。所属する『スターダム』では『ワールド・オブ・スターダム王座』を10度防衛した他、5大王座グランドスラムなど数々の記録を打ち立て、名実ともにエースとして活躍中。

STARDOM YEAREND CLIMAX201512月23日(祝)後楽園ホール 18:00◆ワールド・オブ・スターダム選手権試合 30分1本勝負<王者>里村明衣子 vs <挑戦者>紫雷イオ※里村、2度目の防衛戦ほか最新情報は公式サイトにて。http://wwr-stardom.com/