グラビアも飾るスターダムの“総監督”紫雷イオ。2015年の女子プロレス大賞を受賞し名実ともに頂点に!

今年10月の独占告白インタビュー「女でプロレスラーって面倒臭さ二重苦ですよ(笑)」がネットでも大反響となった女子プロレス界のアイドル“天空の逸女”紫雷イオ(スターダム)が2015年度の女子プロレス大賞を受賞! 

そこで、今また人気再燃の女子プロにハマり始めた週プレNEWS・K編集長も前のめりに同席し、鼎談の様相となった受賞後初インタビューの後編。(前編→「揺るぎまくって忘れ物を取りに行きますよ」

“女子プロレス界の横綱”里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)が保持するベルト奪還をかけた12月23日のタイトルマッチを控える中、その先の野望、そして女性としての夢まで語ってくれた!

―今年10月にはアメリカ・ロサンゼルスに初遠征しましたね!

イオ はい、初のアメリカです。

―アメリカでの試合が初とは意外でしたが…。

イオ メキシコには5、6回行ってるんで海外にたくさん行ってるイメージがあるみたいなんですけどね。どれだけ通用するのかなって楽しみと未知の部分が入り混じっての挑戦で、実際に行ってみて視野が広がりましたね、世界は広いなと!

―それは選手に対して?

イオ もう、全部かな! 元々、憧れていて、将来的にアメリカンドリームを掴(つか)みたいという思いがあって。で、行ったら楽しいし、ファンの皆さんの反応が予想以上にダイレクトなんですよね。リアクションが大きくて、何をしても歓声が巻き起こったり。

―行く前からある程度の知名度があったんですね。

イオ そうなんですよ。なんでこんなこと知ってるんだろう!?っていうぐらい。日本のファンのように横断幕を作って応援してくれたり、紙テープをリングに投げたり。

―アメリカに紙テープ文化なんてないですよね!?

イオ やっぱり今はネット社会で、世界中どこに行っても情報が入ってくるし、海を越えて拾ってくれているんだなと実感しました。ほんと楽しむ気満々で会場に来てくれて! 待っててくれる人がこんなにいるんだなって。

だけど甘い部分だけじゃなく、現実を見たとこもあって、求めてないものだとすぐに淘汰(とうた)されそうな感じはありましたね。ありがたいことにスターダムの興行中は1回もブーイングは起こらなかったんですけど、ちょっとでもショボい試合をしてしまったらゴミを投げられたりもするんだろうなって緊張感はありました。

あのTV局からもラブコール!

―でも自分みたいににムーンサルトのような大技をできる人もいないのでは?

イオ いないでしょうね。たぶん女子プロレスでは日本が最高峰なんですよ。ショーでいえばWWEが最高峰でしょうけど、女子プロという文化は日本のこの追求の仕方って世界で一番なんだろうなって。自信を深めた部分もありますね。

だからといってレベルが低いわけではなくて、日本ほどではなくてもアメプロという文化の発展の仕方をしてるので、その中でどれだけ通用するかっていうのは今後、追求していきたい部分ですね。

あと、アメリカでは『ルチャ・アンダーグラウンド』のプロモーターさんがわざわざ観に来てくれて…。

―えーっ、あの『ルチャ・アンダーグラウンド』(※)が!?(※アメリカのケーブルTV局で2015年に始まったプロレス番組で国内外から一流選手が参戦。設立者は映画『デスペラード』などの監督で知られるロバート・ロドリゲスで、ドラマ仕立ての魅せる手法に称賛の声も高い)

イオ 前から声はかかっていたらしいんですよ。私もメキシコでAAA(トリプレア)とか出てたから。それですぐにでも来てほしいとすごいラブコールを受けまして。

―あのリングに呼ばれるというのはすごいことですよ! 

イオ 面白いですもんね、TVマッチとして作り上げるコンテンツとして。でも収録で3ヵ月ぐらいずっと週末行かなきゃいけないので、それを考えると現実的には難しいんですけど。やっぱりホームあっての遠征ですから日本での活動が止まってしまうわけにはいかないし。

でも実際にプロモーターが見てスターダムすごい、ホントにイオ・シライに来てほしいというラブコールなのでありがたいですね。体が2、3コ欲しいぐらいですけど(笑)。だからいつか行くかもしれないですし、他の団体でも、ゆくゆくはWWEなのか…わかんないですけど、私の野望は世界進出なので! USAツアー1回目ではいい結果かと。マイナス要素はひとつもなかったですね。

―イオさん自身、かなり弾丸ツアーだったようですけどね。

イオ 現地で試合がある10月16日が姉(紫雷美央)の結婚式だったんですよ。時差が15、6時間ぐらいあるので、お昼に結婚式に出て、終わったら振り袖を脱ぎ捨てながら成田空港に向かって(笑)。髪の毛もアップのままひとりで飛行機に乗って、あまり眠れず(笑)、着いたのが試合当日の夕方でそのまま会場に着いて、1時間後にはメインでベルトの防衛戦でした。髪もそのままですよ(笑)。

棚橋選手は勝手に神として尊敬してます

編集長 それもウケたのでは(笑)。

イオ ひとりだけ遅れて来てスター感はあったと思うんですけど、むくみがひどくて顔パンパンでしたね(笑)。でも逆にそういう時のほうが燃えます。ランナーズ・ハイじゃないですけど、動きがキレッキレだったりするんですよ。楽しかったですねー。

ほんとプロレスならではかなと。言葉がいらないというか国境を越えるじゃないですか。多少の順応性は必要ですけど、身ひとつでヤル気さえあれば世界中に思いは伝わる。そこが醍醐味(だいごみ)なんだと思うし、だからこそ世界進出したいなって。

―これでアメリカ進出を果たし、世界から挑戦状が届くかも!

イオ 願ったり叶ったりですね、ふふ。いつでも誰とでもやれるコンディションを自分は持ってるし。日本でもやたら外国人選手と当たりまくってるんで。来日したらとりあえず紫雷イオを当てとけって感じで(笑)。

―スキルの熟練度では、キャリア9年でここまで経験を積んでいる人もなかなかいませんよ。

イオ かもしれないですね。自分でメキシコに修行に行ったりしたことも財産にはなってるし、ハングリーかもしれない。基本的に現状に満足したことは一度もないので! 今回の遠征でもガッと積み上がりましたね、プロレス人生の中で。

編集長 今度、対戦する里村選手にインタビューした際、彼女もWWEから声がかかったことがあると明かしていましたが…。里村さんには引退した天龍さんのイメージが被るんだけど、ちなみに自分は誰っぽいと?

イオ 目指してるのは棚橋弘至選手です。やっぱり時代に合わせてるというか。プロレスラーってガタイがよくてたくさんお酒飲んで、強くてちょっと男臭くて…っていうイメージですけど、その中で硬派っていうのでもなく、女性とか異性の目もしっかり気にしてる感じじゃないですか。

イケメンというかチャラさも時代に合わせた結果で、プ女子を増やしたのは棚橋さんの功績だと思うんですけど。

編集長 軽く見せながら、でも根っこでは熱くて真面目で。

イオ やることはしっかりやるっていう、その変幻自在さは自分も取り入れたい部分ですね。もう勝手に尊敬してるんで、神として(笑)。あと、私も叩かれる要素あるじゃないですか。戦いをしてるのにオシャレさは必要ないだろうとか。

編集長 なんでグラビア出んだよとか? ふたりとも事件もありましたしね(苦笑)。

イオ そうそう、ホントそう(笑)。けど、そうやって興味のない人に届けることも大事じゃないですか。やっぱり自分を磨きたいし、天龍さんとか里村さんみたいに揺るがないコアな感じで磨くのもいいけど、自分はそれじゃないなっていう。

将来の夢は素敵なお嫁さんですから!

編集長 スタイルとか見せ方の個性はバラエティに富んでていいわけで、ソウル的な意味で守るべきものはあるんだぞっていうのは別ですよね。

イオ ええ、スターダムのリングとか女子プロレスに人生を捧げているっていう、信念として私もそこは揺るがないので。その思いだけは強いです。ホント、パクりたいですよね。「愛してまーす」って叫びたくてしょうがないですもん(笑)。

編集長 (笑)。ところで、お姉さんが結婚されたということで、紫雷イオは世界を目指す一方で「憧れるなぁ…」的なものは?

イオ ありますねー!!(笑)

編集長 週プレとしてはそこもツッコミますよ(笑)。

イオ いやいやいや、幸せにはなりたいですから、私も!(笑) 今はリング上で幸せを探してるんですけど、ゆくゆくは家庭をね、子供も欲しいですし。

編集長 この前の記事がネットでハネた時も、書き込みで過去の恋愛をイジるコメントがあったり…。

イオ ああ、過去の恋愛ね(笑)。でも今は全然ないですよ。もう3年くらい?

編集長 それは今の現場監督の立場もそうだけど、余計なことが入り込む余地がないというか、気持ちが全くそっちに動かない?

イオ ないですねー。素敵な出会いがあったとしても、たぶんすぐフラれちゃうと思います。プロレスが恋人なので、どうしても2番になっちゃう。もしそれが1番になれる男性が現れたとしたら、それは私が引退の時だと思います。

だから当分、ないでしょうね。今はプロレスが楽しくてしょうがないんで。それは幸せなことだと思うんですよ。楽しくてしょうがないことって、世の中になかなかないですからね。

―それ、同じことを里村さんも言ってましたね。「この人と一緒になるより、プロレスやってた方が幸せになれるわ」って。

イオ あら!?(笑) でも、私もそう思っちゃうと思います、素敵な男性が現れたとしても。婚期は逃したくないので募集中ではあるんですけど(笑)。

編集長 今はオトコよりもプロレスに愛を注ぐと。そこだけは好対照なふたりが一致しましたね。

イオ 共通しましたねー。ただ、私の将来の夢は、素敵なお嫁さんですから!(笑)

●紫雷イオ(しらい・いお)1990年5月8日生まれ 出身地非公開 2007年に16歳でデビューし、キャリア9年目で東京スポーツ女子プロレス大賞を受賞。高い身体能力を誇り、 その美しい空中殺法から“天空の逸女”と呼ばれる。所属する『スターダム』では『ワールド・オブ・スターダム王座』を10度防衛した他、5大王座グランド スラムなど数々の記録を打ち立て、名実ともにエースとして活躍中。

STARDOM YEAREND CLIMAX201512月23日(祝)後楽園ホール 18:00◆ワールド・オブ・スターダム選手権試合 30分1本勝負<王者>里村明衣子 vs <挑戦者>紫雷イオ※里村、2度目の防衛戦ほか最新情報は公式サイトにて。http://wwr-stardom.com/