2015年の日本代表は、結果にしても試合内容にしても決していい年じゃなかった

2015年の日本代表を振り返ると、結果にしても試合内容にしても、決していい年じゃなかった。モヤモヤ感が残ったね。

14年ブラジルW杯の惨敗からの巻き返しを期待されていたのにアギーレ監督(当時)の八百長問題というまさかの騒動で幕開け。その雑音の中で臨んだアジア杯(豪州)はUAEにPK戦の末に敗れ、連覇を逃すどころか、5大会ぶりの準々決勝敗退となった。大会後、アギーレ監督は八百長問題で契約解除。日本サッカーの長い歴史の中でも、こういう形で監督が代わったのは初めてだろう。

その後、3月にハリルホジッチが新監督に就任したけど、悪い流れは断ち切れなかった。6月のロシアW杯2次予選の初戦では、ホームで格下シンガポールにゴールを奪えずに引き分け。また、国内組だけで挑んだ8月の東アジア杯(中国)では1勝もできずに史上初の最下位。その後は黒星こそなかったものの、決して強くはない相手との試合でも、なかなかスカッとした勝利を挙げられなかった。

試合に出ている選手の顔ぶれも、ブラジルW杯からあまり変わっていない。新鮮さがないね。そして既存メンバーにしても、決して所属クラブで好調というわけじゃない。本田(ACミラン)などは出場機会を失っている。コンスタントに結果を出しているのは香川(ドルトムント)くらいだ。

宇佐美(G大阪)、柴崎(鹿島)、さらには南野(ザルツブルク)など新たなヒーロー候補もいたけど、期待されていたほどのインパクトを残せなかった。Jリーグを見渡せば、目立っていたのは3年連続得点王の大久保(川崎)、ナビスコ杯MVPの小笠原(鹿島)、相変わらずいい仕事をしている遠藤(G大阪)などベテランばかり。もう“期待の若手”は出てこないのかなと不安な気持ちにもなる。

2016年は日本サッカー協会の本気度が問われる!

ハリルホジッチ監督の評価も現時点ではなんとも言えない。キャラクターは面白く、話題性もある。また、監督就任以降の成績は8勝4分け1敗。なかなかの数字だ。

ただし、強い相手と試合をしていないから評価が難しい。過密日程やW杯予選のレギュレーションの問題が大きく、ハリルホジッチ自身にはなんの責任もないんだけど、就任早々にブラジルやウルグアイと対戦した前監督のアギーレとは実に対照的だ。

W杯2次予選は格下の相手ばかりだし、それ以外の親善試合でも、骨のある相手はイランくらいだった。極端な言い方をすれば、誰が監督をやっても同じような成績になっていただろう。

だからこそ、16年は日本サッカー協会の本気度が問われる。このまま強豪との対戦がないまま、“ぶっつけ本番”で秋の最終予選を迎えるのは危険すぎる。果たして、2次予選の終わる3月以降にどれだけ強化試合を組めるか。僕は一試合でも多いほうがいいと思う。それも、できるだけ強い相手とのアウェー戦をね。

例えば、EURO(ヨーロッパ選手権)予選で敗退した強豪オランダ、さらにはハリルホジッチ監督の出身地であるボスニア・ヘルツェゴビナなんて狙い目じゃないかな。アジアでも韓国やオーストラリアならいい。

協会がどれだけのマッチメイクをできて、どれだけJリーグおよび各クラブの協力を取りつけられるか。その上でハリルホジッチ監督がどんな采配を見せるか。そこに注目したいね。

(構成/渡辺達也)