波は大きくうねり、今にも雨が降りそうな中、釣れはするものの本命はGETできるのか!?

約3ヵ月ぶりに海へと出られた週プレ釣り部。千葉・勝浦周辺で行なわれている伝統釣法「カモシ釣り」で、北海道沖から南下し、脂ののった極上の真サバを釣るべく、いざ出港!

***ようやく明るくなった川津港を5時半に出て、今にも泣きそうな天気の中を沖へ。最初のポイントは岸から約20分。この辺りの海底は比較的平坦で、砂地と低い岩礁が点々としている。風は北西8mくらいでうねりが高く、潮は薄暗く濁り気味。

船は投入場所を探りながら旋回、「はいっ、では始めましょうか、タナ30mです」ーー毎回だが、ドキドキの第一投目。

出船前に船長と作戦会議。船長によると今頃釣れていいはずのヒラマサが、ここのところ出ていないそう。それでもいつ大型がくるかはわからない。ハリス切れしないように、私は迷わず前日に自作した14号6mのナイロンハリスをチョイスした。今日は徹底的に大物にこだわるのだ。

第1投目。棚は30m。最初は36mあたりで止め、頭上高く竿を振り上げて直ぐにストーンと竿を下ろす。下ろしながら道糸を捲(ま)き取る。これで少しずつ上げながらカモシ袋からコマセがこぼすのだ。たぶん、6mのハリスはやや斜めになってカモシ袋より下方に向かっているはず。針とエサはハリスの先端で、サンマミンチの煙幕の中をふわふわしているだろう。

何度か試してみても魚信(アタリ)は出ず、場所移動。次の棚は35mだ。先ほどと同じ動きをしてコマセをばら撒き、しばらく指示棚で待った。

うんっ? 何かが触ったな? でも引きこまないので、少し竿を上げてみた。何かついているような、ついていないような…。エサを点検して上げてみるとチャリコ(小鯛)だー! 手の平より少し大きいチャリコが釣れていた。

そうこうしていると、コマセが効いたのか他の釣り人の竿が曲がっている。釣れたのはみ見事なキントキ鯛。40cmは超えている。「あぁ~羨ましいなぁ~」と思っていると、今度は釣友K氏の竿が曲がった。きた! きた! クラス最強ロッドのチェルマーレが海面に突き刺さんばかり! 大鯛か!? ヒラマサか!?

釣れ出したと思ったら…

しばらくやり取りすると、薄っすら魚体が見え「あっ! ヒラマサだ!」と船長が叫ぶ! 船中が騒然となった。待ち構えていた船長が大きなたも網で掬(すく)い、見事GET!

K氏は長い釣り歴でもヒラマサはまだ釣ったことがなく、満面の笑みで達成感に満ち溢(あふ)れていた。…が、その直後、船長が「あれっ? ヒラマサじゃなくてワラサ(ブリの子供)だ!」とひと言。K氏のガッカリする顔は見ている私も残念に思えた。

ヒラマサとそっくりなワラサ。ヒラマサは口の根元が丸みを帯びているのが特徴

ともかく釣らなくてはと仕掛けを投入。コマセを捲きながら上げて止めた。と同時に、ググッっと魚信! すかさず竿を立て合わせた。ググッー!としっかり引いている。上がってきたのはキロを少し超えた真ダイだった。14号ハリスだけど、よく食うな。やはりサンマのミンチが魚を狂わせるのか? カモシ釣り、恐ろしや! もっともっとデカイのこい!

散々粘って1キロほどの真ダイをようやくGET

しかし、期待とは裏腹にだらーっとした時間だけが過ぎていく。時刻もすでに10時を回ってしまった。

大物狙いのはずが…

20分くらい走り、ポイントを変える。水深30m、棚は23mだ。

今日1日、パッとしないままだが、「最後の最後まで、時間がある限り諦めない!」と考えながら仕掛けを落とすと、途端に魚信! 棚取りと同時に魚信だ!

しかし待つまでもなく、直ぐに上がってきたのはイサキだった。実は、張りつめていた大物への思いがいつのまにか縮み、ハリスの号数を4号に落としていたのだ。大物との格闘魂は影を潜め、土産優先の釣りに移行してしまっていた。

船は浅場の同じ場所で2流しを終え、沖上がりとなった。今日は午後からさらに風が強まり、雨降りの予報、帰り仕度の途中からパラパラ雨が勢いを増していた。本日の釣りはこれで終わり!

本日の結果は、私が0.5~1キロの真ダイを3尾と寒イサキ10尾。釣友K氏はチャリコ2尾とワラサ、ウマヅラ。他の2名も同じような釣果だった。

さて、今回で最後の連載となったこの週プレ釣り部。最後は目標の真サバを釣って大団円としたかったが、叶わず…。

しかし、それが釣りなのだ。出漁する時は寝不足でも、はやる心を抑えきれない。大物をバラした時などは、逆に興奮冷めやらず、むしろアドレナリン出っぱなし。いずれにしても釣り人は、釣りを通じ、何か自分の中に変化を抱くものだ。まだ釣りへ、海へ出たことのない人は一度でも体験してほしい。

さぁ~てと、次はどこへ何を釣ろうかな! (了)