ヒロシの日めくりカレンダー「まいにち、ネガティブ。」が、なんと１０万部を突破！

「ヒロシです」と名乗ってからの自虐ネタでお馴染みのピン芸人・ヒロシが、９月に日めくりカレンダー「まいにち、ネガティブ。」を発売。なんと１０万部を突破したという！

喜びの声を聞こうと６月にオープンした「カフェ＆カラオケ喫茶　ヒロシのお店」に突撃取材したところ、喜ぶどころかますますネガティブ発言連発！　そのとめどない否定的発言の理由は一体！？

－「まいにち、ネガティブ。」がついに１０万部を突破したとのこと、おめでとうございます！

ヒロシ：ありがとうございます。

－カレンダーについて、ネットのレビューを見ると「ほっこりする」「励まされた」と肯定的な意見が多いですね。

ヒロシ：嬉しいですね。匿名性があるネットだから肯定的なコメントが出たんでしょうね…。

－んっ、それはどういうことですか？

ヒロシ：僕のファンは世間にファンであることを隠して、普段は意見を飲み込む方が多いんですよ。ファンレターでも「友達にヒロシさんのファンだと言ったらバカにされるのですがどうしたらいいですか？」って。それを僕に言われてもね…。誰にも直接ツッコまれることのないネットだったんで、隠れファンが反応してくれたんでしょうね…。

－迫害される異教徒じゃないんだから！（笑）　じゃあこのカレンダーを買ったと公言するのは“踏み絵”のようなもの！？

ヒロシ：そうかもしれませんね。このカレンダーを本屋に注文するのも恥ずかしいという人も多くて。というのも、大体、僕の出す書籍ってあまり書店に並ばないんですよ。店員さんに「ヒロシさんの本が今日発売のはずですけど…」と聞くと「なんのヒロシさんですか？」というやり取りが発生してしまうんです。だから、ファンは隠れがちに…。

－はははっ。そんな状況でこんなに売れたのはファン以外の方々にも支持された証拠。社会的にも“後ろ向きでも良い”という雰囲気が出てきたのでは？

ヒロシ：そうなのかな。やはりネガティブはダメですよね。

－そんな身も蓋（ふた）もない（苦笑）！

ヒロシ：だってネガティブに生きてたら、結果、こんな風になっちゃうんだもん（自らを指差す）。やっぱり同じカレンダーでも、ポジティブって言っている松岡修造さんのほうがＴＶにもＣＭにも出てますもんね。世間への影響力が強いというか…。僕のカレンダーは松岡さんのカレンダーのパクリなんですけど（笑）、おかげでパクリ版も売れてるわけですから、松岡さんのポジティブ思考は有り難いですよ！

ヒロシの言葉にはネガティブなりに…？

－世の中には光と影があるということですね（笑）！　でもヒロシさんの言葉にはネガティブなりに“譲れない軸”があるというか、例えば「やらない勇気！」などには筋の通った強さすら感じますが…。

ヒロシ：やらないで行動を起こさないのは良くない、チャレンジが大事だといいますけど、やってものすごい痛手を負うこともあるじゃないですか。

－確かにあります！　何か具体的なエピソードがあったのですか？

ヒロシ：デリヘルを呼ぶか呼ぶまいか迷っていて「やっぱりチャレンジだ！」と呼ぶじゃないですか。すると案の定、ブサイクが来ますよね…。

－おーーい、そういう話かよ！

ヒロシ：これで２万円も払わなければならないわけですよ！　本当は「俺がもらいたいぐらいだよ！」と。だから、やらないでおとなしく寝る勇気も必要だってことです。

－違う例で語ってくださいよ！　他に「自分以外の人は、すべて外野」という言葉も含蓄（がんちく）がありますね。

ヒロシ：結局、お金を出さない人が口を出すパターンが多いんですよね。例えば、俺のお店でもなんでも、口出すんだったら金出してくれよっていう（笑）。１番タチが悪いのは「あなたのためを思って」というテンションで近づいてくる人。そういうのを聞いてもキリがないんで、自分が信じる人の言うことだけ聞いとけばいいんじゃないのかなと思っています。

－確かにリスクを抱えない人ほど多弁ですもんね。「引きこもるほどの金がありません」は、社会の真実を指摘しているのでは！？

ヒロシ：そうなんですよ！　引きこもりって言うけど、働かないで済むってことは金持ちじゃんって！　知り合いが１０年ぐらい引きこもりやってますけど、やっぱり親が稼いでますからね。資金がないと引きこもることもできないわけですよ。週３回はバイトに行かないと最低限の生活もできなかったんで、しょうがなく行ってましたよ。

－引きこもり目指してたみたいなコメントになってますけど（笑）。カレンダーの言葉は、やはり自身が月収ゼロになったりと多くの“ドン底”を経験してきたからこそ生まれた？

ヒロシ：はい、その通りです。実は、言葉をつむぎ出すのに時間かかりそうに見えるかもしれませんが、すぐにできてしまいましたよ！

この世にみんなが主役の世界なんてない

－失礼ですが、“ドン底”の蓄積がすごいですね（笑）。

ヒロシ：いやー、芸人として売れた最初のうちは良かったんですけど、売れた後がキツいですよね。一度はＴＶから何からいろんな人が寄ってきて持ち上げられたものが、一度にサッといなくなるじゃないですか。その時のダメージたるや…。さらに人の言葉が信じられなくなるほどでしたからね。

－そんなヒロシさんの言葉に「勇気づけられました」と言っている方が大勢いるわけです！

ヒロシ：そんな方も半年後にはいなくなりますから。「一生ファンです」とか言っても２、３年でどっか行っちゃうんだもん（苦笑）。こういうこと言うと「なんでそんなにひねくれてるの」って言われるけど、でも実際そうなんですよと。そう僕は思ってるんです。

－やっぱどこまでも悲観的…（笑）！　本当はポジティブになりたいのでは？

ヒロシ：まず、ポジティブって一体なんだろうと思うんですよ。だってちゃんと考えてみたら普通はネガティブじゃないですか！　この世にみんなが主役の世界なんてないんですよ。タレントさんのサクセス本を読んでも、そこに書いてあるようにはなかなかいかないわけで。それを「いやいや」と言うと、こっちが悪になっちゃう可能性も。だから黙して語らず過ごしてきました。

－ハアッ…（溜息）。しかし今回のカレンダーで大きな波がまたきそうですが。ネガティブの逆襲というか今後の野望はありますか？

ヒロシ：どうだろう、その日その日を乗り切るだけで精一杯ですよ…。

－そんなこと言って、１０万部売れてたら、印税が1０％として…１千万円も入ってくるじゃないですか～！

ヒロシ：悲しいことに出版社と僕の間にいろんなところが入ってて、あんまりお金入ってこないので…。

－それも泣くしかないっていう？　ネガティブにならざる得ないんですね…（涙）。

ヒロシ：理解してもらえましたか…。でも帰り道、「ヒロシって愚痴ばっかりじゃねーか」とか、どうせ悪口言うんでしょ…。

－言いませんよ！（いや、言うかな…）

（取材・文／明知真理子　撮影／松井秀樹）

■ヒロシ（ひろし）１９７２年２月１４日生まれ　熊本県出身　血液型＝Ｏ型　趣味＝キャンプ・釣り・家庭菜園・バンド活動　特技＝あるんだったらＴＶ出てるよね。◯中野坂上で「カフェ＆カラオケ喫茶　ヒロシのお店」営業中！　ヒロシの日めくりカレンダー「まいにち、ネガティブ」発売中。最新情報はオフィシャルサイト「ヒロシの部屋」へ。http://hiroshi0214.com/