長渕のそっくりアーティストのTakuya Nagabuchi。長渕が1993年に発表した『Captain of the Ship』のジャケットを衣装やギターすべて忠実に再現!

名古屋に長渕剛に激似の新人がいるらしい。ファンの間では超有名でなんと単独ライブでは700人を動員したとか!

…そのアーティストはTakuya Nagabuchi。一体、どんだけ似てるんだ!?というワケで、編集部イチの長渕マニアである記者が見極めたる!と直撃。

2015年の暮れも押し迫る12月29日、名古屋の老舗ライブハウス、ハートランドスタジオで行なわれた単独ライブ“THANK YOU NIGHT 2015”に駆けつけた。

■長渕の代表曲から激レア未発表曲まで披露

この日の動員数は100名限定でチケットは完売状態。会場周辺には、どこからともなく現れた筋肉マッチョな肉体&独特なソリコミを入れたイカつい長渕ファンと思しき人々らがゾクゾク…。恐る恐る会場入りすると、開幕10分前から長渕のライブ同様“ツヨシ! ツヨシ!”と剛コールで会場が揺れる。

そこに「こんばんわ~」と現れたのは、1978年デビュー当時の“サラサラロングヘアー長渕”風、フォークアイドル時代の格好をしたTakuya Nagabuchi! 今回のライブは2daysということで1日目の12月29日は80年代中盤までの、長髪&痩せ形でアイドルっぽい売り出し方をされていた時代の楽曲やラジオ番組でしか発表されていない激レア未発表曲を中心に演奏。

MCでは「普段のライブではデビュー当時から現在までの楽曲を4つの時代に歌い分けて展開していますが、今回は僕のライブ史上初めて、剛さんのデビュー当時の歌に特化した“聴かせるライブ”をご披露したいと思います」と語ったが、その1曲目は1979年に東芝EMIより再デビューを果たした2ndアルバム『逆流』の収録曲「風は南から」。

続けて「いつものより道もどり道」を歌い始めようとすると、客席から「帰れ! 拓郎、出せ」との声が。なんのこっちゃ?と思ってると…、

「この歌は79年に吉田拓郎さんのライブに新人時代の剛さんが特別出演した際に歌った歌なんですが、剛さんを知らない観客に“帰れ帰れ”と野次られたのを再現してくれたんですねぇ。皆さんよくご存じですね」

まさにその当時、ライブを見た人にとってはタマラナイ演出というわけだ。隣で“帰れコール”を叫んでたオジさん(推定50代)に聞くと、

「オレはデビュー当時の剛のファンでね。今の容姿とは全く違って痩せて髪の長いヤサ男で「順子」のような女々しい歌も多かったけど繊細な歌詞が好きで。今のようなメッセージ性が強すぎる歌はちょっとね…」

昔の長渕に会えるノスタルジー空間

白シャツ&黒スラックスの衣装は81年発売のライブアルバム『長渕剛LIVE』の歌詞カードに載っていた衣装を再現。ヅラもこだわりのロングヘアーです!

さらには80年代にオールナイトニッポンで長渕がDJをやっていた頃の名物コーナー「裸一貫ギターで勝負」でのみ歌われたという未発表曲「消夢(しょうむ)」や79年の全国ツアーでよく歌われた未発表曲「女と母」なども披露。

やはりフォーク時代の長渕の歌を聴きたくて山梨からやってきたという40代後半の女性がこう言う。

「Takuya君のライブ見てると昔にタイムスリップした気持ちになるの。剛がいつか大スターになるかもと見ていた夢をTakuya君にも投影しちゃうというか」

なんともノスタルジー。今のようなギラギラした長渕ではなく、繊細な歌詞を透き通るような高音の声で歌っていた長渕を見たい人にはタマラないわけだ。

実は恥ずかしながらフォーク時代の長渕の歌は代表曲くらいしか知らなかった記者。しかし、「男は女が必要さ」なんて、彼女と人生論を語りあってしまう野暮ったい?若き頃の長渕が目に浮かぶし、「白と黒」はマスコミや世間に対する怒りを初めて露(あらわ)にした歌だと知ったり、恋人との別れを切なすぎる男心を歌った「君は雨の日に」は泣けてきて…長渕の楽曲の良さを再確認できた。

物真似アーティストから長渕の歌の良さを知るとはなんともフシギだが…。ライブ中、何度も「魂込めて歌います」と口にするTakuya。長渕をリスペクトし心底好きな気持ちと、埋もれた名曲を多くの人に聴かせたい気持ちーー何より物真似を超えた歌とギターの上手さがあるからジワるのではないか。

というワケで、明日配信予定の後編では、Takuya本人に直撃、独占インタビューをお届けします!

(取材・文/河合桃子)