金融系企業で株式運用を営んでいる松川さんは、年30%近くのパフォーマンスを挙げる優秀な株トレーダーなのだ

現在、株主優待を設けている企業は約1300社で、今も増え続けている。一度は、もらってみたい!! ってことで、現役株トレーダーとしても活躍するタレント・松川佑依子さんが株式投資未経験の人にもわかりやすく、株主優待で儲ける方法を教えてくれました!

―そもそも株主優待って何?

松川 株主優待とは、企業が株主に対して割引券や自社商品などを提供する制度のこと。企業によって異なりますが、保有株数や保有期間などによって、より高額な割引券や豪華な商品がもらえる場合があります。

どの企業でもやっているわけではなく、日本のおよそ3600の上場企業のなかで株主優待制度があるのは、約3分の1の1300社ぐらい。世界ではほとんど見られない日本独自の制度です。最近は注目度も高く、新たに株主優待を始める企業が増えていますね。

―「株主優待狙い」で株を買うとき、まず何をチェックすべき?

松川 まずは株価をチェック! ただ、例えばA社のある日の株価が1000円とあっても1000円じゃ買えません。「単元株(たんげんかぶ)」という、その会社ごとに株を取引できる最低の株式数は決められていて、A社の単元株が100株だと、1000円×100株=10万円が最低でも必要です(ほかに証券会社に払う株式売買手数料がかかる)。

基本的に、単元株=優待がもらえる最低投資額ですが、例外もあります。もしA社(単元株100株)の株主優待が“200株以上から”だったら、優待がもらえる最低投資額は20万円になるんです。

―初心者に松川さんがオススメの株主優待は?

松川 まずは、例えば「ANA」(全日空)とか「JAL」(日本航空)みたいに飛行機に半額で乗れる優待だったり、「東宝」でもらえる映画チケットは、女のコにあげても喜ばれますよね。それと、家族がいる方には「サンリオ」みたいなテーマパークの株主優待は、入園券やグッズがもらえるのでオススメ。クオカードがもらえる会社もいいですよ。コンビニやドラッグストアでも使えますから。

―普段はどんな情報を見て株の売買をしてるんですか?

松川 『日経新聞(日本経済新聞)』や『会社四季報』とか。ただ、株初心者の方は、まずは自分が好きな会社をピックアップして調べるのがいいと思います。それで予算などの条件が合えば試しに買ってみる。好きな会社を応援するために株を買って、株価が上がって、さらに株主優待でそこの商品がもらえたら最高ですよね。

買うべき株、買ってはいけない株の見極め方

―ただ、株主優待以前の問題として、株の購入って、へたすると大損してしまうイメージがありますが。

松川 そうですね。ただ株は、ある程度の基礎知識があれば大損は避けられるものです。まずは『Yahoo!ファイナンス』などで、株を買いたい企業の株価のグラフを見ます。やたら上下していたら危ないし、できれば右肩上がりなものがいいです。

あとはどれぐらいの期間、保有するか。5年持ちたい場合は、過去5年のグラフを見る。そしてその会社がどの分野に力を入れているのかをチェックする。例えば、2020年の東京オリンピックまで保有すると決めたら、そこまでは成長するであろう株を予測して買えばいい。で、オリンピック直前に売れば儲けになる。あと、その会社の将来性について判断するポイントとして、PERやROEが同業他社と比較して上か下か、というのもあります。

―PERとROEって?

松川 PERとは株価収益率のことで、株価(または時価総額)を1株当たりの利益(または純利益)で割った数値です。これを同業他社と比較して数値が低ければ、今の株価は割安で、これからもっと上がるんじゃないかと考えます。そしてROEとは株主資本利益率のことで、1株当たりの利益を1株当たりの株主資本で割って計算します。この数値が高いほど、株主から集めたお金を効率よく運用している、つまり、収益性が高いと判断できます。

―ちょっと難しい!

松川 ですね(笑)。あと、迷信だって人もいますけど、その会社の社長が生え抜きかどうかも個人的には判断ポイントになると思います。経営者の“会社愛”ってバカにならないものなんですよ。

まあ、まずは気楽に手を出してみてください。安く買える株はたくさんあるし、情報はネットに転がっている。自分に見合った予算をキチンと決めて投資すれば、後悔することはないと思いますよ。

松川佑依子 MATSUKAWA YUIKO

1990年5月6日生まれ、茨城県出身。金融系企業に勤務する傍ら、精力的にタレント活動を行なう。本格的な株トレーダーであり、著書に『手ブラdeビジネス 株入門』(東京ニュース通信社)。bayFM『松川佑依子のゆいんち』、テレビ東京『一夜づけ』などにレギュラー出演中。公式ブログ【http://ameblo.jp/matsukawayuiko

(取材・文/関根弘康、撮影/下城英悟)