人気ギャンブル漫画『カイジ』のスピンオフ版『中間管理録 トネガワ』が巷で人気となっている

福本伸行氏の描く人気ギャンブル漫画『カイジ』のスピンオフ版『中間管理録 トネガワ』が巷(ちまた)で人気だ。

タイトルの“トネガワ”とは、カイジ本編に登場する大手金融業者・帝愛グループにおける最高幹部のひとり、利根川幸雄のこと。

かつてカイジの前に立ちはだかり、「金は命より重い…!」「勝ちもせず生きようとすることが、そもそも論外なのだ」「大人は質問に答えたりしない それが基本だ」など、その強烈過ぎるセリフとキャラクターで読者の心をわし掴みにし、実写劇場版『カイジ 人生逆転ゲーム』では俳優の香川照之が見事な怪演を披露したことでも有名な、悪魔的魅力”を持つ人物である。

そんな利根川を主人公にしたスピンオフ漫画、ファンならずとも期待が高まるところだが、タイトルに違和感が…。「中間管理録」とは一体?

コミックス1巻冒頭では、帝愛グループの会長・兵藤和尊(かずたか)から“自らを楽しませるため人間の本質が浮き彫りになるような「死のゲーム」を考えろ”という命令が下され、思わず「週末のゴルフが…パァ…!!」と利根川の脳裏をよぎる。さらにプロジェクトを遂行するため“黒服”と呼ばれる部下たちを招集するが、なかなかうまくいかない…。

そう、本作は帝愛グループの会長・兵藤和尊と部下である黒服たちとの間で苦悩し葛藤する利根川の姿を描いているのだ!

■現代サラリーマンにも通じる利根川の苦悩

悪魔的魅力を持つ利根川といえども上司の命令には逆らえず、部下の扱いには困り果て、中間管理職のサラリーマンのようなストレスを抱えてしまっている。辛い、辛いぞ利根川! 頑張れ利根川!

しかし、こういった会社内での人間関係によるストレスは、現代社会における中間管理職サラリーマンにも共通すること。つまり、利根川の苦悩は他人事ではない。応援したくなるのも当然?なわけだ。そこで、実際にサラリーマンとして中間管理職を務める人の悩みを聞いてみた。

・「部下になめられていて、言うことを聞かない」(飲食チェーン店・エリアマネージャー33歳)

・「クライアントからの無茶な納期の発注がストレス」(製造業・工場長35歳)

・「飲み会などで部下におごる機会が多く、交際費の出費が悩み」(スポーツ用品店・店長40歳)

・「アルバイトへの指導力不足について、毎日上司から叱られる」(パチンコチェーン店・ホール統括班長31歳)

・「ノルマ達成できない社員の分、自分の仕事量が増えている」(営業職・課長35歳)

なるほど、“ブラック企業”という言葉が社会現象として問題になっている昨今、やはり中間管理職の方々の悩みは尽きないようだ。

だが、これらを“しょうがない”として放置したり対処に迷ったりしていれば、明るい未来はやってこない。なぜなら利根川は「一生迷ってろ そして失い続けるんだ……貴重な機会(チャンス)を……!」と言っていたではないか。さすが、ひとつひとつのセリフが心に刺さる。ここはコミックスを基に彼の手腕をお手本として、社会の荒波を切り抜ける知恵を授けてもらおうではないか。クククッ、活目せよっ…!!

利根川流サバイバル術・五箇条

■利根川流! 社会人としてのサバイバル術 五箇条

・其の一“険悪な雰囲気を打開する、小粋なジョーク…!!”「聖徳太子か…!! そんな…一斉に話しかけられて… 聖徳太子かっ…………!! ワシはっ…!!」。利根川はこのひと言で萎縮していた部下たちの緊張をほぐし、会議をスムーズに進めた。覚えるべきっ…! 悪魔的ジョークの数々をっ…!

・其の二“会社内での地位を死守する、徹底したリスク回避…!”先述したゴルフ予定のキャンセルなど序の口。時には部下を裏切り、顔色を窺い、上司へのアピールは忘れない利根川。社内での地位を安定させることこそ、生き残りの基本…!

・其の三“失った部下からの信頼は、手段を問わず回復させる…!”保身に走り、部下からの信頼を失った利根川は、起死回生のバーベキューを企画。最高級神戸牛、数十万円以上のワインやシャンパン飲み放題。そしてビールも領収書は切らず自身のポケットマネーで買わせる豪気っぷり。そう、利根川が企画した圧倒的バーベキューなら取り戻せるっ…! 信頼を…!

・其の四“プロジェクト成功のためなら、たとえ部下の案でも採用…!”自分より部下の企画が優れていた場合、利根川なら迷わず採用する。しかし、「企画タイトルだけ自分がつける」という裏ワザを使って、あくまで主導権を手放さない。この辣腕(らつわん)ぶり、驚愕っ…!

・其の五“何度失敗しようとも諦めない、不屈の精神…!”利根川といえども全てがうまくいくわけではない。会長には叱られ、黒服たちには呆れられ…。しかし何度挫折しても、失敗しても立ち上がる。超えてくる、ハードルをっ! これこそ社会人として生きる上での極意だ。

以上、“悪魔的魅力”を持つ男・利根川幸雄に学ぶサバイバル術を参考にし、明日の生活の糧(かて)にしていただきたい。

(取材・文/三宅隆)