マック、モス、バーガーキング。同じバーガーチェーンでも「モスバーガーは客層が違う」とB級グルメ探求家の柳生久兵衛氏。単価は高いが産地直送野菜にこだわるモスはやはり異色の存在だ

ファストフード業界の王者・マクドナルドが転落の一途をたどっている。昨年上半期の赤字総額は262億円にも上り、採算の改善が見込めない店舗を次々に閉鎖。昨年だけで約130店舗が閉店するという異常事態となった。

その閉店したマクドナルド跡地に相次いで出店しているのが「バーガーキング」。マクドナルドの看板商品「ビッグマック」とそっくりなハンバーガー「BIG KING」を期間限定で発売すると、「こっちの“BIG”は大きい、だけじゃない。」のキャッチコピーで、あからさまにマクドナルドを意識した戦略をとっている。

本誌記者がマクドナルドでの勤務経験のある友人と実際に食べてみると、「パティとオニオンスライス以外はすべて同じ」とのことだった。ちなみに、バーガーキングの村尾泰幸社長は新卒から12年までマクドナルドに勤務した経験を持つ、マクドナルドを知り尽くしている人物だ。

「どん底状態のマクドナルドですが、現在もファストフード業界のトップなのは間違いありません。一方のバーガーキングは過去に何度も日本に進出しては定着せずに撤退という歴史を繰り返しています。だからハンバーガーの象徴的存在であるビッグマックと対抗することで、バーガーキングとしてはその知名度を利用し、なんとか注目を集めたいのでしょう」(B級グルメ探究家・柳生九兵衛氏)

一方、そんなバーガーキングの“マック煽(あお)り”をよそに好調なのが「モスバーガー」。昨年4月から9月までの売上高は前年同期比7%増。営業利益は2.5倍の16億6700万円だ。

「モスバーガーの好調さは、時代に流されない独自路線が成功したからです。かつて業界が値下げ合戦へと突入する中、モスバーガーは参入しませんでした。マクドナルドの不振は、異物混入もさることながらメニューや価格、サービスなど“ブレまくりの経営方針”。まさにモスバーガーとは逆ですね」(柳生氏)

経営方針を見直さない限り、マクドナルド復活は遠そうだ。

そんなマックの不採算店大量閉鎖に伴い、駅前や繁華街などの一等地に生まれた“空白地帯”では、し烈な陣取り合戦が勃発! バーガーキング他、マックとは“因縁の関係”にあるファーストキッチン、店舗数“爆伸”中の居酒屋チェーン・磯丸水産など勢いづく外食チェーンが続々とマック跡地に進出。

皮肉にも、王者が沈んで活況を呈しはじめた外食チェーン業界…その詳しい動向は、『週刊プレイボーイ6号』(1月25日発売)「マック跡地の新店舗を見れば『2016年の飲食業界』の流れがわかる!」でお読みいただけます。